数か月前、私立大学連盟の事務局の方より連絡をいただき、「大学教育におけるダイバーシティの実現に向けて」というテーマで第一回学長会議を開催するので、もし来日する予定があるなら、ぜひシンポジウム登壇者の一人になってほしいとの依頼を受けた。
私が数年前、アメリカの大学で教えているダイバシティの授業紹介のレポートを書いたことがあったが、それを読んでくださって声を掛けてくださったらしい。
その時の企画書は、法政大学総長の田中優子氏による基調講演ほか、シンポジストの中にも企業へのダイバシティマネジメント教育を行っているような既に知名度の高い方が含まれており、全く無名な私まで声がかかったのは日本の大学教育現場でのダイバーシティー政策がまだまだ新しい課題であるからなのかもしれない。
人前で話をする程の教育実践や研究を積み上げているわけではなく、帰省する予定もなかったのでお断りさせていただいたが、そのように目にとめていただいたことはありがたい。
そういえば、数年前にも朝日新聞から依頼を受け、子ども新聞にバービー人形のダイバーシティーについて取り上げたいから、取材させてほしいという依頼があった。これについても、先ほどの学長会議の登壇者探しと同じで、私の書いたレポートを通して連絡がきたようである。
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ダイバーシティーについて学ぶ機会がいかに重要であるかは、私の授業を受講し終えた学生たちからよく聞く声であり、「全ての学生の必須科目にするべきだ」と熱をもって語ってくれる学生もいる。
これは私の授業が良かったというより、ダイバーシティーに関する様々な教材をもとに、他の学生たちと語り合う機会や他の学生たちの経験(特にマイノリティーの学生たちの経験)について知ることが、いかに自分の視野を広げてくれたかということなのだろうと思う。また自己をみつめる機会となり、特に自分の殻や壁の外に出ることの大切さを実感した、という意見が多かった。
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海外赴任や留学を望まない「内向き志向」の日本人の若者が増えていることが問題になっているが、このダイバーシティー教育が日本に根付かないことと深く関わっているような気がする。日本という文化背景の中で、ダイバーシティーは重要であると本音で若者たちが思えるように教育するには、実践の積み上げが必要であろう。その前に、その若者たちを育てている一つ上の世代の人たちの教育(大学教員など)が、まず優先順位であろう。