『今日の出来心』

シンガーソングライター&作詞家“久保田洋司”の365日書き下ろし公開日記です
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今日の出来心2012年3月9日(金)

2012年03月09日 08時34分32秒 | Weblog
昨日の万葉集の講座、またまた、いいお話がいっぱいでした。

昨日、ここに書いた、秋の香りは、なんの香りだったか。

巻十2233

高松の この峰も狭に 笠立てて
 満ち盛りたる 秋の香の良さ

高松は、高円(たかまど)のことのようです。
平城京東郊、春日の南に続く地域。

その山の頂も狭いほどに、一面に笠をたてているのは、
茸(きのこ)なんですね。

その香りが、良いなぁ、と。

これは、マツタケのことと考えていいようです。

今は、珍しいマツタケも、当時は、頂一面に生えたりしてたんですね。

京都、高雄では、昭和28年でも、足の踏み場もないほど、
マツタケが生えていたそうです。
それが、2~3年後には、すっかり消えた、と。

万葉集で、茸を詠んだのは、この歌だけだそうです。

「芳(か)を詠む」の芳は、茸の誤字ではないかという説も。

芳を、なぜ「か」と読めるかというと、
香具山のことを、芳具山と表記している場合もあるので、
芳は、「か」と読んで、いいだろう、と。

確か、
万葉集に、香り、を詠んだものは、
少ないんじゃなかったかなと思います。

「匂う」ってよくでてきますが、
あれは、美しい色で映える、というような意味。
平安時代になってから、臭覚に関する意義をあわせもつようになる、と。

マツタケの香りを、良いと感じる感覚は、世界共通ではないようで、
ヨーロッパのほうでは、そうは感じないとか。

香りを、言葉で表現するのは、また、いろいろなイメージも、
必要かもしれませんね。

ソムリエがワインの香りを表現するときに、
雨に塗れた子犬のような、とか、言うそうですね。
すごいイメージです。

香りや匂いは、ふっとそれを嗅いだだけで、すぐに、
いろんな記憶が鮮明によみがえったりすることがあります。

臭覚は、動物の感覚の中でも、
だいぶ古くから備わってるものかもしれませんから、
ぐっと、奥深いような感じがします。

昨日は、万葉のころの旅の話や、万葉人と自然との関係など、
面白いところが、いっぱいで、今思い出しても、
きゅんとするわけですが、書ききれないので、
また、後日に。

今日も素敵な一日になりますように。
美しい明日へ心をこめて歌っています。

洋司