自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

森 (と林)

2014年09月14日 | Weblog

 森と林はどう違うのか。森の方が林より木が一本多い、と言えば冗談のようだが、字面だけからしても森の方が林より鬱蒼としている。木という漢字がもともと象形文字で、その木を50本も100本も書く訳にはいかないから、三つ集めて一文字とし、三つの木は殆ど無数の木の集合を表していると考えられる。
 森の字を含む熟語に「森厳」があって、「森厳の気満つ」などと使われる。この表現は奥深い大自然を前にして人々が抱いた畏敬の念を想像させる。「森羅万象」と言えば、一般に宇宙の万物を差すが、辞書によれば「森羅」とは本来無数の木が茂ることを言う。ともあれ、天地万物の象徴として森のイメージが用いられたこと自体、自然・世界に対する人間の感じ取り方を本来表していると思われる。
 古代には世界中至る所に人跡未踏の森があり、そこには神々が住まいし、木霊、木魂が棲んでいた。神秘な畏敬すべき場であった。オランウータンは「森の人」を意味し、人間は彼らを敬った。
 古代に戻ることは出来ない。戻れなくても、しかし、森を守り、森を増やすことは出来る。環境破壊から持続可能な世界を目差すには木に頼ることが必須である。木を植え、木を守る人々を大切に思わなければならない。僕の視界からどんどん林が消えていくのを見るとき、つくずくそう思う。

コメントを投稿