自然はともだち ひともすき

おもいつくままきのむくままの 絵&文

乱れ萩

2013年09月29日 | 写真と文


紅い萩の花が地面に散り敷いて、あと咲きの白萩も残り少なになりました。
幽かに葉を揺らす微風を受けて、散ろうか散るまいか迷っている風情は
寂しさの中にわずかな華やぎがあって
散る萩を「花見」したという平安の昔がさこそと偲ばれます。

仙台へ旅行した記念に買ってきた赤と白の宮城野萩は
例年小さな庭の通路をふさぐほど繁茂するのでいつも思い切りよく切り戻すのですが、
めげずに変わりなく花を咲かせて、人間世界の変化には一切関係ないといった顔で
几帳面に季節を知らせてくれて。

誰もが一つ二つは持っているでしょう思い出が
この萩にも秘めてあり…
人に語らぬことで少し侘びしくなってみたり…。

まだ日の昇らぬ早朝、カーテンを開けて見る風景は、
つい最近の炎暑も台風もウソだったようにひっそり静かで
今年19日の夜は中秋の名月もこの萩の上空にあり
人生は、夢、まぼろしかと思わず心が飛ぶのを覚えました。

みだれ萩おのが心を読まれをり (佐々木溪村


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