家づくりなんてカンタンだ!

住宅をつくり続けている設計事務所の雑感

基礎は永持ち

2005-10-27 19:28:58 | 家づくり
鉄筋を組んで型枠をセットしたら、後はコンクリートを流し込むだけです。

正確には、コンクリートを「打つ」と言います。
セメントと砂利などの骨材に水を混ぜてつくられたコンクリートは、
化学反応をおこして「固まる」ので「打つ」という表現が適当でしょうね。

コンクリートを打つのは大変。水の重さの2.4倍もあります。
それでミキサー車から直接手運びしないで、ポンプ車を使うことが多くなります。



打ち込むのは3人一組です。
ホースを持って流し込む係、コンクリートを均す係、振動を加えて均一にコンクリートが行き渡るようにする係です。

あとポンプ車を操作する係とミキサー車の運転手でしょうか。
型枠は鋼製のものを多く使います。繰り返し使えるので、ベニヤを使う場合に比べて資源保護にも一役買っていると言えますね。



コンクリートを打ち終わると、しばらく時間を置いてから、立ち上がりの上面(天端(てんば)と言います)を均します。
セメントによく似た粉を水で練って、今度は流し込みます。あらかじめマークしたレベルに均して終了です。





基礎工事の時にいつも考えてしまいます。

最近の基礎はとても丈夫に出来ているので、何十年も後になって解体する時、大変だろうな。

そのころは解体技術も今よりはもっと進歩しているのでしょうか。
資源再利用のレベルも上がっているのでしょうか。

建物は壊しやすいように設計すべきだ!と言って設計事務所でひんしゅくを買った建築家を知っていますが、一理あるかもしれません。

今のところ、なるべく永く使える住宅をつくって行くことが私の回答です。

極楽トンボ

2005-10-23 19:36:23 | 生活
現場にアヒルの形をした風見鶏があります。

ここにアキアカネが羽を休めていました。



風見鶏 に 

極楽トンボ

のどかな秋の日でした。

アキアカネといえば、稲作文化と関係が深いと知りました。
稲に付く害虫を食べてくれる益虫です。

稲作の害鳥である雀が、人間に決して寄りつかないのと対照的に
とてもフレンドリーな昆虫です。それだけ大事にされてきたのでしょう。

そのためかどうか、写真を撮るためこれだけ近寄っても、決して逃げようと
しませんでした。

アキアカネも雀も、長い間にそれぞれのDNAに情報が刷り込まれてきたのですね。


美形な鉄筋

2005-10-22 19:29:32 | 家づくり
基礎工事の鉄筋は 異形鉄筋 と呼ばれるものを使います。

これは表面に凹凸の縞模様がある鉄筋棒です。これはコンクリートとの付着する面積を少しでも大きくして、鉄筋コンクリート(以下 RC)が構造的に強くなるようにする役割があります。
昔は異形鉄筋でなくて、丸鋼という凹凸のないツルンとした鉄筋でした。建物を解体すると出てくるのはほとんど丸鋼です。中には鉄筋のない基礎もあります。昔の木造住宅基礎は鉄筋が無くてもOKでした。




ところで、鉄筋コンクリートのことをなぜRCというのでしょうか?

RCとはReinforced Concrete の略です。
Reinforced=補強された Concrete=コンクリート

一般的に、鉄筋は引っ張る力に対して、コンクリートは圧縮力に対して、それぞれ踏ん張ります。
両者が一体になって構造的に強くなるわけです。
木造住宅ではほとんどD-10やD-13と呼ばれる異形鉄筋を使います。10や13はその直径です。D-16も使うことがありますが、現場で曲げるのがちょっと難しくなるので使うことは少ないですね。




それぞれの鉄筋を設計図にあわせて配置して行きますが、業者により上手・下手がはっきり分かれます。下手な業者はまっすぐに施工できない、配置の間隔にばらつきがある、等々。

設計事務所は鉄筋の配置が設計図通りであるか等をチェックして行きますが、下手な業者の時は正直、ガッカリですね。手直ししてもらっても限界があるし・・・もちろん、一定基準を満足すれば構造耐力上あまり差は出ないのですが、やるからにはきれいに組んでもらいたいものです。

家の基礎やマンションの壁・床にはこの異形鉄筋が使われています。
くれぐれも 美形鉄筋 と言わないようにしましょう。

トイレ数-その2

2005-10-21 18:53:43 | 家づくり
トイレのことばかり考えているうちに、2日過ぎてしまいました。

結論は、

単世帯で家族が4人くらいであれば、一つで十分。
2世帯または老人同居の場合は2個が望ましい。

トイレもそれなりにスペースが必要です。一般的には1~0.75帖占めている間取りが多いと思います。2個で2~1.5帖分です。建て売り住宅などの間取りでは階段の下に無理矢理トイレを設けたりしているようですが、とりあえずの数を確保しているのが現状です。一方、分譲マンションでは一般的に1個だけです。こちらでも、トイレという空間を重要視しているようには思えません。廊下に面した適当な場所に配置している、という間取りが多いようです。また、バリアフリーの観点からも少々問題があると言えます。





おすすめは、単世帯の戸建て住宅であれば、トイレを一つにする代わり、手洗いスペースを十分に取ってみたり、本棚や飾り棚などプラスアルファも充実させたいですね。また、可動式のカウンターとネット端末などを設けてみるのも良いかと考えています。


トイレの数は?

