ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

酔っ払ってホームで眠り、最終を逃す……か。

2006-06-11 | 映画
0:34(レイジ34フン)
クリストファー・スミス監督・脚本 フランカ・ポテンテ主演作品。原題はCREEPという。

CREEPといえば「クリープショウ」(Creepshow)ジョージ・A・ロメロ監督とスティーブン・キングががっちり組んだオムニバス映画が思い起こされたり、ダリオ・アルジェントの「フェノミナ」(PHENOMENA)のアメリカ公開題名がCREEPERSであることや、「悪魔の赤ちゃん」まがいのクリチャーだけが印象に残るダメ映画「核変異体クリーポゾイド」(Creepozoids)とか、creep(這い寄る、蔦のように這い絡む)ものやcreepy(ゾっとする)ものを描いたホラーの定番題名だ。

とにもかくにも、深夜の地下鉄駅構内と線路内、下水道などがつながっていて、怪しい「生き物」が人を殺しているわけである。

しかし、どうも、フランカ・ポテンテ演じるセレブなOLさん(?)、この人の事態への巻き込まれが唐突で、この娘がいなければ何も事件が起こらなかったのじゃないだろうかと思えてしまう。冒頭、下水施設の点検に入った係員二名が、突如何ものかに襲われるシーンはある。

しかし、恐らくかなり長い期間にわたり、この付近での失踪者はいたはずなのだ。「謎の手術室」やらなんやらで、それは後半には示唆されるのだけれども、どうもすっきりしない。

それで、「ミッドナイト・ミート・トレイン」を思い出したのだ。クライヴ・バーカーのデビュー短編小説集「血の本」シリーズの巻頭に置かれた傑作短編だ。

主人公の乗る地下鉄では「地下鉄内連続惨殺事件」が起こっている。その殺人鬼に遭遇し、肉切り包丁をふるう恐怖の殺人鬼の行動の真相を知ることになる。そして、死闘の末に殺人鬼を打ち倒した主人公は……。

このオチの見事さが、思い出されたうえ、この映画の映画としての始末のなさが際立って印象付けられたのである。

雰囲気や材料は悪くなかったはずだ。あと一本、きちんと背骨となる何かが加えられていれば(それはたとえば、示唆されるだけで終わった「生き物」の出自であるとか、あるいは「鉄道会社」そのものがこれを隠蔽していたとか、重要なプラス・アルファの要素である!)もっと面白い映画になりえたのである。

まあ、それでも一見ほどの価値はあるだろうと思う。

*この記事のために検索を掛けたお陰でこんな情報を得た。

The final installment of Dario Argento's "Three Mothers" trilogy. The film centers on a young American art student, Sarah, who "unwittingly opens an ancient urn that unleashes the demonic power of the world's most powerful witch. As a scourge of suicides plague the city and witches from all over the world converge on Rome to pay homage, Sarah must use all her own psychic powers to stop the 'Mother of Tears' before her evil conquers the world." Casting is currently underway and the film will begin shooting later this year in Rome.

「インフェルノ」の回で触れたダリオ・アルジェントの「三人の聖母」トリオロジーの最新作が今年遅くにはローマで撮影開始。来年には出来るということ。楽しみだ。

*クライヴ・バーカーといえば、「ミディアン」(「死都伝説」)の続きはでないのかしら? DVDもちょっと高いし……。映画「ミディアン」には殺人精神科医というイメージぴったりの役でデビッド・クローネンバーグが出ていたりする。ビデオ・テープ引っ張り出して見ようかな。


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