映画で楽しむ世界史

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エリザベス女王の心中は?「クイーン」

2010-12-26 15:00:07 | 舞台はイギリス・アイルランド

アカデミー賞はエリザベス女王かヘレン・ミレンか

 

1、映画「クイーン」がヒットしているようだ。確かによく出来ている、必見映画だ。

しかし先ず誰もが驚くのは、よくこんな映画、一国の現役の王室や政治のありのままの姿に迫る映画が出来たものだということではなかろうか。

「表現の自由」があるから何の不思議もない、と言ってしまえばそれまでであるが、そう建前ばかりではゆくまい。

当局としてのイギリス政府や王室がどう対応したか、個人として女王以下の王室メンバーやブレア首相夫妻がどう考えたか知りたいところであるが、おそらく無難、陳腐なコメントしか返ってこないであろう。

 

2、 しかしこんなことを真面目に考えるのは、あの天皇制を持っている日本人ぐらいで、西洋人はもっとオープンなのだろう。

特にイギリスに関して言えば、王室は演劇、小説、映画の題材になるのが当たり前になっていて、当事者も思いのほかカラッとしているのかもしれない。

 改めて考えてみると、歴代のイギリス国王の多くは(数えてないがおそらく半数は超えよう)何らかの形で映画演劇に登場する。

特にエリザベス1世前後の王様は軒並みあのシェクスピア劇の題材になっている。映画に限ってみても、主人公ないし準主人公となって登場する王も多い。

以下思いつくままに、映画を挙げてみよう。

 ① ヘンリー2世・・・「冬のライオン」

② リチャード1世、ジョン王・・・「黒騎士」等アイバンホーもの

 ③ エドワード1世・・・「ブレイブハート」

④ ヘンリー5世・・・シェクスピアの映画化「ヘンリー5世」

⑤ リチャード3世・・・「アルパチーノのリチャードを探して」

⑥ ヘンリー8世、メアリー1世・・・「1000日のアン」など

⑦ エリザベス1世・・・無敵艦隊、エリザベス、恋に落ちたシェクスピア

⑧ チャールズ1世・・・「クロムウェル」

⑨ ジョージ3世・・・「英国万歳」

⑩ ヴィクトリア女王・・「クイーンビクトリア 至上の恋」

 

3、こう考えてくると、下衆の勘ぐり・・・エリザベス女王の心中を覗いてみたくなる。

彼女だって、自分が何時か映画や小説の題材にされることなど充分計算されること。だとすれば、死後に不本意な形で話題にされるより、生前でも思い切って映画化してもらい。

 

ダイアナはどんな女だったかは別にしても、彼女の葬儀に関して自分がとった行動、その気持ちを理解して欲しい。そして自分は映画になっても小説になってもいいが、薄っぺらい娯楽ものや扇情的な激しいものであっては困るのだ。私の判断の軸は何よりもイギリスのため、王室の維持繁栄ためなのだ・・・といったところであろうか。

 

映画のシーンで彼女の心情を偲ばせるシーンを思い出して欲しい。

御料狩猟場で見た14の角を持つ威厳に満ちた鹿の姿は英国王室そのもの、その鹿がアクシデントによって撃たれ首を切られる、王室が崩壊する・・・そんなことがあってはならないのだ。

 まあいずれにしても今の世の中、王室に政治的権力はあろうはずはないが、何しろ先祖伝来の国民のいろんな思いが込められている、そう簡単に答えを求めたり、答えたりする問題ではないのだ。

 

 



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