家づくりなんてカンタンだ!

住宅をつくり続けている設計事務所の雑感

ファンデーションも慎重に

2006-01-31 18:34:31 | 家づくり


いよいよ壁の仕上げの段階です。
ここでは、クロスを張りますが、
その下地処理は、是非慎重に行いたいものです。

特にボードのつなぎ目は、ファイバーテープなどの繊維状の
物を貼り付けて、そこにパテを埋め込み、ボードとの段差が
なくなるように平滑に仕上げなければなりません。

塗装仕上げの場合には、さらにサンドペーパーできれいに
仕上げたりします。下地といえどもいい加減に出来ません。

ここで上手く施工すれば、ボードのジョイント部にクラック
(ひび割れ)が入ることが少なくなり、良い状態の仕上げと
なります。

写真は殺風景ですが、仕上がると見違えるようになるのですよ。

女性の化粧もファンデーションが大事なように、建築
においても同じ事が言えるのですね。

但し、厚化粧は程々に。

オープンハウスは、お祭りだ

2006-01-27 21:13:27 | 家づくり

オープンハウスは設計事務所にとって
お祭りのようなものです。

設計期間も含めて1年ほど時間をかけて
ようやく完成した建物のお披露目なのです。

張り切らない訳にはいきません。

朝早くから準備して待っていると、三々五々
見学者がやってくるのを見ると、なんだか
ワクワクしてきます。

設計事務所の仲間に混じって、初めて会う人、

苦労してつくった家を皆さんに見てもらいます。

「この部分はどのようにしてつくったのですか?」
「この材料は何ですか?」
「これはいくらで仕入れたの?」

等々、質問が出てくると盛り上がり、苦労話に花が咲きます。

この日のために設計監理してきた、というのは言い過ぎですが
無くてはならない通過点ですね。



ブログで紹介してきた現場ももうすぐ完成します。

そこで、今回もオープンハウスを開催することにしました。
2月26日(日)を予定しています。
場所は神奈川県平塚市内

詳細はもうしばらくしてから、お知らせしますので、
宜しく御願いします。

再びロフトの話です

2006-01-25 18:37:35 | 家づくり
天井の高い空間は、とても気持ちが良いのですが、
少し、モッタイナイナー という場合には
ロフトをつくります。

ロフトは、法律上は有効天井高さを1.4M以内にしなければなりません。
他にも細かな制限がありますが、
基準を満たせば面積にカウントされません。当然階数にも入らないので、
2階建て住宅が3階になることはありません。



この事例では、このロフトを2階の上部でなくて、
2階に設けています。
つまり、ロフトの上に2階の一部を持ち上げた形となっているのです。

下部はクローゼットになっていて、天井高さも1.4Mぎりぎり。
でも、十分「ウォークイン」出来ますよ。かがみながらですが・・・

子供なら、好きになりそうな部屋ですね。
上部もロフトの雰囲気ですが、2階です。

やはり書斎にしてしまいました。

リフォームは玉石混交

2006-01-20 20:40:12 | 家づくり


工事を請け負う業者にとって、リフォームはよほどのことが無い限り、
施主から感謝される確率が高い工事です。

なぜなら、施主は今の住まいの使い勝手のことや間取りに対しての不満なポイント
がかなり明確になっていて、しかも、工事が終わればきれいになるのだから、
業者は大変感謝されることになるのです。

おまけに、500万円以下の請負工事であれば、建設業の免許も必要なし。
だから、この業界では、ハードルが低くて、玉石混交状態になっていると言えます。

しかし、リフォームをするときに大事なのは、
施主の意向を忠実にトレースすることではなくて、

生活の専門家として、そして住宅・建築の専門家として意見を伝え、
施主の意向を軌道修正しながら着地点を見付けることだと思うのですが。

話題の悪徳リフォーム商法などは問題外ですが、
このことをわからないまま、リフォームする工事が多いのではないでしょうか。

・・・・と言うわけで、

我が事務所ではそのあたりを十分に考えながらやっています!

という広告でした。

霧が降りてきたら・・・除けよう

2006-01-18 20:19:43 | 家づくり


出入り口や窓の上に取り付ける庇で、概ね30cm未満のものを

霧除け庇

と言います。
「霧除け」や、又は単に「庇」ということもあります。

機能的には、ちょっとした雨の日でも、
窓を開けることができる、というメリットがあり、
引き違い窓の上に取り付けると便利です。

でも、デザインとしては、

なるべくその存在感を消したい

と考える場合が多いので、その時は
薄い金属板などを利用します。

最近、ステンレスの「生板」を曲げただけの物を使うことが多いですね。
厚さは1.5mm。生板というのは、仕上げていない板のことですが
コストパフォーマンスはなかなかのものです。

