今日も向かいの小公園はひっそり静かです
日が当たっているのに撒かれた除草剤で薄茶色に寒々と見える広場
忘れられたようにしょんぼり立っている片隅の遊具たち。
・・・ふっといつかどこかで読んだ小説の断片が頭に浮かびました。
誰もいない町。
夜になるとどこからともなく集まってくるのは猫ばかり。
店を開き食べて飲んで踊って朝になると姿を消す。
一人の青年が当てのない旅に出て、無人の駅に降り立ったのですが
食堂にもホテルにもどこにも人っこ一人見当たりません。
仕方なく勝手に泊まり込むと、夜になって姿を現したのは大勢の猫
驚いてそっと隠れ、様子を見ることにしました。
陽気に騒いでいた猫たちはそのうち人間の匂いに気づきます
興奮して探し回り近くまで来ても見えないらしく、やがて朝がきて引き揚げる
青年は危険を感じ見つからないうちに退去しようと駅に来たけれど
どの列車も止まることなく通り過ぎて行ってしまうのです。
自分の姿が!見えていない!
自分は死んだ人間なのだとそのときやっと気づいたのでした・・・
記憶はおぼろで作者が何を言いたかったのかは
もう一度しっかり読み直さない限り分かりません。
ただなぜか突然思い浮かんだ寓話のようにすとんと腑に落ちたのです。
何故でしょう?
今の自分にふさわしいのだろうか・・・
そんな風に思いめぐらしたりもするのだけれど。