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ミュンヘンなんて、どこ吹く風

ミュンヘン工科大留学、ロンドンの設計事務所HCLA勤務を経て
群馬で建築設計に携わりつつ、京都で研究に励む日々の記録

建築家の資質証明

2009-05-16 10:34:06 | ロンドン・hcla
ペントハウス改修の仕上げ選定と平行して、「architect's proof of evidence」という書類を準備しています。計画申請を提出して拒絶された場合、半年以内に限って行政区の計画局に対して判断の再考を求める「アピール」と呼ばれる手続きを行うことができるのですが、その際に監査官による現地審査に加えて必要となるのが、この「建築家の資質証明」の提出です。

今はhclaが設立されるまでの時代のセクションをつくっているのですが、1945年から2009年にいたるまでの遍歴を辿っていくことになります。フォスター事務所に入社するまでの職歴やこれまで一緒に仕事をしてきた人脈、僕が生まれる前の古い雑誌の記事や手描きの図面など、ホールデンから渡されるのは初めて目にする史料も多く。AAを卒業して最初の就職先はバジル・スペンス事務所だったことや、1979年の『a+u』に隠れた処女作である母の家が掲載されていたことや。クライアントの連鎖的なつながりもこうして俯瞰してみるとよくわかります。

light-techの第一人者であるということに加え、ロンドンという特定の場所について取り組んできたことも重視され盛り込まれます。テキストはもちろんホールデンが書いているのですが、micro architectureの講義スライドとは違った描かれ方になりそうで、所員である前に一ファンでもある僕は楽しみながら仕事してます。
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よい天気

2009-05-11 06:19:49 | ロンドン・hcla
金曜日。コミッションでガラススクリーンを製作をすることになった新進アーティストが今回から加わり、夕方からコントラクターとの定例打ち合わせ。終了後資料を返しに会社に戻り、スーパーで買ったワインで元同僚と終電まで飲み語る。安酒がまずかったのか、翌日まで悪酔いする。

大家さんの親戚家族が週末泊まりにやってきていて、子供たちの走り回る音が頭に響き目が覚めたり、夜は子供がトイレですすり泣く声で起こされたり。

土曜日はネットで映画をあさってぼさっと過ごす。日曜日は元同僚とフラットの現場をみたあと、昼飯を食べながら僕は彼のコース課題を、彼は僕のコンペを、それぞれ意見しあう。そのあと僕は街で探し物。晴天で、公園の芝生が人でいっぱい。

隣の部屋に住む若いアーティストさんが、今週末から始まるグループ展と来月から始まる個展を教えてくれました。年明けの時点では帰国するかもしれないから家財道具を引き取ってもらうかもと言っていましたが、活躍されているみたいです。
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改修×3

2009-05-08 07:16:20 | ロンドン・hcla
身の回りで三つの改修工事が同時進行しています。自宅の改修は朝晩ちら見しているだけですが、傍から見ている分には順調に進行中。今日家に帰ったら大家さんが案内してくれました。庭側に拡張された天井の高いサンルームは肉厚で飾りっけが無く、5mmのスチレンボードで作った模型みたいで、意外にとてもよい。元同僚と管理しているフラットの改修は竣工まで残り二週間くらいといったところ。週末に現場に行ってレポートを香港のお施主さんに送っています。来週末あたりにふたりでカーテンを現場製作する予定。会社で担当しているペントハウスの改修は着工まで残り二週間。備品類の確定作業が続いていて、今日は衛生陶器のメーカーのひとと特注品の打ち合わせをしました。いずれも小規模ですが、どれも日々刻々と進行していっています。
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2009-05-07 07:59:20 | ロンドン・hcla
ロンドンの設計事務所でインターンをすることになった大学の後輩から桜の写真が届きました。工学部1号館の裏の桜。今週末からロンドンに来るそうです。今年は初めてロンドンで年度をまたぎましたが、まったく意識せずに過ぎました。もう5月か。
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出た

