◆ふえ・のおと◆フルーティストYoriko KASAI 葛西賀子 officialblog

~ヨーロッパ仕込みの音楽作り、研究を重ねたフルート基礎奏法・・最近は太極拳を通して体幹づくり研究も進んでいます!!

◆豊かに響く音を

2009-11-17 10:21:26 | 大切なこと
前回の更新から、何と日が経ってしまったことか!

実は帰国直後に感じたインスピレーション(!?)を書きためておいた
草稿があったのですが、そのまま慌しく日々に流され、、
とうとうこんなに間が(泣)

しかし、先日ドイツのフルーティスト、ヘンリック・ヴィーゼさんの
コンサートを聴きまして、その時に、この草稿で書いた内容がやはり
今回のヴィーゼさんの音を通しても強く感じたので・・
この草稿を完成(!?)させようと思います。

それは、音の響きに関してです。

◆◇◆

今回のチェコとドイツでのコンサート、その他にもちょこちょことと行く先々で
ミニホームコンサートをやりながら、その度ごとに感じた音を出す感覚、

そして現在再び日本に戻って、特に帰国直後に一音出したときに強く感じた感覚、

音の伸びが両者違うのです。

ちょっと一部の方にしかわからない話になってしまいますが、
かの有名な音楽マンガ、「のだめカンタービレ」で、主人公「のだめ」ちゃんが
パリに留学して初めてヨーロッパの家屋でピアノで音を出すシーンのセリフが、

「音が違う・・・」

まさに、これなのです。

※ あのマンガは、本当にちゃんと調べ上げた勉強のもと書かれており・・
  音楽内容だけでなく、日本人音楽学生が留学した際の心の機微や
  奮闘っぷりまで!?とってもよく描かれております。作者さまに拍手!

音の伸びが違う話は、チェコでのコンサートのブログにも話題にしましたが、
例えば、ドイツでのミニホームコンサート時に、そのお邪魔したお宅の
普通のリビングで軽く音を出してみても、何か音がポンッと響くのです。

そして帰国直後に、そのドイツでの吹き方そのままに自分の練習室で出した音は、
ツアー前までのその部屋での自分の音に比べ、多少雑音がある?
・・・けど音が太くて豊かだなと。

ウチのレッスン室も壁はコンクリートだし、そうとう天井が高いので
楽器の良い響きは得られる方なのですが・・長くそこで練習しているうちに、
つい、変な場慣れで、音の響きの注意を失っていたようです。。(反省)


これにはやはり日本が「温暖”湿潤”気候」であることも少なからず影響しており、
きっと、空気中に含まれている水分の量というか、空気の重さが違うから
なのだろうね、と以前知人から話がありましたが・・

それから、建物の素材。

そういうこともきっともちろん影響しているのだと思います。


けど、日本でもヨーロッパでも、力まずに金属をうまく・よく響かせて
ポンッと音を発音し、楽器を真に鳴らすことには変わりありません。

先日のコンサートでのヴィーゼさんの音は、力が抜けて太く、深く、見事でした。


むしろ響きの空間をあまり得られない家屋で練習する際は、

音を鳴らそうとつい知らずのうちに力んで息を過分に強く出してしまう、とか、
逆に息を少なく、小ぎれいにまとめてしまい、
 →しかしこれは、例えきれいな音でも、なんとなく小さく表現の幅が少ない、
  こじんまりとした音楽演奏になってしまい、
  例えばホールなど広い会場で吹く際に顕著に違いが出てしまいます。

ですので楽器本来の響きとはどういうものであるのか、
少し音の響きの聴き方・つくり方に特に注意をはらっていかねばなりません。



具体的に大切なことは、息はたっぷり、ですがスピードは・・
そこまで直線的に速くない、とでも言いましょうか・・?

それよりもむしろ、音の伸びる方向を、前などの一方向だけでなく、
上にも、斜め上にも、前方にも、斜め下方にも、そして後方にも!?
”3D”に、音の伸びる感覚をとっていくのです。

  これに関しては、もう少し言及しますと、、
  低音域・中音域・高音域、すべての音域同じ方向に音の伸びをとらえる
  というわけでもなく・・少しずつ、音の伸びの方向は変化させます。


音が太く豊かに響くには、口の中に少し空間をつくることもとても重要ですので、
音をこれら多方向に感じることで、口の中の空間も、自然と無理なく
ぽかっと開けていってみましょう。

(ちなみに口の中の空間とは、舌の表面から軟口蓋(上顎)の空間のことであり、
”ノドを開ける”という表現は、ノドに却って力が入り、また下顎=アンブシュア
にも影響が出・・、表現としては少々危険ですね!?)


プロの声楽家などの歌っている姿、さらに言いますとお顔を(失礼ながら)よく
拝見しますと、実はよく顔の筋肉を使っています。

これは、歌声の響きが下にいってしまわないように、おのずと顔の表情筋を
しっかりと使い、音の響きを上に・3Dにとっているのですね。

フルートも然り、で、表情筋を地球の重力に負けず!?きちんと使うことで、
音の伸びは相当違ってきます。

(これらも、歌とフルートは一番似ている楽器だ、といわれる所以なのでしょうか。
声楽の方の、歌っている立ち姿勢や、そこから連動される呼吸のとり方、
音の響かせ方、フレーズ・・などなどはフルートの吹き方にとても共通しており、
本当に参考になります。)


肩・指周辺の力みをなくすことや、お腹の支えなどにももちろん注意をはらいながら、
音の響きを3Dに意識して感じながら吹く・・・
真に太く豊かな音につながっていくことでしょう


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