ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『オクジャ/okja』を観て

2020年01月25日 | 2010年代映画(外国)
動画配信のNetflix(ネットフリックス)で、『オクジャ/okja』(ポン・ジュノ監督、2017年)を観た。

アメリカの巨大企業であるミランド社。
“餌も排泄物も少なくて環境に良く、食べておいしい豚”であるスーパーピッグの繁殖に成功し、その26匹を世界中の畜産家に預ける。
そして、最高経営責任者であるルーシーは、最も優秀なスーパーピッグを決めるコンテストを10年後に開くことを宣言。

10年後、韓国の山深い一軒家。
少女ミジャは、スーパーピッグの“オクジャ”といつも一緒に行動し、他に家族としては祖父しかいないが平穏な日々を過ごしている。
そんな中、ミランド社の社員である叔父のムンドが、コンテスト審査員のウィルコックス博士を連れてやってくる。
オクジャを目にしたウィルコックス博士は、その容姿に惚れて即、オクジャの優勝を告げる。

そして、「スーパーピッグコンテスト」開催場のニューヨークに向けて、オクジャは連れ去られて行く。
そのオクジャを救うためにミジャは、必死に走り追いかけ・・・

ソウルにあるミランド社に行くミジャ。
ちょうどその時、トラックで無理やり運ばれていくオクジャの姿。
トラックの屋根に飛び乗るミジャ。
そこに現れる、謎の覆面集団。

このようにしてミジャによるオクジャの救出劇が始まる。
絡み、ミジャ同じようにオクジャを救おうとする覆面集団。
この集団、“ALF”という動物愛護団体で、40年に渡り動物を虐待から救ってきたいい人たち。

活劇は続く。
その中で、オクジャの母豚について、アリゾナ生まれで現在チリにいるというミランド社の情報は大嘘であることがわかってくる。
実体は、遺伝子組み換えでスーパーピッグが作られ、その食肉を事実どおり販売しても売れないために、それを隠し工作して消費者を騙そうとしている。

大量のスーパーピッグがニュージャージーの施設で精肉に加工されていく。
オクジャもそこに運び込まれ、あわやの危機一髪がクライマックス。

筋書きは案外と単純だが、カバに似た大きなスーパーピッグ“オクジャ”の愛らしくとぼけた感じのキャラクターが、作品全体を包み込み引きつける。
だから、ミジャのオクジャに対する気持ちもよく理解でき納得させられる。

人が生きていくために他の生物の命を奪う。
そのことを、食肉処理工場の場面を通して描写し、人間と動物との関係、ひいては巨大企業による資本主義社会のカラクリも考えさせるが、
全体としての印象は、単純に楽しめる作品だな、という思いだった。
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