空蝉

公園の片隅に


ひっそりと横たわった


蝉の亡骸


せいいっぱい羽ばたき


せいいっぱい鳴いたその蝉は


思い残すことなく力尽きたように見える


けれど


本当はどうなのか


その蝉が土の中で生を享けたとき


まだ地上は温暖化の影響をそれほど受けておらず


過ごしやすかった


それが


地中でゆっくりと育っている間に


気候はどんどん変化してゆき


その頃からは考えられないほど


残酷な季節に変わった


蝉にどれほどの心があるかはわからないけれど


地中で空を飛ぶ日を夢見てた長い年月と


空は飛べるし思い切り鳴くこともできるけど


生きるには厳しすぎる地上の数日の


いったいどちらが幸せだったのか


ゆがんだ空間の向こうで


何を思うのか


もう動かない骸を見ていて


ふとそんなこと考えさせられた


盛夏のゆふぐれ


そのはるか向こうの空で


三日月はなにもなかったかのように


微笑んでいた





遊びに来てくださって、ありがとうございました

La vita mia

夕日に向かう機影が


　ひかりにとけると


ジェット音だけが


　空をかけていく


ときに日々を


　見失いそうになっても


　　足跡はのこるから


わたしらしい今を


　紡いでいこう


それがどんなに遠く険しい道でも


　あるいは


　　どんなに不格好な歩みでも


その先にしか


　望むものがないのだから



　　笑顔とともに




遊びに来てくださって、ありがとうございました

不変

生きてゆくかぎり


　太陽はからだを照らし


　　月は


　　　心を照らす


まっすぐに生きてゆくかぎり


　太陽はからだを暖め


　　月は


　　　心を温める


　　　　この不変なるもの






遊びに来てくださって、ありがとうございました

lunar eclipse

その時


　空は天体になり


　　世界は宇宙になった


赤銅色の闇。


　夢と現実の狭間で


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　スーパー・ブルー・ブラッドムーンの夜に





遊びに来てくださって、ありがとうございました

ありがとう

何気なく「ありがとう」をいうとき


　「有難う」を思い浮かべたら


　　ものすごく有難い気がしてくるから


　　　ふしぎ


「有難い」を思い浮かべたら


　今まで生きてこられたことは


　　目に見えないところでもたくさんの人に支えられて


　　　奇跡のように


　　　　今日につながってきたって思えるから


　　　　　ふしぎ


何でもない今日が


　　悦びにつつまれる


　　　　とき





遊びに来てくださって、ありがとうございました