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一日一書 838 鷲の巣の・凡兆

2016-03-20 15:30:22 | 一日一書

 

鷲の巣の樟(くす)の枯れ枝に日は入りぬ

 

凡兆

 

半紙

 

 

昔から大好きな句でした。

「枯れ枝」という語があるからか

冬の句だとばかり思っていました。

 

今日は、何を書こうかなあと、俳句歳時記(山本健吉編)の春の巻を見ていたら

この句があって、びっくり。

「鳥の巣」は、春の季語なのだとか。

 

春だと大分イメージが変わってしまうなあ。

 

樟は、常緑樹で、一年中葉があるわけで

この句は、完全に枯れてしまった楠(この字もクスです)に

鷲の巣があるという情景です。

どこか、荒涼としたイメージがあるので

やっぱり冬の方がいいと思うのですが。

 

ちなみに、この歳時記では

「枯れ枝」は冬の季語となっており

「枯れ枝」と「鳥の巣」のどちらを重視するかということなのかもしれません。

 

冬の句とするなら、風景そのものの荒涼とした感じをとるのでしょうし、

春の句とするなら、鳥の巣にやがて生まれるヒナ鳥に命の誕生を予感するのでしょう。

 

そう考えると、どちらともとれますね。

 

本当は、この句の原典を探してみなければなりません。

で、原典ではありませんが、小学館の「日本古典文学全集」で調べたところ

やはり、季語は「鳥の巣」で春、とありました。

 

ちなみに、この句は、『猿蓑』の中の句。

 

 

 

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