ミュンヘンなんて、どこ吹く風

ミュンヘン工科大留学、ロンドンの設計事務所HCLA勤務を経て
群馬で建築設計に携わりつつ、京都で研究に励む日々の記録

テンセグリティ屋根/ケネスマクミラン

2012-11-18 00:19:05 | ロンドン・hcla
昼過ぎ起床。たけやまくんのオフィスgianni botsford architectsにてSHARISHARISHARIの会。丸山くんが設計してくれたテンセグリティ屋根のMDF部品がレーザーカットされてきたので、引きバネ、メタルワイヤー、NiTi形状記憶合金、と部品が揃った。みなで手分けして組み立てる。So Far the Future用に製作した模型での経験が生きていて、明らかに施工性と耐久性がアップしている。引張り材をテグスからメタルワイヤーに代えたことで計算外の伸びがなくなり、kangarooでのシミュレーションとの整合性が増した。中央のバネをより強い引きバネに代えたのでコンポーネント全体に緩み無く力が行き渡っている。接合部を引っ掛ける方式に代えたので、組み立ても解体も簡単になった。6つほどつなげてみたところ、前回までのように垂れ下がらず、人工筋肉の動作も上々であった。2年前の竹と輪ゴムの模型からは大きな進歩である。年末のJapanese Junctionでの展示が楽しみだ。そのほか、ダニエルが持ってきてくれた病院のコンペとか、誘いをもらったHouse of Wolfでのイベント参加などについても話す。

僕は少し早めに抜けてコヴェントガーデンへ。奥さんと待ち合わせて軽く夕食を食べてから、ROHでケネス•マクミランの作品に絞ったTriple Billsを観る。ケネス•マクミランは60年代から80年代にかけて活躍した振付家で、現在のロイヤルバレエのレパートリーを形成する多くの作品を残した。『ロミオとジュリエット』や『マノン』といった全幕ものの物語バレエも珠玉だけど、『春の祭典』のような抽象的現代バレエにも傑作を残した(晩年の作品には『パゴダの王子』のような少々退屈なものもあったりするのだが)。今回は小品3作であるが、ひとつ目は華やかな抽象作品『Concerto』、二つ目は演劇を翻案した短い物語バレエ『Las Hermanas』、三つ目は友人の振付家の死に際して追悼のために製作された『Requiem』。二つ目は原作は面白い話なのだが、それをそのままバレエにしてしまっているのでダンスは物足りなかった。物語の背景だけを予備知識として観客に持ってもらって、その上で三人の姉妹のキャラクターや心情に特化してバレエで表現してもよかったのではと思った。三つ目は先シーズンも観たがとてもいい。いつもウィーンで観たクリムトの『Beethoven Frieze』を思い出す。短い場面の連続であるが、全編を通した共通のキャラクターとして天使が見守る中、人間の悲喜こもごもと救済が壮大に語られる。『春の祭典』を観たときに『マノン』と同じ人間が振り付けたとは思えない異様さにまずは驚いたが、こうしていくつもの作品を連続して観てみると、全体を共通する振り付けの特徴や雰囲気があることがわかる。今シーズンのロイヤルバレエはこうして振り付け家縛りにしたり、若手縛りにしたり、テーマを持ったTriple Billsが多く予定されているので楽しみだ。
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