2005-10-18 18:24:21 | 住宅
このところ雨ばかり・・・ちょっと現場を離れて

住宅の中のトイレの数について考えてみました。

もしお手元に分譲マンションや建て売り住宅のチラシがあれば、じっくりご覧になって下さい。広さはそれぞれ25~30坪程度の1世帯ファミリータイプが適当です。必ずといって良いほど、分譲マンションはトイレが1個、建て売り住宅は2個となっている筈です。広さも、対象としている世帯も同じようなのに、この違いはどこからくるのでしょうか?



戸建ての住宅設計ではトイレを2個ほしい、と必ず要望があります。その理由は

 1. 朝トイレが混み合うので2個合った方が便利だ
 2. プライベートと来客用を使い分けたい

ということなのです。それにしても、狭い住宅(失礼!)に2個も必要なのかといつも考えてしまうのは私だけでしょうか。

皆さんのお家はいかがですか?

冷静にもう一日考えてみます。続きは明日。

捨てないコンクリート

2005-10-16 18:22:33 | 家づくり
基礎工事が始まりました。
最近はベタ基礎を採用する事が多くなりました。基礎の種類には他にも束基礎、布基礎などありますが、ここでは省略して、このベタ基礎、建物の下一面に鉄筋コンクリートの板をつくって家を支える構造です。当然安定も良くなります。写真はその下地となる5cm程度厚みのあるコンクリートです。業界用語で「捨てコン」といいますが、決して捨ててしまうような無駄なコンクリートではありません。基礎の厚みを一定にするためや鉄筋を上手く施工するために必要な工事です。



ところで、基礎のことを英語では foundation  と言います 。そうです、お化粧のファンデーションはここから来ています。上手く化粧して行くためには基になるもの(基礎)が肝心ですね。地面もデリケートな場合があって、その時はしっかりファンデーションしなければならないことがあります。

レンタサイクル

2005-10-12 15:32:46 | 生活


「じゃあ、124番ね」
出てきた自転車は、見た目にちょっと重そうなママチャリ。乗ってみてもやっぱり重かった。




現場は駅から歩くには少々遠いので、駅前でレンタサイクルを利用します。
平塚は海の方に出掛けるとき利用する必要があるからでしょうか、駅前で自転車を借りることが出来ます。朝借りて、夜に返しても一律 200円 です。

荷物が多いときはちょっときついけれど、現場まで20分の道のりは良い運動にもなります。

住宅設計で「自転車」を意識するようになりました。あなたのお家では自転車の保管はどうですか?自家用車に比べて、随分扱いが悪いのではないでしょうか。雨ざらしになっていませんか。

大建築家であるコルビジェは、モータリゼーションを意識してピロティに車寄せを取り込んだ(このことは改めて書きます)ようですが、「自転車寄せ」があっても良いにではないかと最近考えています。私はせいぜい無印自転車(マウンテンタイプ)ユーザーなので、決してマニアではありませ。でも、数年前まで多摩川沿いを一度に40kmくらい走っていましたが・・・

何事も初めが肝心

2005-10-11 20:45:56 | 家づくり

家づくりといえば、初めが肝心。そう、本日は地鎮祭です。経験した事のある方はおわかりでしょうが、これは家を建てるため土地を掘り返したりする前に、地鎮(土地に宿る神様にお祈りして鎮める)をして工事中の安全と完成後も長く無事であることを祈る儀式です。言い換えると、工事を始める前ご近所に「ご迷惑おかけしますが、ヨロシクオネガイシマス」と挨拶するのと同じで、「カミサマヨロシクオネガイシマス」ということをみんなでお祈りする行事でもあるわけですね。



事務所としては、お供えのお酒を用意します。儀式は神道なので日本酒が一般的でしょうか。しかし、式の後神主さんが持ち帰る場合はまだ良いのですが、施主が引き取る場合困った事になります。最近の施主(3~40代が多い)は地鎮祭にお供えする日本酒飲みません。料理に使ってしまいます。「幻の日本酒」なら考えてしまいますが、そんなの事務所の財布からはとてもとても・・・そこで赤・白のワインを用意することが多くなりました。これなら飲んでもらえそうです。値段はマアそこそこのものでしょう。

今回の建て主さんのご両親は、何年も前に経験した地鎮祭の写真を見直して、その時の様子を語ってくれました。これが大事なんですね。代々語り伝えてゆけるような儀式にしたいものです。

ちなみにインターホンは「アイホン」を使う予定です。

スタート!

2005-10-10 20:41:33 | 家づくり
湘南で住宅を作り始めました。これを機会にブログも始めます。

家づくりはカンタンです。もちろん専門知識や経験が必要で、苦労も多いのですが、私にはカンタンに思えてなりません。どれだけカンタンなのか、伝えて行きます。

それでは、スタート!