『今日の出来心』

シンガーソングライター&作詞家“久保田洋司”の365日書き下ろし公開日記です
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2009年7月21日(火)

2009年07月21日 00時00分01秒 | Weblog
本日の一曲は、
「ひとりカーニバル」。
今、何を書こうかと、ガットギターをサラサラ、
弾いていたところ、
ふと、Fmaj7からE7へのコード進行で、

今夜はあなたの一人カーニバル
幻影たちがあなたの踊り相手になる

そうなると、次に歌いたいのは、

あなたの心の片隅に
触ると痛がるものがある

そうなると、こんどは、

愛すれば苦しいことがいくつもあるが
愛すれば嬉しいことが一つはあるさ

と、この部屋が、今朝は、
「真珠区」になっているのであった。

「真珠区」は、
2005年に出させてもらったアルバムで、
もう、4年も前なのであった。

僕らが、子供の頃に聞いていた、
歌謡曲への、オマージュでもある。

わけもわからず、
バーボンのボトルを抱いて、とか、
さしずめ僕はハンターで、とか、
あいつによろしく伝えてくれよ、とか、
さらに言えば、
折れたタバコの吸殻であなたの嘘がわかる、とか、
届いた知らせは黒い縁取りがありました、とか、
恨みっこなしで別れましょうね、とか、
もっと言えば、
私がささげたこの人に、とか、
母は来ました今日も着た、とか、
そういうものは、
なんというのか、子供ながらに、
大人の世界への、
憧れのようなものであった気がしていて、
当時は、子供も、
大人が聞いているものを、横で聞きながら、
育っていたような印象がある。

子供の頃に、聞いて、意味もわからないのに、
それを大声で歌ってたかと思うと、今になって、
赤面してしまうようなものも、ある。

ロックンロールは、いわゆる大人への反発であったのかも、
しれないけれど、
それを子供の頃に聞いていた者としては、
裕次郎もエルビスも同じであった。
大人といっても、かっこいい大人もあった。

だんだん、何が好きかを、自分で決めるようになって、
好きなレコードばかりを、聞くようになるけれど、
あとになって、
レコードは持ってなかったけど、
これ、好きだったなぁ、とか、これ、こんなにすごかったんだぁ、と、
思うことが、本当に多くて、
一時期、だいぶ、そういうものを、聞いた。

「真珠区」は、そんな頃に、作った。

その後さかのぼって、1920年代のブルースに行き着いたりした。

昔、好きだったものを、時を経て聞いて、いいなぁ、と思えるのは、
それだけの、年月、ずっと心にあるのであるから、強い。

同じ歌手の、時を経た新しい作品が、もっと良くても、
なかなか、勝ち目がないぐらいである。

でも、次々出る、新曲が、どれも、すごく良くて、
しびれた、ってことは、よくある。
僕らは、そういうものに、本当に楽しませてもらって、
子供時代を過ごしたと思う。

ある程度、大人に向けて作られていたものを、
僕らは、盗み聞きする形で、楽しんでいたような気がする。

子供向けに作られたものは、実は、ちょっと、
楽しみきれなかったような。

なんだか、長くなった。
本日も、楽しもう。

洋司