『今日の出来心』

シンガーソングライター&作詞家“久保田洋司”の365日書き下ろし公開日記です
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2009年1月23日(金)

2009年01月23日 00時00分01秒 | Weblog
駅メロ、というと、
駅で、電車の発車を知らせる
電子音のメロディーである。

1990年前後から、新宿、渋谷などで、
やさしい音色で、ふんわりと発車を知らせてくれる
音楽が鳴り始めた。
僕などには、もう、眠ってしまうような、
毛布で包まれるような、
そんな音楽にも聞こえたものである。

それまでは、ピロロロロって、
電子音といっても、ベルには違いなかったし、
本物のベルが、ジリリリって鳴る駅も多かったと思う。

音楽に代わったのは、
ベルで、気持ちがあせるのを、おさえよう、
というような、ちょっとリラックス効果みたいなものも
実際、あったと思ったけれど、
今、
この駅メロを聞くと、気持ちがあせり、
駆け込み乗車やら、
階段を走って、転んだり、人にぶつかったり、
というようなことがおきる、などという声があり、
駅メロを、省略してみる実験が、
新宿駅では、はじまっているそうである。

実は、そんなことを、
ずいぶん前に、ここに書いていた気がするのである。

あんな、ふんわりした音楽でも、
いつかは、それを聞いて、人があせってしまうことが、
あるのであろう、などと。

リラックスさせるために生まれたものも、
それにプレッシャーを感じるようになることが、
ある。
そういう場合、全く関係のない、昔の
発車ベルを、その人たちが聞いても、
その音では、別にあせったりしない、ということであろう。

だからといって、ベルにすれば、
また、すぐに、ベルの音であせるようになる。

やがて、無音がいいだろう、
となると、今度は、無音にプレッシャー、
などということに、なるかもしれない。

冗談では、なくて、
発車そのものが、あせる原因であるなら、
発車しない、
そうなると、今度は、
発車しないことにさえも、あせる。

早めに出かけるのが、良さそうである。

洋司