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原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

満開の芝桜公園へ

2009年05月22日 09時12分00秒 | 地域/北海道
芝桜花街道を北へ進むと、それは突然のように目の前に現れる。山の斜面にヴァイオレットピンクのペンキをまき散らしたかのように鮮やかな色が広がっていた。自然界にありえない色彩と風景である。予備知識がなければ異次元境に迷い込んだと錯覚するだろう。それほどの衝撃がある。どうしてこのようなものが完成したのか。不思議な思いさえ過ぎる。この芝桜公園は、たった一人の農夫の献身があって初めて生まれたものであった。 . . . 本文を読む

同居者の憂鬱

2009年05月19日 10時11分11秒 | 地域/北海道
道東はたくさんの野生動物が棲息するエリアである。周辺環境を考えると、人と野生との同居密度は日本でも最も濃いエリアとも言える。しかし、その近さゆえに様々なトラブルを抱えている。少なくても、その軋轢を感じ、解消する生活の知恵を身につけなければならないはず。ところが、そのトラブルの数は減少傾向にはない。人間にとってはもちろんだが、野生たちにとってもきわめて憂鬱なトラブルであることを忘れてはならない。 . . . 本文を読む

「神の子」と呼ばれる池を見た

2009年05月15日 08時03分46秒 | 地域/北海道
池の中央部は鮮やかなエメラルドグリーンに染まり、倒木が水の中に見えていた。中心からは滾々と水が湧き出している。その透明感はこの世のものと思えない。神の子池と名付けられた理由が案内看板に記されていた。これは摩周湖の伏流水であるという。アイヌ語のキンタン・カムイトー(山の神の湖)の湧水。摩周湖との強いつながりを感じさせる。神秘と浪漫を漂わせ、原生林の奥深くで、聖泉は息づくように湧出していた。 . . . 本文を読む

北国の春が、咲きました。

2009年05月12日 08時37分24秒 | 地域/北海道
道東の春はゴールデンウィークを境に一斉に訪れる。家々の花壇には幾種類もの花が咲き始め、サクラ、ツツジ、コブシなどが、まだ緑の少ない野山に姿を見せ始める。日本で最も遅い春が訪れる瞬間はこの時から。テレビなどのニュースでは春の訪れは、開花する桜前線とともに伝える。が、道東に住むものにとって、サクラは一つの目安でしかない。サクラより少し前に開花するコブシこそが、春を告知する花だと私は思っている。 . . . 本文を読む

裏もあります、摩周湖

2009年05月08日 09時55分47秒 | 地域/北海道
最近、地理音痴の若者が増えているという嘆かわしい兆候はあるものの、摩周湖の名前なら日本人の大半が知っているはず。神秘のイメージや透明度の高さで知られ、阿寒国立公園の中にあることくらいの理解はあるだろう。だが、裏摩周となるとほとんどの人は知らない。通常の写真で見る摩周湖は第一展望台周辺から見た姿。それとまったく逆の方角から見る場所があるのだ。そこで未知の表情の摩周湖を見ることができる。 . . . 本文を読む

クーちゃん劇場、続演中!

2009年04月16日 11時07分14秒 | 地域/北海道
釧路川河口にラッコのクーちゃんが現れてから、およそ三カ月が経過した。当初はテレビや新聞報道が続き、連日のように幣舞橋に多くの市民が見物に集まっていた。最近はクーちゃんの話題が影をひそめている。もう北の海に帰ってしまったのかなと思いながら幣舞橋に出かけてみた。しかし、クーちゃんはまだいた。見学者の数はめっきり減ったものの、カメラを持った人や家族連れもいる。クーちゃん劇場はまだまだ継続中なのであった。 . . . 本文を読む

摩周湖って、アイヌ語?

2009年04月14日 08時27分36秒 | 地域/北海道
摩周湖をアイヌ語で言うとキンタン・カムイ・トー(山の神の湖)。アイヌの人たちにとってはこれが正式な呼び名となる。摩周岳はカムイ・ヌプリ(神の山)。それでは摩周(マシュウ)とは日本語なのかというと、どうやらそうではないらしい。これには諸説がたくさん残されている。出口も入口もないという神秘の湖は、道東独特の深い霧でその姿を隠すことが多い。その名前の由来もまたミステリーの霧に包まれていた。 . . . 本文を読む

母の福寿草

2009年04月03日 09時51分03秒 | 地域/北海道
四月に入って、北国の遅い春を待ちかねたように福寿草が開花した。道東の春を告げる花である。その和名には新春のめでたさを祝う意味が込められている。元旦草や朔日草とも呼ばれている。日本全国で見ることができる野草だが、2000年まで絶滅種の一つに数えられていた。子供の時から馴染んでいた花なので意外な感じがする。六十齢を過ぎたこの頃になって、福寿草を見るたびに複雑な思いに駆られる。母を思い出すからだ。 . . . 本文を読む

