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一日一書 1189 読山海経・陶潜 3

2017-05-30 20:10:09 | 一日一書

 

陶潜

 

読山海経

 

34×47cm

 

コーヒー染めの紙に。 

 

 

 【原文】

 

孟夏草木長 

繞屋樹扶疏 

衆鳥欣有託

吾亦愛吾廬

既耕亦已種

時還読我書

窮巷隔深轍

頗回故人車

歓言酌春酒

摘我園中蔬

微雨従東来

好風與之倶

汎覧周王傳

流観山海図

俯仰終宇宙

不楽復何如

 

 

【書き下し文】

孟夏草木長 孟夏草木長じ

繞屋樹扶疏 屋を繞(めぐ)りて樹(き)扶疏(ふそ)たり

衆鳥欣有託 衆鳥託する有るを欣(よろこ)び

吾亦愛吾廬 吾も亦(ま)た吾が廬(いおり)を愛す

既耕亦已種 既に耕して亦た已に種(う)え

時還読我書 時に還(ま)た我が書を読む

窮巷隔深轍 窮巷(きゅうこう)深轍(しんてつ)より隔たり

頗回故人車 頗(すこぶ)る故人の車を回(めぐ)らす

歓言酌春酒 歓言して春酒を酌(く)み

摘我園中蔬 我が園中の蔬(そ)を摘む

微雨従東来 微雨東より来たり

好風與之倶 好風之(これ)と倶(とも)なう

汎覧周王傳 汎(あまね)く周王の傳(でん)を覧(み)て

流観山海図 流(あまね)く山海の図を観る

俯仰終宇宙 俯仰(ふぎょう)して宇宙を終(お)う

不楽復何如 楽しからずして復(ま)た何如(いかん)ぞや

 

 

【口語訳】

初夏のころ、草や木は成長し、

家の周りの木々も、枝がのび葉がふさふさと茂った。

鳥たちは身を寄せるねぐらができたのを喜び、

私は私で、この自分の廬が気に入って楽しく暮らしている。

畑を耕したり、植えたり、

時には我が愛蔵の書「山海経」を読むのである。

奥まった狭い路地裏は思いわだちとは無縁、

ただ友人の車だけが、よく訪ねて来てくれる。

友人と談笑し、春にかもした酒をともに酌み交わし、

畑の野菜を摘んで、酒の肴にする。

折しも、東の方から小雨が降ってきて、

気持ちのよい風もそよいで来る。

周の穆王(ぼくおう)の物語を拾い読みしたり、

山海の草木や鳥獣の図をあちこちながめたりしていると、

またたくまに、無限の空間と時間を一巡する。

これが楽しくなくてどうしようぞ。

 

 

 


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