自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

南極異変

2008年04月06日 | Weblog
(朝刊より)
 南極大陸から南米へ細長く張り出した南極半島の夏は、思いのほか色づいた世界だった。「スノーアルジー」と呼ばれる藻類(雪氷藻類)が大発生し、氷河をピンクや緑に染めていた。岩肌にはコケが広がり、ペンギンの営巣地はぬかるみや水たまりが目立つ。年平均気温は半世紀で3度近く上昇している。
 3月上旬。夏の終わりに南極半島で降っていたのは、雪ではなく雨だった。日中の気温も氷点下にならなかった。「この時期は雪が積もっていてもおかしくないのに」。南緯65度にあるウクライナのベルナツキー基地でカリャギン・ユゲニー隊長は言った。基地の周りには、むき出しの岩肌が広がり、点在する氷河はあちこちで色づいていた。
 ベルナツキー基地は1940年代から気象観測を続けている。50年間の年平均気温の上昇幅は約2.8度。地球平均は100年で0.74度の上昇なので、はるかに急激だ。半島のほかのどの観測点も気温が上がる傾向にある。
 生態系にも異変は及んでいる。約30年間の観測で、南極で自生する種子植物の個体数が基地の近くで最大25倍にも増えた。冬に氷が必要なアデリーペンギンは65%減る一方、氷がなくても平気なジェンツーペンギンが増えている。