秋 ライナー・マリア・リルケ/茅野蕭々
葉が落ちる、遠くからのやうに落ちる、
大空の遠い園が枯れるやうに、
物を否定する身振りで落ちる。
さうして重い地は夜々に
あらゆる星の中から寂寥へ落ちる。
我々はすべて落ちる。この手も落ちる。
他を御覧。総てに落下がある。
しかし一人ゐる、この落下を
限りなくやさしく両手で支へる者が。
(僕のひ弱な文学遍歴は蘆花や独歩から始まり、その影響でロシア文学へ移り、トルストイを読み、大学に入ってからドイツ文学に染まった。とりわけリルケのリリシズムとそこに潜む崇高への憧れを好んだ。その後やはりゲーテを読んだ。古本屋で買った茅野蕭々のドイツ文学研究書が今も家のどこかにあるはずだ。巨匠ゲーテより詩人リルケの方に親しみを覚えるが、いかんせん老化のせいか、リルケを読む気概が薄れたように近頃思う。)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます