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一日一書 497 野ざらし紀行・芭蕉

2015-01-29 15:52:34 | 一日一書

 

芭蕉「野ざらし紀行」より

 

半紙

 

 

本文は以下の通りです。

 

千里に旅立ちて、路粮(みちかて)をつゝまず、

「三更月下無何に入(いる)」と云(いひ)けむ、

むかしの人の杖にすがりて、貞享甲子秋八月、

江上(こうしょう)の破屋(はおく)をいづる程、

風の声、そゞろ寒げ也。

野ざらしを心に風のしむ身哉(かな)

 

【口語訳】(小学館版・「日本古典文学全集」による) 

前途千里の遠い旅に出るのに、道中の食糧を用意することもせず、

「夜更けの月光を浴びながら自然のままの理想郷にはいる」と言った、

昔の人の言葉をたよりに、杖にすがって、

貞享元年甲子の年、秋八月、隅田川のほとりのあばら家を出ようとすると、

風の響きも何となく寒々しく感じられる。

 

道に行き倒れて白骨を野辺にさらしてもと覚悟をきめて、旅立とうとすると、ひとしお秋風が身にしみることよ。

 

 

芭蕉の「野ざらし紀行」の冒頭です。

ちょっと大げさな感じもしますが、昔の人にとって「旅」とは

やはり、なみなみならぬ決意を要するものだったのでしょう。

 

 

 

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