ミュンヘンなんて、どこ吹く風

ミュンヘン工科大留学、ロンドンの設計事務所HCLA勤務を経て
群馬で建築設計に携わりつつ、京都で研究に励む日々の記録

同僚が休暇から戻る&休暇に出る

2012-03-29 23:12:47 | ロンドン・hcla
木曜日(30日)

朝から小さなプロジェクトの作業。床や壁の仕上げ、ドアなどインテリアに関するspecificationを埋める作業と、床暖房や照明、換気口などの設備関係の調整。月曜日に休暇から戻ってきた同僚は、来週市民権取得のための試験を受けるらしい。コモンウェルス出身の彼女はもともとイギリスに永住権はあるのだけど、市民権はまた別。久しぶりに家族と過ごした休暇中になにか考えるところがあったのだろうか。休暇から戻ってからの第一声は「I decided to come back!」だったし(帰ってこないかもとか冗談で言ってたので)。一方、もうひとりの同僚は入れ替わるように今週から休暇。タイに行ってくるらしい。

つづく ー 水曜日(29日)~火曜日(20日)

奥さんとたけさんと週末gurdianのopen weekendに行ったり、ロンドン滞在中の鈴木先生とお食事をご一緒したり、展示準備のために来英中の石山研の方々とお食事をご一緒したり、した。

以下、guardian open weekendより。

会場ではtwitterと平行してcartoonもliveで。


guardianの社食

ウェブ版のデザインに似たカラフルな案内板。段ボールでできてたけど普段からこうなんだろうか?

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ためすぎ

2012-03-19 23:13:51 | ロンドン・hcla


石張りのファサードを掃除するThomann-Hanryの重機。足場を組む必要がなく、排水も出ないのが特徴。数日前から会社の近くで作業中。ミーティングで外に出るたびにディレクターと仰ぎ見ては進捗状況をああだこうだ言ってる。

月曜日
小さなプロジェクト。先々週までで建物の構造と外皮に関するspecificationがひととおり終わったので、今週から内装のspecification作成に移る。8タイプある住戸の平面と天伏と立面を1:20で描く。夜、大きなプロジェクトに良い知らせ。会社終わり、奥さんと待ち合わせてsadlers wellsでwayne mcgregor/random danceの『FAR』を観る。2001年宇宙の旅のモノリスのような舞台装置が見守る前で、生命の進化を辿るようなダンスが繰り広げられる。背景にデジタル数字が映し出されて以降の後半部分はちょっとだれる。

日曜日
朝から部屋の掃除。床に置きっぱなしだった段ボールを片付ける。昼過ぎ、食料品の買い出しと、母の日のプレゼントの購入のため外出。夕方からは家に友達を呼んで鍋。せっかくいろいろ飲み物を持ってきてもらったのにさばききれず。鍋をやるたびに繰り越し分でむしろ飲み物が増えていくので、申し訳ない。品薄との噂の新しいiPadを触る。夜は早めに解散。後片付けをしていたつもりが気がつくと寝ていた。なぜか「drawingが見つからない…」とうなされていたらしい。

土曜日
昼過ぎからsharisharishariの会。今週は、銀行で管理システムを組んでいるというプログラマーの方(ダン氏の知り合い)と、メンバーの大学の同期が見学に来る。ひとり10分程度でプレゼン。grasshopperのプラグイン、firefly(processing/arduinoと連携)とkangaroo(物理エンジン)が面白そう。夜はラーメン。相変わらず行列ができている。ダン氏おすすめのジェラート屋さんにはしごして終了。帰宅後、家の掃除。奥さんがCVに添えようとしている推薦状の英文を見てあげる。今勤めている会社が国外に移転するので、現在の上司がロンドンにいるうちにサインをもらっておくという算段。

金曜日
小さなプロジェクト、午前中はdischarge condition用の申請書類を同僚とまとめる。午後はエンジニアたちとのワークショップ、夕方まで。夜は同僚たちとパブ。奥さんも合流。apple storeを物色したあとPHOで夕食。

木曜日
小さなプロジェクト。終日、三種類ある特注部品の製造業者候補とのミーティング。45分ごとに入れ替わり立ち代わり面接。夜、大きなプロジェクトに良い知らせ。

水曜日
小さなプロジェクト。終日discharge condition用の申請図面を同僚とまとめる。建築の専門家ではないひとが相手なので丁寧な説明につとめる。夜、コンサルタントとのミーティング。内容に承認をもらったので微調整してから印刷にまわす。同僚が水~金の三日間会社でPart IIIの試験を受けている。少しでも集中してもらえるように少し広めな僕のスペースとホリデー中の同僚の机を貸し出す。その間僕はディレクターたちに挟まれたスペースを間借り。

火曜日
終日、大きなプロジェクトの作業。昼頃ミーティングのあと、エンジニアとやり取りしながらレポートをまとめる。仕事が速いので助かる。夜、小さなプロジェクトのdischarge condition用の資料づくり。やめどころがわからず朝まで作業してから帰宅。風呂に入ってから再び出社。

