プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

恣意的な賠償基準

2013-05-15 10:27:10 | 日記
 原発事故の賠償基準は3つもあるそうです。(以下、引用・参照は『朝日新聞』)3つもあるのは、基準が無いのと同じ、まさに恣意的な「基準」と言えるかと思います。

まず一つ目が、文部科学省の「原子力災害賠償紛争審査会」の基準です。「形としては、これが賠償の中心」なのだそうです。実は審査会の指針では家屋の賠償に関して、「事故前と同じ程度の家を取得できることになっている」そうなのです。でもこれは、ただの形だけ、国民への目くらましのようなもののようです。

さらに、賠償額に納得がいかない方が申請するのが「原子力損害賠償紛争解決センター」(ADR)で、そこにも基準があります。しかしこれまでも東電は、「仲介委員が決めた回答期日を何度も破ったうえ、いったん認めた和解額を半額にする提案をし」たりして、解決センターの仲介を妨害し続けています。センターの言うことを聞くつもりは全くないのです。

 実際東電が賠償の基準としているのは、3つ目の(経産省)資源エネルギー庁の基準です。皆さん、え?と思いますよねえ。何故、原発を推進してきた官庁が、事故の賠償基準を作るのでしょうか?(犯罪を犯した者が、自分の罪の重さを決めるようなものです)実は「エネ庁は、賠償審査の本来の担当者である審査会にも知らせずに、独自の判断で基準を作っていた」そうですが、これは当然、東電の為に、そして政府の「真」の意思として、作らせた「基準」なのでしょう。

 精神的慰謝料として1人付き10万円出ている精神的慰謝料に関しても、この額は最低限のものであると、「審査会」の会長から双葉町元町長の井戸川さんは確認を取っていますが、最低限度がが「最高限度」として恣意的に運用されているのが現実です。(憤りは禁じ得ませんが)やはり、気に食わなければ訴訟でもしなさい、というのが政府、そして東電の立場なのでしょう・・・

P.S. 原子力規制委員会は、敦賀原発2号機建屋直下のD-1断層を、「浦底断層が動いた場合には引きずられて動く可能性が高く」、「活断層である」と断定しました。事実であればすぐにでも廃炉にして頂きたいと思っています。私としては、東洋大学の渡辺先生の、玄海原発以外は安全な地層はないとの意見を科学的な知見だと思っていますが、安倍総理は参議院予算委員会で強い再稼動の意思を発言されていますし、茂木経産大臣、甘利経済再生相もしかりです。自民党政調会長の高市議員は、「安全確認をする人員が少ない」と審査に圧力を掛けています。どれだけの原発が廃炉になるかは分かりませんが、(残念ながら)再稼動される原発も確実に出てくるということだと思うのです・・・

P.S.2 福島第1原発に流れ込んでいる地下水の放射性物質の濃度ですが、セシウムで1ℓ(つまりキロ)当たり0.02~0.18ベクレル、原発周辺の川の測定値が1ℓ当たり1~2ベクレルだそうです。これは、原発敷地内で混じったというより、原発周辺に降下した放射性物質が川に落ち、地下に浸透していったもののようです。現実には、関東から東北に至るまで、降下した膨大な量の放射性物質の多くが、雨で川に、そして海へと流されていますから、増え続ける汚染水の深刻さに鑑みると、この地下水が建屋に流入して高濃度の汚染水となるよりは、低レベルのまま海に流した方がまだ「マシ」だと思います。ただ、ALPSのような大掛かりなものでは無くても、放射性物質を除去するフィルターを通して戴きたいと思います。風評を恐れる漁業関係者の方は反対しておられるようですが、(私は風評ではなく)この海域の魚を獲ること、その魚を流通すること自体に強い懸念を抱いています・・・

P.S.3 橋下さんそして石原さんの尋常ではない「慰安婦」の認識に、多くの方が言葉を失ったと思われます。(名称が納得できませんが)「慰安婦」問題を、戦争だけの問題に矮小化しないで戴きたいと思っています。戦時でも、平時でも、世界中において、多くの婦女子が(男児も)金銭で、或いは暴力で陵辱されています。沖縄だけでなく(揉み消された厚木基地兵士によるレイプ事件もありましたが)、今尚日本においても、米軍兵士による婦女子のレイプは続いているのです。僅かなお金の為に、生きる為「売春」をしなければならない国や地域は、現在もそこらじゅうに存在しているのです。またこれは、「性の搾取」、「性暴力」と言うよりは、(性だけではなくて)軍事的、或いは政治的、経済的な「構造的暴力」が顕われた、(実は誰もが、大小に関わらず何らかの形で恩恵を被っている)「世界の構造」の氷山の一角なのだと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年5月15日)