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ミュンヘンなんて、どこ吹く風

ミュンヘン工科大留学、ロンドンの設計事務所HCLA勤務を経て
群馬で建築設計に携わりつつ、京都で研究に励む日々の記録

閉まりかけたドア

2007-04-01 00:53:37 | 渡英準備
ロンドンが舞台の『スライディング・ドア』という映画をふたりで観た。地下鉄に駆け込んだ主人公の、間に合った場合と乗り遅れた場合、それぞれのその後の人生を対照させながら綴るラブストーリー。「閉まりかけたドア」が分けた運命の行方を描きながらも、紆余曲折を経て最終的に主人公は同じ未来にたどり着く・・・。

夕方、駒沢大学駅で待ち合わせ、かわしまくんのsykの現場をけいかくんと一緒に見せてもらう。去年の3月31日。留学からの帰国便で乗り合わせたけいかくんと一緒に大学に立ち寄り、たまたま大学へ来ていたかわしまくんと居合わせたことがきっかけで、けいかくんがオランダに研修にいくまでの2ヶ月間、三人でコンペをすることになった。それからちょうど一年がたった今日、偶然にも僕ら三人はまたひとつの場所にいたのだった。明日からは、また三人がばらばらになる。いくつもの「閉まりかけたドア=人生の分岐点」に出会った気がする、不思議な一年だった。

昨日はふたり、横浜でREのパフォーマンス『ソフトアーキテクチュア@1929』を観た。照明が落とされ薄暗いBankArt1929のがらんどうの中を、一人の女性ダンサーが身体をくねらせ踊る。コンピュータ制御された照明の明滅と、窓の外から台車の人力で引き動かされる照明装置と、行き交う自動車のヘッドライト、大きな窓が切り取るみなとみらいの夜景。グレン・グールドのピアノと、同時録音された彼のうなり声のような鼻歌と、うっすらと聞こえる周囲の環境音、ダンサーの吐息。ソファに腰掛けた、会場にいる十数人の僕ら観客も舞台の中に取り込まれていく。窓の外から、通りかかった人が背伸びして覗きこむ。周囲の都市景が溶け込んだ、はかなく・こわれやすいソフトアーキテクチュアは、都市の中へとしみ出していく。



しばらく会えなくなるから、ミロスラフ・サセックの『This is London』をプレゼントすることにした。チェコ人のイラストレーターが細かな発見に満ちた視点でロンドンの全てを解説する絵本。少しでもロンドンを近くに感じてくれるように。

閉まりかけたドアの向こうになにがあっても、揺るがない未来はあると僕も思うから、ひとつひとつの決断や偶然に、必要以上に後悔も期待もしないつもりである。

ブログのタイトルについて、渡英するのにそのままでいいのかと問われることがある。僕はミュンヘンという言葉がその本来の目的を失って「尾てい骨」のようになればいいと思っている。なぜミュンヘンなの?と問われるくらい遠くへ行きたい。いつか、そのきっかけがミュンヘン留学だったと振り返るためのタイトルだから。

渡英前夜。千葉の弟の部屋に泊まる。夜中に弟がかき鳴らすギターの音を聞きながら、けしてそんなつもりの曲ではないはずだろうに、妙に気分が高ぶっている。
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父と母に感謝

2007-03-30 02:28:15 | 渡英準備
29日 
渡英の壮行会として、両親と割烹で食事。父が泣く。しばらくは親不孝の覚悟を決めていたが、そんな僕の選択を喜んでくれる父と母に感謝。翌朝、東京に戻る。

28日
在英経験のあるピアニストのおばを母と訪ねる。25になろうとしている今が渡英の丁度いい時期であると言われる。日本を去るのだという実感がようやくわく。

27日
昼過ぎに大学へ。生協で昼飯。夜まで院生室の掃除と平行して修士論文の製本。途中、弟が千葉から自転車を受け取りにくる。夕飯、ふと、これが本郷での最後の食事なんだと思い出す。夕飯も生協。九時頃掃除も終わり、上野駅から群馬へ。

26日
お昼に秋葉原で待ち合わせ、昨日の面々にかいくんも合流。初めてメイドカフェにいく。初心者向けの店を選んだら、普通のファミレスと何ら変わらず。日本人の接客態度は元から丁寧なのだから、これ以上は「メイドとじゃんけん」くらいか。

25日
夜、渋谷で待ち合わせてくろさかくんらとご飯を食べる。春休みなので留学友達と示し合わせて東京まで出てきたらしい。みんなでナンをつまみながら、不思議と懐かしい感じはせず、留学時代と変わらない時間が過ぎていった。
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東京を離れるということ

