子供の頃。お菓子のおまけについてたような、小さな笛。家中の皆が吹いてみても、ス5だけで、鳴らないので、これはもう不良品なのだ、見ろ、この安っぽい作りを、などと言っていたところ、その笛を、僕だけが、ピーピーピーピーなんの意味もなく、吹いたものだ。練習などしたわけもないんだけど。実はちょっとしたコツがあった。それさえわかれば、誰にでも吹けるのだ、と思えば、僕はそれを内緒にした。だんだん、自分がズルをしているような気がして、そのコツを発表したのだけど、誰も吹けない。やはり不良品だったのだろう。
洋司
洋司