自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

再び、海鼠

2010年01月15日 | Weblog
 先日、海鼠という動物の名を挙げたので、海鼠とはどんな動物なのか、気になった。海の動物で姿形が奇妙だということは先刻承知なのだが、それ以上のことは知らない。姿形が奇妙だと言っても、海鼠から見れば人間の姿形こそが奇妙だろう。
 棘皮動物に属する海鼠のなかまはおよそ1100種を数えるそうで、棘皮動物の多くがヒトデのように放射状の体を持つのに対して、海鼠類は円筒形で口と肛門が端にあるのが変わっていると、ものの本にある。雌雄同体の種が多いそうだ。
 奇怪なその形から食欲をそそるとはいいかねるが、東アジア一帯で食用にしているところが少なくない。特に中国文化圏ではよく食されるが、日本でも酢のものとして好む人が多い。海鼠を好まない人でも中華料理で知らないままに海鼠を食べている場合もあるだろう。
 海鼠に関する故事というと、『古事記』に、アメノウズメノミコトが海の魚たちを集めて「天つ神の御子に仕えるか」と尋ねたとき、海鼠だけが返事をしなかったため、その口を小刀で裂いたという話がある。実際に海鼠の口は裂けているように見えるが、この口の周囲にある触手を使って海底の砂泥を取り入れ、その中の有機物を栄養源にしているそうだ。
 海鼠が旨いのは冬。僕は冬は好きだが、寒波は好きではない。海鼠は寒波など気にも留めないのだろう。今冬は世界的に寒波の当たり年だ。

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