月曜日
終日小さなプロジェクトと大きなプロジェクトの作業。MacとPCを切り替えるのがめんどいので隣の同僚のPCも動かしながら作業。

日曜日
終日だらだらと過ごす。

土曜日
昼過ぎからsharisharishariの会。元家具デザイナーで今はメーカーでプロダクトデザイン兼リサーチをされているAA卒業生のバックさんと、hussein chalayanのところで働かれていたファッションデザイナーの方たちが見学に来る。しろうちさんからは"空間を着る"衣服に関するプロジェクトを見せてもらう。さきさんから物質の風化に関するテクニカルスタディの成果を聞いたあと、バックさんとは現代建築に使われているセラミックの話で盛り上がる。ceramica cumellaの仕事など。めいりくんからは今ウェブ上に製作中のアーカイブの話を教えてもらう。



もうひとつ街で見かけた重機。これもたぶん何かの掃除をしている。




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discharge

2012-03-08 22:54:32 | ロンドン・hcla
水曜日 木曜日
大きなプロジェクトと小さなプロジェクトを行き来しながら作業。イギリスでは設計がある程度進むとplanning application(縮尺1:100~1:20レベルでの設計)を行政区に提出する。契約上はここまでが固定報酬で、ここから先は建設費に応じた%で報酬が計算されることになる。planning applicationは既存建物の取り壊し許可+新築建物の建設許可を行政区に仰ぐものである。planning applicationによってその土地をどう開発することができるかが明文化される。施主によってはplanning applicationを通した上で土地を転売する人も入れば、逆に建設許可付きの土地を買ってその許可範囲内で建築家に設計させる人もいる。applicationが受理され計画委員会での審議の末に設計の続行が認められる(planning approval)と、conditionと呼ばれる条件が列挙された手紙が発行される(decision letter)。行政区が実現してほしいことをconditionとして明記しておくことで、申請段階では不明確だったディテールなどが設計が進んだ段階で改めてチェックされることになる。たいていは既存建物の取り壊し前と新築建物の建設開始前にそれぞれ達成されるべきconditionが設定されていて、それを行政区に対して実演して見せることを「conditionをdischargeする」という。そのあとは待った無しで現場が動き出す。

昼休み、最近入った若い同僚がポートフォリオを持って僕に相談しに来た。その中で紹介されているプロジェクト(親戚の家)が実現しそうなので、そのためのplanning applicationを準備しているのだという。構法として想定しているものが僕が携わっていたプロジェクトに近いので、その適正をチェックしてもらえないかと。イギリスでは施工例は少ないが、彼はちゃんと調べているようだった。たしかにおあつらえ向けに見えるが、経験上いくつか問題になりそうなことがあるので教えてあげる。ちょうど運良く近々施工業者と会う機会がありそうなので、そのあとに彼も紹介してあげることにした。

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同僚がオーストラリアに発つ

2012-03-07 02:07:08 | ロンドン・hcla
木曜日 金曜日
小さなプロジェクト、specificationを書き進める。金曜の夜はメトロポリタン大学へまるやまくんが履修しているユニットの展示を観に行く。ナノスケールのマテリアル研究と、地球を取り巻くマクロスケールのエネルギー研究を同時並行に進め、最終的には両者を統合して実在の敷地の都市計画に着地させるというもの。物質の結晶構造を拡大化してコンポーネントの集合のバリエーションに見立てた研究がナノスケールでは多く、マクロスケールでは多くの学生が物流や人間の移動に関するデータの三次元的な視覚化とそれを使った球体の変形バリエーションに取り組んでいたが、マテリアル研究もエネルギー研究もそれが意味するところのシステムの理解まで踏み込まずに恣意的に取り上げられたカタチの遊び/探求に留まると、意味があまりないと思う。都市は様々なスケールの出来事がオーバーラップ/ショートカットするから、エネルギーを媒介にして大小のスケールを横断しうるシステムを解明しようというのがおそらく課題の趣旨。そういう意味では、ナノスケールの研究として岩石の組成を、マクロスケールの研究として地殻のプレート分布と移動を取り上げていた学生は、なんらかのシステム(をともなったカタチ)を見つけるのかもしれないと思った。

土曜日
午前中、引き続きprocessing for androidでコードを書く。昼過ぎからsharisharishariの会。Kinetica Art Fairで興味を持ってくれた人も参加してくれて新しい顔が10人弱。僕はアダプタブルなストラクチャーの今後の展開に関連してprocessingでつくった簡単なインターフェースの実演。ほったくんからは博士論文の途中経過にからめて、複数のエージェントが参加する際の重み付き制御の可能性について。RCAのまつおさんからは薄いアクリル板を使った緊張感のある椅子のプロジェクトの紹介。奥さんからは太陽エネルギーの説明と先週まるやまくんに会ってからつくっていた太陽光パネルの発電量を様々なパラメータを入れ替えながら計算できるエクセルシートの紹介。そのあとたけやまくんから今やっているコンペ案の説明。後半は各自が持ってきたプロジェクトを見せ合ってアドバイスし合う会に。僕は携帯電話のインターフェースをつくっているなかむらさんにandroidで動かすためにつくったarduinoのコードを見てもらう。夜は居酒屋のあと、金曜日にオープンしたばかりのラーメン屋へ。大阪の本店から来た店長が最初の一週間は店先に立つらしい。おそらくロンドン初の日本から進出したラーメン屋なんじゃないか。