2009-05-06 07:52:13 | ロンドン・hcla
大家さんの部屋にネズミが出たそうです。こういうとき犬は役に立たないんだろうか。初めてらしいので、工事中の箇所から進入したのかもしれない。うーむ。
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もやもやと不明瞭な

2009-05-05 04:18:59 | ロンドン・hcla
会社を去った同僚の誕生会が土曜日にあって、朝まで飲んでいました。在職中はとてもお世話になった先輩なので、感謝の意味をこめて久しぶりに無茶しました。いつも頼りっぱなしで大きく見えた先輩が、家族の中では年相応に見えました。

イギリスも今週末は三連休でした。連休中も現場には職人さんが来ていました。

V&AでOwen Jonesの展示を見てきました。19世紀英国の鉄骨造建築を扱った僕の修士論文に彼の「オスラーの店舗」が鉄と塗料の項で少しだけ登場するので名前は知っていました。

19世紀初めのリヴァイヴァル流行の中で、古い聖堂の内部が色鮮やかに彩色されていたことが発見された時代。彼は旅行先のアテネでGottfried Semperのアシスタントと知り合い一緒にエジプトまで旅する。カイロでイスラム建築に出会い、軍艦をヒッチハイクしながらイスタンブール、グラナダへとさらに進んでいく。彼はイスラム建築の装飾文様の中に「より高度な真実」を見出して、その文様の背後にあるシステムを明らかにするべく実測調査を開始する。アルハンブラ宮殿での6ヶ月に及ぶ調査のなかでエジプトから一緒に旅をしてきた共同研究者がコレラで死亡するが、ロンドンへ戻った彼はその調査結果を出版し、研究成果を元に1851年の博覧会でクリスタルパレス内装の色彩計画を一任される。幾何学文様を施された織物が天井から一定間隔で吊り下げられ何重にも重なり合うことで「もやもやと不明瞭な」雰囲気を持ったインテリアとなる予定だったがそれは実現しなかった。彼は大英博物館やルーブル美術館に足を運んで文様の研究を続け、大学の講義中に使用した図版を『装飾の文法』としてまとめる。文様による効果だけでなくその効果を成り立たせる文様の生成システムを研究したことで、後年の彼は方眼紙の上に自由に文様を自作できるようになる。建築の実作には恵まれず、その成果は壁紙やトランプとして販売されるにとどまったが、『装飾の文法』は150年たった今も増刷されている。

彼は自然にあるものを用いた文様に傾斜していきますが、形態をそのまま模倣することを厳しく避けます。たとえば壁紙においては、花そのものを直接的に模写して敷き詰めてしまうと、壁の「flatness」が失われてしまうと言うのです。平面性が失われるということは構造的な機能の話をしているのかとはじめ誤読したのですが、おそらくこれは視覚効果のことを言っているのでしょう。花の持つ要素を抽象化して単純な幾何学模様の繰り返しに陳腐化することで、注意を散漫にしてひとつひとつの模様に注視しないように仕向ける(flatness)。そして無意識の部分に、模様全体が群として面的に働きかけるという。

大家さんが今日からMacBookユーザーになりました。設定するのを手伝ってあげたらとても興奮していました。家を改築して気持ちのよい場所が増えたので、部屋からパソコンを持ち出したいと考えたみたいです。まだ工事中なのに待ちきれないらしく、日当たりのよいリビングに早くも机を出してそこでお茶を飲んだりしてます。

豚インフルエンザ。バスの中でくしゃみをしたら、隣に居合わせた人がティッシュを差し出してきました。まだ重装備のマスクをしている人は見かけませんが、連日報道されています。豚のことをswineと呼ぶって初めて知りました。在留者登録してある日本総領事館からは毎日メールで英国内の感染状況が送られてきます。

連休中に彼女が甥っ子と山登りをしたらしいのですが、帰ってから彼が描いた山の絵には頂上に立つアンテナまでしっかり描かれていたそうです。山とは何かを知っていたら見えていても視覚からはじいてしまう部分だと思います。感心しました。
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