ネッシーとクッシー

2009年03月31日 11時18分49秒 | 地域/北海道
UMAという言葉がある。Unidentified Mysterious Animal、未確認動物という意味らしい。なんとなく造語の臭いのする言葉だなと思ったら、1976年ころに日本で出版された本に出ていた言葉。UFOに合わせて造られていることはすぐ分かる。70年代は、この未確認動物の話題が日本で沸騰していた。1973年にはクッシーの目撃情報が北海道を賑わし、1975年にはネッシー探検隊が日本から派遣されていた。平和を象徴する時代であった。 . . . 本文を読む

白鳥の湖で、思うこと。

2009年03月24日 06時26分19秒 | 地域/北海道
屈斜路湖畔にはたくさんの温泉がある。熱いお湯が湧き出ている。そのために冬になっても屈斜路湖は全面結氷をしない。温泉の熱で氷が溶ける場所がいくつかあるからだ。そうした場所に飛来してくるのが冬の来訪者、白鳥である。優雅な姿の白鳥を手に触れるほどの至近距離で見ることができる。冬の阿寒国立公園の名所の一つとなり、訪れる観光客も数多い。すぐそばにある売店には白鳥用の餌も売られている。 . . . 本文を読む

北海道の馬

2009年03月13日 10時25分11秒 | 地域/北海道
塘路湖畔にある「安部せいすけ牧場」を訪ねた。“せいすけ兄い”は生まれついた時から塘路の人。湿原の主でもある。釧路湿原のことなら何でも知っており、私の師匠でもある。郵便局に長い間勤め、民営化の話題が出る前にさっと退職し、牧場を始めた。馬について何も知らない私にとって、北海道の馬のことを知る機会を与えくれた人でもある。馬と標茶町の関わりも深い。北海道の歴史と馬は一つの道でつながっていた。 . . . 本文を読む

はじまりは、硫黄山。

2009年03月06日 10時13分32秒 | 地域/北海道
阿寒国立公園の名所の一つである川湯の硫黄山。火山跡の異様な風貌の溶岩ドームが眼前に広がり、岩肌の各所から強烈な勢いで水蒸気が噴き出している。すぐ側まで近づくことができる。その迫力のある自然はまさに北海道そのもの。絶え間なく吹き上がる水蒸気に地球が生きていることを実感する人も多い。アイヌコタン以外に何もなかった明治時代、この地区の近代化に多大な影響を与えたのは、この溶岩ドームからの硫黄採掘であった。 . . . 本文を読む

SL・冬の湿原号に乗る

2009年03月03日 09時29分33秒 | 地域/北海道
白く広がる湿原の中を走る黒い塊。白黒の噴煙を吐きながら、喘ぐように走る蒸気機関車。その姿は日本の高度成長時代を疾走した団塊の世代の姿にダブって見える。時代が過ぎて、すでに役目を終えた彼らに再びスポットが当たるのは、懐かしい時代を感じるからなのだろう。ITとか効率という現代とまったく正反対のSLに、手作りの逞しさを感じるのは私だけではないだろう。忘れかけた思い出を求めるように、冬の湿原号に乗った。 . . . 本文を読む

雪原の舞姫

2009年02月27日 10時41分59秒 | 地域/北海道
アイヌの人たちが「湿原の神」と呼ぶタンチョウ。アイヌ語では「サルルンカムイ」いう。羽根を広げると二メートルに及ぶ大きさがある。白と黒の羽毛を身にまとい、頭の上に鮮やかな朱色の鶏冠を持つその姿は、まさに神と呼ぶにふさわしい。特に雪に覆われた湿原の中で見る姿は見る者を引き付ける。優雅な飛翔や愛を語るその姿に神の姿を見たアイヌの人たちの自然観に学ぶことは多い。 . . . 本文を読む

コマイ釣りも、暖冬効果!

2009年02月20日 06時37分53秒 | 地域/北海道
ラッコのクーちゃんフィーバーが続く釧路河口で、それほど目立たないけれども、釣り人の注目を集めているものがあった。コマイ釣りである。釣れだすとどんどん釣れる。どうやら群れで河口に集まっているらしい。コマイの中にはオオマイもちらほら。この釧路河口のコマイ釣りも、なんと暖冬のおかげだという。地球温暖化による天候不順は不安を募らせるが、意外な効果も与えているのである。 . . . 本文を読む