ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

世紀末の足音響くロンドン。訪れたのは?

2006-07-08 | 映画
19世紀末、ビクトリア女王治世下のロンドン。ルーマニアの山深き古城から、死に覆われた船に乗ってロンドンに辿りついたのは元祖吸血鬼、ドラキュラであった。

そしてハレー彗星の回帰年、1986年。再び世紀末の足音が響き始めたころ。イギリスの彗星探査宇宙船「チャーチル号」は、彗星の尾に潜む全長240キロ、径の大きさだけでも32キロはあろうという巨大な古代宇宙船を発見した。

内部には無数の蝙蝠状の生物の死体があったが、その他に透明クリスタル(の、棺だな、当然!)に納められた一体の裸の美女と、二体の若い男をも発見する。

この発見の過程は、電波途絶状態であり、地上には報告されていなかった。それどころか、チャーチル号遭難が懸念されたため、アメリカ船が救出に行く。

チャーチル号は火災のため全滅、ただクリスタルケースの三体がロンドンにもたらされる……。

*************************************

スペースバンパイア」(LIFEFORCE)という作品が、実は、これほど「吸血鬼ドラキュラ」をモチーフにしていたとは、当時意識しなかったし、気付いていなかったよ。

裸女たちを最初に発見し、チャーチル号に運び込ませ、ただひとり脱出カプセルで地上に戻っていたカールセン大佐がジョナサン・ハーカー弁理士で、かつミナといったところか。

「ライフ・フォース」に関する見識を披瀝するファラーダ博士がヴァン・ヘルシング教授、特務機関のケイン大佐はミナの友達ルーシーを守るアーサー・セワード・キンシーたち、といったところか。

マチルダ・メイ演じる裸の姐ちゃんは、看護婦とかに乗り移りつつ、重度の精神病患者を収容する精神病院に潜り込み、パトリック・スチュワート(ジャン・リュック・ピカード艦長!)演じる医院長に乗り移るのだが……精神病者(の関係者)を手先とする、というのは、これ、レンフィールドじゃないか!

もともと原作がイメージさせた「死の感染」は、ネズミが媒介する「黒死病(ペスト)」であるようだが、クライマックスでパニックに陥るロンドンの街というのは、このイメージだ。

そして、カールセン大佐の自己犠牲はF・W・ムルナウ版の「ノスフェラトウ」を思わせる。

今回見返すまで、「ドラキュラ」そのものにこんなに似通った話として作られていると気付かなかった。

博識なる才人コリン・ウィルソンが書いた原作「スペース・バンパイア」も、生命と食餌に関する独特なペダントリーに満ちていたが、もう一度あれも読んでみようか。

マチルダ・メイのヌードを再鑑賞する、動機はそれでよいから未見の方、しばらく見ていない方、「吸血鬼ドラキュラ」との類似という着眼をも持ちつつ、是非御覧なさいな。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