ミュンヘンなんて、どこ吹く風

ミュンヘン工科大留学、ロンドンの設計事務所HCLA勤務を経て
群馬で建築設計に携わりつつ、京都で研究に励む日々の記録

パリ

2008-08-27 07:17:11 | ロンドン・hcla

ドミニク・ペロー。パリを訪れた目的は、ポンピドゥーで開かれているペロー展を観ることと、AUSMIPの同期で今はペロー事務所で働く友達に会いに行くこと。地下鉄の駅ではいたるところでペロー展のポスターを見かけた。雌伏の期間に次々と勝ったコンペがいま日本を含む世界各地で実現しつつある55歳の建築家。


ヴェリブ。300mごとに駐輪場がありどこでも乗り捨て可能な自転車。1€払えば24時間有効の番号がもらえる。30分以内に乗り換えれば料金は発生しない。


旅行者だけでなく地元民も使う。トラックが巡回し駐輪場ごとの偏りを是正するらしい。タイヤに空気を入れたりメンテナンスをして回っている作業員も見かけた。


庇の水溜り。友人お勧めのラロッシュ・ジャンヌレ邸は改修中。代わりに少し離れたところにあって普段は限定公開のコルヴュジェのスタジオが公開されていた。


アパートの最上階二層分をコルヴュジェがスタジオとして使用。オーバースケールなヴォールト天井と壁全体が開いてしまうような大きな扉。写真の左奥に、物陰に隠れるようにコルヴュジェの机があった。そこは天井も低く窓もガラスブロック。


あらわにされたレンガと石の壁。家の中に思考のきっかけがちりばめられている。


屋上からの眺め。パリを一望。スケッチブックは大きいのを持て、みたいな。


小さな車。関係ない。コルヴュジェのアパートメントの前に駐車されていた。


旧国立図書館。入れなかったのでドアから覗き込んだ。奥の書庫までは見えず。


鋳鉄柱の細さを劇的に演出している。天井の局面に溶け込んでいく様がきれい。


ルーブルの逆ピラミッド。定番。張力の静かな緊張感に引き寄せられる人々。


規則正しいものが無数にあると意識の外に出て行ってしまうものかもしれない。


友人が案内してくれて、まだ見たことの無かったパリの建築を見て回った。旅行をするといつもと心構えが変わる気がする。非住民である緊張感というか。


ケブランリーは閉館に間に合わず外の庭だけ見た。入館者以外もここまでは入れる。この庭の作者はジル・クレマンで垂直の庭の人(パトリック・ブラン)とは別。街のギャラリーでパスカル・クリビエという庭師の展示も見た。こういったひとたちはランドスケープデザイナーというより、いい意味で「庭師」だと思う。


地面。


植物の重なり。雑木林的状況を意図的につくりだしている。まさにオーウェン・ジョーンズが19世紀に記した『装飾の文法』の巻末にある植物文様そのまま。


オーギュスト・ペレのフランクリン街のRCアパート。外装はタイル張りである。


植物の文様がびっしりと描きこまれていた。個々の図像は消えて表面の質感に。


ドミニク・ペロー展。フランス国立図書館以降のプロジェクトがコンペの落選作品も含めて展示されている。実際に働いている友人から内部事情なども交えて案内してもらう。ペローからの指示はコンセプチュアルで想像の余地があるものが多いらしく、所員は自分の想像力を働かせてそれにこたえることがゆるされている。どうしてもうまくいかなかったときにはペロー自ら模型をつくったりして鶴の一声となるらしいが、お決まりのパターンに陥らないために所員はがんばるのだという。会場には金属を編んだメッシュの束が何本も無造作に置かれ、天井からも吊り下げられている。これは「いつか」建築に使用されることを想定してドイツの会社と共同制作したもので、展示された三種類以外にも事務所にはたくさんのバリエーションがストックしてあるのだという。ひとつのプロジェクトは2~3人の所員によって担当され、所内では常にたくさんのコンペ・実施が同時進行しているそうだ。


マレ・ステヴァン通りのアパートの金属を織ったドア扉はジャン・プルーヴェ。


同アパートの螺旋階段。螺旋階段の底に鏡があってそれを覗き込んで撮った。


友人の家の急な螺旋階段。屋根裏部屋に住む友人の家にエレベーターはない。


部屋の窓からエッフェル塔が見える。高級住宅街の屋根裏部屋。まさにパリ。


最後に国立図書館を見てから帰ることに。ベルシー公園からセーヌ川を挟み南を見る。環状にパリを囲む高速道路の周辺がいまパリでホットな開発エリアらしい。


人の立ち入れない半地下の中庭がある。見下ろすことだけができるその庭に引き寄せられる人。書庫の塔に囲まれた広場は細かな段差で色付けされている。


国立図書館から北を見る。ベルシー公園へ渡る橋。セーヌ川の対岸同士が呼応しながら都市をめぐる人の動きが計画されていくのはロンドンのテムズ川もそう。


帰りのバスはユーロトンネルを通って海峡を越えた。トンネルに入る際はすべての車両が貨物列車のコンテナに収容され高速で一気に渡りきる。これは隔壁。


ユーロラインのバスがすっぽり収まる。片道8時間の旅。パリのブックオフで買った小説は帰りの車中ですべて読み終わってしまった。パリでは友人とたくさん話して彼の生活ぶりから刺激を受けた。ロンドンでの生活を見直す機会とするつもり。
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