山本洋三「湖面」より
(半紙)
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前回と同じ詩集より。
全文は以下の通りです。
湖面
湖面に
躍りあがる魚の
一瞬の輝きのうちに
空は
色あせる
友よ
君に語る何事かを
ぼくはどうしても
思い出せない
かぶりなれた帽子を
なくした時のように
妙に首筋が寒いんだ
湖面に暗い風が立って
友よ
ぼくはもう二度と語れない言葉を
なくしてしまったようだ
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この頃の詩は、どうも思わせぶりで
気取っていて、お恥ずかしい限りですけれど
まあ、これも第1連だけなら、それなりに読めるのではないかと。
あるとき、ふっと、いい考えが頭に浮かんでも
次の瞬間には、もう忘れている。
あれ、なんだっけ。
いいことだったんだけどなあ、と思いつつ
もう二度と思い出せない。
そんな感じが、当時のぼくの詩の一つのテーマだったみたいです。