2007-03-25 14:17:18 | 渡英準備
24日
夕方銀座で待ち合わせて、ハウジングフィジックスデザイン研究会に参加。建築学会でも似たような趣旨の会に参加していたが、こちらは建築家協会の組織。参加している「若手建築家」たちの見当はずれな発言を聞きながら、同年代でも太田さんらの組織したSBD小委員会のレベルの高さを痛感すると共に、アカデミックな議論の場から離れることへの不安を覚える。自分のしていることを相対的客観的に見られなくなったら、いくらでも道は踏み外せてしまいそうである。もちろんアカデミックな話題の舞台だけが建築の全てではないが、自分の無知への自覚なく、自信たっぷりにとんでもないことを口走る、自己完結的な人間にはなりたくないと思った。将来群馬の片隅から中央に発信していこうと考えている僕は、なおさらに。

23日~24日
昼に母と上野駅で待ち合わせる。結局東京にいるうちにあまり東京を案内できなかったのでせめて最後に、豪勢に。西洋美術館でランチを食べたあと、国立博物館でダ・ヴィンチ展を観て、都美術館でオルセー美術館展を観て、青山のうつわ楓で矢尾板さんの展示を観て、外苑前のゴロワで夕食。そのあと横浜に移動して、みなとみらいのホテルに宿泊。ルームサービスをとって夜食。翌朝はゆっくり起きて、元町で買い物して、中華街の萬珍樓で昼食。東京駅まで母を送り、別れる。

22日
修了式。友達と待ち合わせて生協でアカデミックガウンを受け取り、安田講堂で卒業式に出席。両親が来るわけでもなく、僕もさして感慨があるわけでもなく、たんたんと過ぎる。製図室で学位授与式。学位を受け取った後、簡単なスピーチ。

懇親会後、友達たちとキャンパス内を回って各所で写真撮影。ガウンを着回しして、記念の一枚を撮りあう。夕方、池袋に移動し、鈴木研の謝恩会。直前の連絡だったにもかかわらず17名の方に参加していただく。当たり前のことだと思っていたのに、こういう会がもたれるのは鈴木研史上初めてだったらしい。本郷の歴史系は3研究室が合同のため、研究室単独でイベントを行うことを先生自身が自粛していたとのこと。それでも、僕が先週末に先生のご自宅に電話したとき、「そろそろいいかな」と思ってくれたのだそうだ。「君たちは本当にいい学年だった」なんて先輩に言ってもらったりして、感激。最後に鈴木研に恩返しができてよかった。
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ためすぎ

2007-03-21 20:42:43 | 渡英準備
流転漂泊の身です。かんたんにふりかえります。

朝、群馬から東京へ。昼過ぎにスタバで待ち合わせて、やっちさんtomoさんつつつみさんと四人で昼食を食べながら「OFF会」。その後、ひぐちくんにつきあってもらってすずきせんせいへのプレゼント探し。最後にたどり着いたヤマギワで一目惚れし、ティーポットを買う。明日の謝恩会では、助手さん技官さんにも花束を用意するつもり。

20日
朝、千葉から東京へ。昼過ぎにくまいくんと待ち合わせてすずきせんせいへのプレゼント探し。新宿の百貨店を回り英国紳士的なものを探すも、決定打は出せず。夕方、東京から群馬へ。父の事務所の所員さん達と食事会。学部時代の僕に模型制作のイロハをたたき込んでくれた。イギリスの食生活、最近の群馬県などについて歓談。夜はプレゼントのリサーチ。

19日
朝、群馬から東京へ。昼前に研究室を訪ね、いなやませんせいに修士論文を受け取って頂く。町場から生まれる技術、について話す。例年歴史系の学生は参加に消極的なのだが、建築学会大会で発表することを勧められる。一時帰国できるだろうか。午後、東京から千葉へ。あんどうせんせいに修論を受け取って頂く。そのまま研究室で飲んで、さらに千葉大前の中華料理屋でたらふくごちそうになる。さらにかいくんとほんきゅうくんと三人で、焼鳥屋で飲む。手仕事の復権を熱っぽく語るものつくり大出身のほんきゅうくんは、修士論文を踏まえて谷中五重塔の復元図面をいま一人で書いている。