でも、防水は念入りにしなければ、付けた意味がありません。
壁との取り合いの防水処理だけでなく
その防水が切れた場合も想定した処理をしておきます。

そうすれば、土砂降りの雨の日も、台風が来ても
建築家が頭を抱える必要が無くなります・・・たぶんネ



造り付け-2

2006-01-15 18:47:12 | 家づくり


造り付け家具(造作家具)のメリットはなんと言っても
設計した空間にぴたりとハマルということです。

空間の質を高めたり
無駄になりそうな部分を収納にできる機能性など、
家づくりに非常に有効な手法と言えます。

一軒について8~10箇所くらい造作家具をつくるでしょうか。

理由は、適当な既製家具が無いこと、家具も家の一部分であるので
一緒にデザインしてしまう。さらに、コストダウンの為ですね。

それだけに、設計時に十分検討して、施主と打ち合わせておかないと
ダメージが大きくなります。

置き家具であれば、取り替えてしまえば良いのですが
造作家具は簡単には移動出来ません。

何しろ、その場所にしかフィットしないデザインや寸法であったりするからです。

それでも、設計者にとっては、造作家具は我が子の様な物ですから
一生懸命デザインして、現場監理した家具の出来であれば、

たとえ評判が良くなくても、
いつか施主のためになるのを、ひたすら願うことになります。



造り付け

2006-01-13 21:01:53 | 家づくり


家具については、建物に付属するものと、後から置くものがあります。

前者はいわゆる、造り付け家具です。
造り付け家具を、どの業種で工事をするかで、品質や予算が違ってきますね。

一般的には、予算がある場合は、家具工事専門業者に。
予算がない場合は、現場で大工さんに御願いします。

「オレは家具屋じゃないんだぞ!」と文句言われても、マアそう言わずに
何とかやりましょうよ!と説得してやってもらいます。

しかし、精度には限度があるので、ここで建具屋さんの出番。

この現場では、大工さんに厚めのベニヤで箱をつくってもらいます。
いくら腕の良い大工さんでも、現場ではなかなか精度が出ないので
箱にかぶせるように開き戸を後から取り付けてもらうのです。

家具専門業者でなく、大工工事+建具工事の組み合わせでコストダウンを
するケースが多いですね。

但し、大工工事の精度が良くないと、建具屋さんから文句を言われます。
そんな時は、

「マアそんなこと言わずにやりましょうよ!」

と言うしかありません。

キーストーン

2006-01-12 18:04:26 | 建築


カセッタの屋根は内部からはこのようになっています。
中央にはキーストーンが見えます。

おそらく全てイストリア石で、積んだだけですが、
構造的にバランスがとれているようですね。

カセッタを建築と呼ぶかどうか・・・について考えてみました。

上海のwattyさん、コメントありがとうございます。

アルベロベッロにも似たような形態の建物がありますが、決定的に違うのは、
アルベロベッロのそれには、人間の意志や楽しみが形態に現れているのに対し
カセッタにはそれが無い。

アルベロベッロの建物には生活するための仕上げが施され、
装飾されていたり、機能的にも住居の条件が整っています。

つまり、生活の臭いがするのです。
もちろん、観光地であるが故に過剰に表現された部分も否定しません。

対して、カセッタは雷雨や雹から避難する「シェルター」の機能を
満たせば良いわけで、それ以上のことは要求されていないようです。

カセッタ(小箱)という呼び名からもそのように考えてしまいました。
よって、カセッタは建築でありません。

トルコのカッパドキアについても、同じように感じました。

こんな事考えるのは、このところ、住宅設計ばかりやっているせいでしょうか・・・


まるでおもちゃ箱

2006-01-10 20:31:11 | 家づくり


今日は玄関から続く土間床を左官屋さんに仕上げてもらいました。

仕様は、モルタル金ゴテ 
後で透明の塗料を塗る予定

左官屋さんが作業している間、商売道具をこっそり撮らせてもらいました。
箱の中には、いろんなコテがギッシリ

まるでおもちゃ箱のようですね。

学生の時、アルバイトでショールーム設営の補助をした時のこと、
ある大工さんから、誰か他の人にのこぎり借りてきてほしい、と頼まれました。

そこで、別の場所で作業中の大工さんに御願いしたのですが、
返事してもらえません。

仕方がないので、置いていたのこぎりを勝手に持っていこうとしたところ
ものすごい勢いで怒鳴られたことがあります。

その時の記憶が蘇り、おもちゃ箱の中は触らないでおきました。

小箱

2006-01-09 17:46:21 | 建築


イストリア半島を旅すると、山の上には小さな街が点在しますが
田園地帯を行くと、時々このような石積みの小屋を見かけます。

地元の人に聞いてみると、「カセッタ」とよんでいます。
おそらく casette(カセット イタリア語で「小箱」)のことだと思われますが、

「箱」だとすれば、建築的な物では無いようです。

用途を尋ねると

農作業をしているときに、雷雨や雹(ひょう)が降ってきたときの
避難場所になっているとのこと。

何かを収納する「小屋」とは違います。

あくまで「箱」なのです。

構造は、イストリア石を積んでいるだけで、他には何も構造材は
見あたりません。

その様子は次回。