日曜日
昼過ぎ起床。会社へ。しかしアラームのシステムが故障しているらしく鍵が効かない。仕方なく無線を使ってメールのチェック/返信だけしたあと、しばしキッチンでarduinoのコードを修正する。夕方からAAへ。堀田くんが博士論文の中間発表用資料を直している。僕はその横でテンセグリティ模型に新しいarduinoのコードをアップロードし、processingの画面上からandroidの加速度センサーを使って信号を送ってみる。インターフェースはまだあまり直感的ではないが、アンビエントな入力とアクティブな入力の重み付けによる複合的なコントロールに向けて近づいた、気がする。デモンストレーションを動画に撮る。夜は奥さんと待ち合わせてcoliseumでRussian Ballet Icons Gala: Anna Pavlovaを見る。バレエリュスと同時期に活躍したロシア人バレリーナ、アンナ•パブロワのイギリス移住100周年を記念し、ロシア、ドイツ、イタリア、フランス、アメリカといったメジャーなバレエ団からプリンシパルたちが集まり10分ほどの小品を踊るというもの。幕間にパブロワの肖像写真が背景に写されたり、演目がすべて終わったあとに『瀕死の白鳥』の音楽を流しながら無人の舞台上をスポートライトが行き来する演出(遠征公演中にパブロワが客死した際に、同様の演出が行われたらしい)のほかは、演目にも演出にもこれといってテーマを感じない、それよりもむしろ世界中から集まったダンサーたちを一度に見る為のお祭り。ウクライナ人ダンサーセルゲイ•ポルーニン(ロイヤルバレエ団をつい最近電撃退団した)とスペイン人ダンサータマラ•ロホによるRaymondaの一場面は、お祭りらしい迫力のある技の競演で、ひときわ拍手が大きかった。

月曜日
午前中は昨日終わらせるつもりだった大きなプロジェクトの作業。去年末に提出したドキュメントへのフィードバックを受けた訂正版を正式に発行。昼過ぎから小さなプロジェクトの作業。図面をひたすら増やし、specificationに書かれたアイテムをラベリングしていく。ネット上のプロジェクトハブに図面一式とspecificationをアップロードして夜半前終了。このプロジェクトでおそらく最も大きかったマイルストーンを通り越した。同僚はすぐさま荷物を詰めに家に帰り、明け方の飛行機でオーストラリアへと発っていった。彼女は半年前にhclaに加わってから一度も会社を休まずにほぼ毎週土日も出勤していたので、年度末が過ぎる前にホリデーを消化しろとのディレクター命令が下っていたのである。

火曜日
朝から大きなプロジェクトの作業。クライアントからブリーフを受けてコンサルタントたちをコーディネーション、作業計画がまとまる。ホリデーから帰還したディレクターを交えて、昼過ぎから小さなプロジェクトのデザインチームミーティング。進捗状況の報告と、コストについて。約一ヶ月後のマイルストーンに向けて作業は続く。定時に退社、奥さんと待ち合わせて買い物してから家に帰る。
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結婚式の中継を見逃す 風

2012-03-01 00:47:29 | ロンドン・hcla
月曜日 火曜日 水曜日
終日、specificationおよび積算のための図面作成。

水曜日は午後から隣の事務所の受付嬢の結婚式の生中継をミーティングルームのプロジェクターで写してみんなで観覧する予定だったのだが(外国にいて出席できないひとの為に結婚式の中継動画を公開する行政サービス「World Wide Ceremonies」によるもの)、待てども中継はつながらず、シャンパン片手に一時間くらい待ってから解散(仕事に戻る)となった。中継元の市役所に問い合わせたところ新婦の準備が遅れていたらしく、予定の時間を大幅に遅れて始まったらしいが僕は見逃した。

今週のarchitecture wednesdayはカナダに本拠を持つエンジニアリング事務所から人を読んで、高層住宅と気流解析についてレクチャーしてもらった。気流を扱うエンジニアには、室外のマクロな解析から入ってファサードエンジニアになる人と、彼のように室内環境の研究から入ってファサードにたどり着くひとがいるらしい。イギリスでは密集した都市空間でのマクロな解析の依頼が多いらしいのだが、CFD解析は気流がものの表面を滑り抜けたあとにみせるランダムな挙動を実情に即してモデリングできないため、建物が密集しているケース、特に解析したい物が別の建物の影にある場合を苦手とする。ゆえにイギリスに籍をおく彼のチームではセンサー付きの模型を使った風洞実験の方に重きをおいているのだという。定性的に風の性質をとらえているらしく、質問をしても資料を思い出したり考え込んだりといった仕草を一切見せず答えが出てくる。一般的な話よりも具体的な話をしたほうが面白そうだとわかったので、後半はお願いして具体的に会社で動いているプロジェクトをぶつけての模型や図面を交えたワークショップにさせてもらった。クローズドな場だからこそできる、外部ゲストの会では今までで一番エキサイティングな会になった。
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