映画で楽しむ世界史

映画、演劇、オペラを題材に世界史を学ぶ、語ることが楽しくなりました

ステイーブ・マックウィーン「砲艦サンパブロ」

2006-03-24 10:37:32 | 舞台は東アジア・中国

3月23日NHK衛星第二放送 「砲艦サンパブロ」・・・ベストセラー小説の映画化でお金もかけた大作だが、出だしのシーンから続出する疑問。

先ずなぜアメリカ海軍が揚子江に浮かんでいるのだろう?

なぜ、妙齢の女性宣教師(教師)が中国奥地にまで来ているのだろう?

アメリカ外交は伝統的にモンロー主義があるから、アジアへの進出はそれほど意欲的であった訳ではない。英仏に引きずられるような感じでアジアに目を向ける。

中国がアヘン戦争(1840年)やアロー号事件で欧米列強に屈し、南京条約天津条約北京条約などを結ばされるが、こういう条約は香港などの領土割譲だけではない。これらは貿易・関税や交通・裁判などを含む開国条約であって、欧米諸国は他国の抜け駆けを防ぐため「最恵国待遇」条項を付ける・・・欧米の一国に適用される条項は他の国にも適用される。更に日本人にとって驚きは「キリスト教の信仰および布教の自由」がもりこまれている。アヘン戦争やアロー号事件を主に戦ったのは英仏なのだが・・・アメリカ、ロシアはちゃっかり同一内容の条約を手に入れるのである。

かくして「眠れる獅子」中国の分割が始まる・・・日本も見参、日清戦争(1894年)・・・主要都市に租借地、鉄道を軸に奥地進出・・・

中国側から「変法運動」(日本の尊皇攘夷運動に類似)が沸き起こり、世情騒然。こういう中で反キリスト教の仇教運動(きゅう教)が義和団事件に発展し、1900年・・・映画「北京の55日」に至る。

アメリカ映画は、時々大金をかけて中国ものを作る。北京の55日、本編、ラスト・エンペラなど。日本のペリーはなぜ映画にならないのだろう、と考えると・・・色々講釈できるであろう。

映画サンパブロの背景は1926年、砲艦サンパブロ号の役割は理解できるが、準主役の女性二人の背景が良く分からない。だからラブストーリーが通り一遍で深みがない。ドラマとしては大変残念、まずは砲艦内の水平の動きや中国の山村風景を楽しむことだ。

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