18日
るなぱあく(旧前橋児童遊園)にすべり台の除幕式に参加しに行く。萩原朔太郎が愛した茶店、波宜亭の跡地に立つ小さな遊園地である。すべての乗り物は52年前から変わらず10円で乗れる。波宜亭を模したカラーリングが施されたすべり台の傍らに、父が復元した波宜亭の説明パネルが添えられる。久しぶりに訪れても「思い出の中の姿と何も変わってない」と思えるのは、変わり続けながら今も古びれずに時代にあったにぎわいを見せているからだろう。

15日~17日
体調崩し、一日家で寝てすごす。両親共に仕事に出て、実家に僕一人。

14日
広島から東京へ戻る。午後から歴史系の全体ゼミ。今年度最後の研究会だが、いつもどおりたんたんと終わる。夕方、おみやげを持ってやましろさんの事務所に出雲でのお礼に行く。夜、院生室の模型を持てるだけ持って群馬へ帰る。

出雲旅行の詳細についてはまた後日。
今夜はラクーアに泊まります。
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せわしな

2007-03-21 04:07:54 | 渡英準備
身辺整理のため毎日バタバタしています。
千葉・東京・群馬をいったりきたり。
感慨もつ間もないのはよいことかも。
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捨て(られ)ない

2007-03-02 21:23:11 | 渡英準備
要らない物を捨てるのも一苦労。粗大ゴミの回収は二週先まで予約でいっぱい。

研究室の後輩の新居に家財道具を持ち込む。冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、ベッド。実家に送っても使い道がないが、捨てるのはもったいない。中古の衣料品は今どき被災地でも敬遠されると聞くが、こんな風に引き取ってくれる後輩がいて本当によかった。彼の車+赤帽を使って一往復で引越し完了。明日は古いプリンタとスキャナ、テーブルとカラーボックス10個を廃品回収に出す。あとは食器…。
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いろいろと整理(ただし頭の整理は後回し)

2007-03-02 03:13:09 | 渡英準備
昨日大学の模型を梱包し、今日から部屋の撤収作業。本棚の書籍をあらかたBOOKOFFへ売る。借り部屋住まいの身分には分不相応な本の集め方をしてしまったようで…。6年間の思い出、しめて2490円なり(ガクリ)。それでも建築関連の書籍だけは将来の本棚のために箱詰めする。ばらばらのプリント類は基本的に廃棄。整理できない者に保存の資格なし、と自分に言い聞かせながら。実家に送るのは本と模型だけで十分、と自分を説得。そう、僕は捨てられない男なんです…。

でも今回こそは捨てます!ただし、頭の整理は後回し。迷ったら捨てて後で泣く。
どうせ、どれもイギリスには持っていけないわけです。
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いろいろと整理

2007-02-28 03:24:58 | 渡英準備
27日 
みどりの窓口で広島旅行の乗車券を確保。夜はけいかくんの修論の相談にのる。

26日 
神保町でロンドンの地図を探す。裏路地の小さな地図屋さんにあった。夜は新宿の某大型書店で棚卸しバイト。九時から朝七時まで。気が遠くなるほど消耗。

25日 



池袋のロフトで手帳を買う。余白が使いやすいので四年連続で同じものを買う。そのあと映画『マリー・アントワネット』を観る。幸せ、についていろいろ考える。

24日 
昼前から生協の棚卸しバイト。商品の在庫確認と集計。終了後、夕方までけいかくんの修論の相談相手になる。夜はツタヤで借りた『地下鉄のザジ』を観る。

23日 
昼過ぎまで寝て夕方から生協の棚卸しバイト。夜は広島旅行の計画を立てる。

22日 
昼間は修論の製本作業。夜はかわしまくんと卒業祝いになんばせんせいからしゃぶしゃぶをご馳走してもらう。そのあと学生二人は渋谷にハシゴで僕は終電逃す。

今後の予定

28日 
大学に置いてあるコンペ模型の撤収(箱詰めして群馬の我が家へ送る)
1日
自分の引越し準備(部屋の荷物を撤収するため要るものと要らないものに分ける)
2日
家財道具を後輩の部屋に運ぶ(後輩に車を出してもらう)
3日
卒計の公開講評会を聞く 自分の引越し準備
4日~7日
引っ越し準備が終わり次第群馬に帰る
8日
大家さんに部屋を引渡す
9日~14日
卒業旅行(岡山~出雲~下関~広島)
14日
歴史系全体ゼミ(卒業前最後のゼミ&太田先生を送る会の慰労会)
15日~31日
群馬と東京をいったりきたりしながら渡英準備
4月1日
ロンドンに向けて出発(予定)

けっこう予定がタイトであることに書いてみて気付いた。 
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