原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

秋色採集(2)

2009年09月22日 09時33分43秒 | 自然/動植物
秋の色を求めて川湯まで足を伸ばした。道東の秋は短い。それでもまだ少し早かったようだ。全面的な秋ではなかった。でも緑の中に点在するように姿を見せる秋の色がいじらしく感じる。すぐ近くに迫った厳しい冬を前に、懸命に準備をするようにも見えるからだ。道東に暮らして六年目。ようやく、秋の北海道をじっくり感じた気がする。四季を通じて一番いい季節になのかもしれない。


川湯のツツジヶ原の最も美しいのは白い花を咲かせる春(6月)であることは言うまでもない。だが秋もまた捨てがたい。ハエマツの群生の中にエゾイソツツジがモザイクのように組み込まれ、独特の風情となる。春の白い花に埋め尽くされる光景とは一味もふた味も違う。これはこれで、見事なのだ。春と違って人が少ないのもいい。硫黄山の噴煙だけが川湯の魅力ではないことを自然が示していた。


明治時代、この地は硫黄の採掘で多くの労働者が厳しい条件の中で働いていた。罪を償う囚人たちも多くいた。ここで彼らは現在と同じ光景を見ていたはずだが、きっと景色をゆっくり眺めることもなかったに違いない。美しい自然の中で流れた人間の歴史の過酷さを思い出さずにはいられない。


時代が政治を創るのか、政治が時代を創っていくのかは、門外漢の私にはよくわからない。だが、時代を象徴して政治があることは確か。今の日本がどのような時代の中で政治があるのか、考えるチャンスが来たようだ。それが日本の中で初めて実現した政権交代であろう。今後の日本にとって、どのような節目となるのか、じっくり見てみたい。アメリカに赴いた首相や外務大臣が世界にどのように発信するのか、楽しみでもあり、不安でもある。特にアメリカのジャーナリズムが無反応なのが気になる。これらのジャーナリズムに一撃を与えるような発言がほしい。アメリカは重要なパートナーではあるが、敵になることも辞さない日本であることを知らしめてもいいのでは、とちょっと過激に思う。

(下の二点の写真はわが軍馬山で採集)

夏から秋へ、四季が変わるだけの政権交代であってはならないことはたしかだ。

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2 コメント

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19日、硫黄山! (numapy)
2009-09-22 11:06:29
不肖ワタクシも19日、摩周湖から硫黄山、川湯、屈斜路湖、阿寒と秋を捉まえに。
摩周湖には感動しました。
今日、ハトがどんな翼で世界に羽ばたくのか、注目ですね。少なくともアメリカに日本のもうひとつのあり方を理解させて貰いたい・・・。
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19日ニアミスでした。 (原野人)
2009-09-22 13:53:56
19日は弟子屈周辺をうろうろしてました。ニアミスでしたね。天気がよかったので摩周湖は最高だったと思います。
摩周湖が世界遺産に登録されるようにと運動している人がいるようです。それが本当にいいのかどうか、微妙ですね。正直なところ。自然を守るという点ではよいのですが、マイカー規制が万全かどうか、多少疑問に思います。
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