研究と実務

朝、奥さんと出かけてそのまま高崎駅へ。電車で東京へ。

僕は12時半に辻くんとファミレスで待ち合わせて、インタビューの打合せ。ショージ・サダオさんへの聞き取り調査二回目である。

2時にご自宅を訪ねる。前回までで質問リストにあった事実関係の掘り起こしは進んでいたので、今回は辻くんの提案で僕自身の仮説を述べてショージさんのご意見を伺う方式とする。フラーとフォスターらハイテックの関係について、テクノロジーの背後にあるサステイナブル思想の継承と、その転換点と僕が考えているプロジェクトについて、当事者だったショージさんの体験を伺う。最後に、ニューヨークのご自宅にある資料を調査させていただく約束をして、お礼を言って別れる。

邦訳されているので入門書的に読んだ方も多いと思われるマーティン・ポーリーによるバックミンスター・フラーの伝記。その冒頭でポーリーがフラーをインタビュー中に激怒させるのだが、その場に同席していたショージさんが最後まで一言も喋らなかったことをポーリーはわざわざ書きとめている。それくらい寡黙なイメージのあったショージさんから今回は多くの貴重な証言をいただいた。公開は少し先になるかもしれないが、反響は大きいのではないか。

オーラルヒストリーは歴史学研究の手段の一つに過ぎないかもしれないが、これが入り口となり、あるいは突破口となり進む研究もあるのではないかと思う。僕の申し出を汲み取りこのような場を設定してくれた辻くんに感謝である。お互いの研究と実務の話をしながら辻くんと帰る。さて、僕自身の博士論文研究と今回の成果はどう繋げたものか。

終了後、浅草橋に移動。日本CLT協会の技術報告会に途中参加する。終了間際ではあったが、一般認定を取得したモデル工法についての説明は聞くことができた。再来月に予定されている2つの講演会では、欧州の現状に加えて、日本で今できること近い将来できることを紹介するつもりである。明日朝の打合せを確認して足早に途中退出。

赤坂でT社と打合せ。僕が父の事務所に加わってから、これまで出会った様々な方に巻き込まれてもらって群馬で新規案件に携わってきた。仕事になったりならなかったりだが、今回もまたそういうきっかけのひとつとしたい。

終了後、O研の研究スケジュールについてスタッフ間で電話で情報共有してから、東京の部屋に帰宅。父と電話で打合せて今後数日間の方針を確認する。時差ボケを治すため早めに就寝。

31.3

朝、前橋駅で奥さんと合流。東京から来た同期たち3人を迎える。ロンドン駐在から帰国した友人、休職してボストンに留学する友人、アトリエ事務所を退職して独立した友人。前橋の集合住宅を見学したあと、るなぱあく、伊香保の水沢うどん、ハラミュージアムアーク、伊香保温泉石段街の足湯、と案内する。僕は運転しながらときどき群馬豆知識を披露。最後は高崎駅まで送って別れる。久しぶりに集まった気がするのに、けして大学時代の昔話をしていたわけでもないのに、みな大学時代のままに見えるのが不思議だ。

日常に戻る

朝から本社を訪ね、設計部の方と打合せ。基本図フィックスのためにディテールの未決部分を洗っていく。昼食を挟み、午後からは構造担当の方も合流。夕方までに概ね方針が決まる。欧州先進木造視察の様子も報告する。空港まで送っていただき、最終便で羽田空港へ戻る。機内で欧州視察の最終的な行程を記録に残す。

空港で父と別れたあと、僕は渋谷へ。再生建築研究所を訪ね、香月さん神本さんと阿佐ヶ谷での建築レクチャーシリーズの企画打合せ。建築設計に携わる人と、その領域外の人が、共通言語を見つけられるような場所をつくりたい。終電のひとつ前で東京の部屋に帰宅。帰宅後、今回の視察でお世話になった方々に資料提供の依頼メールをする。

視察より帰国

朝、羽田空港に着。入国審査を抜けたところで視察団は解散。近々の再集合を約す。充実した視察であった。僕に視察先手配の自由な裁量を与えてくれた団長に感謝である。昼前に僕は東京の部屋に戻り、夕方まで仮眠。奥さんと夕食を食べた後、再び羽田空港へ。父と合流して九州へ。機内で欧州先進木造視察の結果を文章にまとめ始める。ホテルに泊。寝るまで引き続き文章を書く。