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原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

湿原、冬景色(2)

2009年02月13日 06時56分15秒 | 地域/北海道
冬の道東の見ものと言えばやはりSL。湿原号のSLが3月初旬まで走っている。タンチョウに見まもられながら、冬景色の中を疾走する姿は圧巻。やはり冬は北海道らしさを感じさせる季節である。中でもSLは人気もの。これを目当ての観光客も多い。2月のSLは釧路と標茶間のみを走る。煙を吐きながら釧路湿原を走るSLの姿は、誰の心にも懐かしさを感じさせる。冬の風物詩をいくつか紹介。 . . . 本文を読む

湿原、冬景色(1)

2009年02月10日 08時59分48秒 | 地域/北海道
細岡の湿原展望台に向かった。冬の湿原を見るためである。今年は思いのほか雪が多いのでその変化も見たかったからだ。雪は意外に見えず、ハンノキの林の中に隠れていた。雪が降ったすぐなら雑木林の上に雪がたくさん残り、白い世界はさらに強調されたであろう。それでも寒々とした湿原の風景が印象的であった。目をこらさなければ分からないが、釧路川の向こうにはたくさんのエゾシカの姿も見えていた。 . . . 本文を読む

姿の消し方・考

2009年01月30日 09時59分34秒 | 地域/北海道
標茶霊園の一角に地蔵が立つ場所がある。全部で六体。これは町内に有遠無縁の霊を慰霊するためのもの。その多くは標茶にあった集治監に収容され、そこで亡くなった囚人たちであった。十六年間に約二万人の囚人が収容され、五百五人が集治監で命を落としている。津田三蔵もその一人である。記憶のかなたに忘れ去られた人々でもあった。諸行無常の風のなかで、ここだけが時間が止まっていた。 . . . 本文を読む

いよいよ、冬のSL始動

2009年01月27日 10時01分30秒 | 地域/北海道
1月24日(土)25日を皮切りに、釧網線の釧路・川湯間に一日一往復だけ蒸気機関車による列車が運行した。ただし、1月はあと31日(土)のみ。川湯までの運行は1月で終了する。2月から3月8日までは、釧路・標茶間を毎日走る。黒煙を上げながら疾走する蒸気機関車の姿は、冬の湿原に欠かせない風景でもある。今年で十年目を迎える恒例の冬列車。蒸気の音、黒煙や煤の匂いとともに懐かしい思い出もよみがえってくる。 . . . 本文を読む

開拓史の残照、駅逓所

2009年01月20日 05時20分04秒 | 地域/北海道
塘路湖の湖畔にある標茶町郷土館の隣に、古い平屋建ての家が保存されている。旧塘路駅逓の建物であった。北海道独特の制度として生まれた駅逓所がほぼ昔の形で残されていのは道内でも珍しい。明治時代の建築を見る上でも大変貴重な家屋となる。忘れかけられた開拓時代の息吹を実感できる数少ない建物でもある。歴史の浅い北海道の重要な歴史文化財は北海道人なら見逃してはならない。 . . . 本文を読む

街中に舞い降りたタンチョウ

2009年01月13日 03時40分33秒 | 地域/北海道
この冬の道東は雪が多い。12月というのに雪景色が広がっている。正月から雪の中で過ごしたのは何年振りだろうか。その白い世界にタンチョウが舞い降りたていた。それも町の真ん中にである。近年、人家近くでタンチョウをよく見かけるようになっている。それでも街の中というのはあまりない。彼らの生態系にも大きな変化が見られるようだ。このことが、彼らの未来にどんな影響を与えるのだろうか。 . . . 本文を読む

塀の中の面々(2)

2008年12月29日 14時58分28秒 | 地域/北海道
前のブログでも紹介したが、標茶町の集治監(釧路集治監)には、明治の歴史に残る囚人たちが収監されていた。前回紹介した津田三蔵と並んで忘れがたい人物がもう一人いる。李鴻章を襲撃した小山豊太郎である。この名前は現在の歴史上ではほとんど消された名前と言っていい。だが、日清戦争終結させた講和条約締結に多大な影響を与えた襲撃であった。明治の歴史の中でも注目すべき事件の主役であった。 . . . 本文を読む

点描、シラルトロ湖

2008年12月25日 10時11分45秒 | 地域/北海道
ハクチョウが羽根を休め、湖畔の斜面には別荘住宅が並ぶ。まるでヨーロッパの高級リゾート地を思わせる風景が広がっていた。私が知る四十数年前のシラルトロ湖とは、まったく違っていた。塘路湖に接するようにあるシラルトロ湖。森と湖の祭りで有名となった塘路湖に比べ、今ひとつ知名度に欠けているが、穏やかでいかにも「湿原の中の湖」を感じさせ、季節を問わずいつ訪れても心地良い湖である。 . . . 本文を読む

小説「森と湖のまつり」が、投げかけたもの。

2008年12月18日 12時07分09秒 | 地域/北海道
武田泰淳の小説「森と湖のまつり」は映画化もされている。舞台は塘路湖であった。60歳を超えた人でなければ覚えていないかもしれない。アイヌ問題を正面から取り上げた小説であった。映画では高倉建が主演、監督は内田吐夢。映画のロケも塘路湖で行われた。冬の塘路湖には白鳥が舞い、タンチョウもいる。小説が提示した問題を打ち消すような平和な風景がそこにある。この反比例する現実こそ、日本の姿なのかもしれない。 . . . 本文を読む

明治の世相を反映した、塀の中の面々

2008年12月16日 10時12分44秒 | 地域/北海道
明治時代に標茶町にできた釧路集治監が、町を形成させるきっかけとなったことは、11月のブログで紹介した。集治監とは「徒流刑に処せられた者を拘禁する所」、後の網走刑務所へとつながっていく。極寒の北海道に送り込まれた者たちは、重罪人はもちろん政治に絡む思想犯たちであった。明治の世相が囚人たちにそのまま反映されていた。彼らの記録を見ると明治と平成がリアルタイムにつながってくる。 . . . 本文を読む

鉄道記念塔の影にあるものは?

2008年12月12日 11時06分51秒 | 地域/北海道
釧路駅近くにある幸町公園(通称鉄道公園)の中に塔が建っていた。北海道鉄道記念碑となっているが、これは北海道の鉄道の総延長が一千哩(マイル)に到達したことを記念した、いわゆる「鉄道一千哩記念塔」である。なぜ釧路にこの塔が建てられたのか、ちょっと疑問に思い調べてみると、不思議な事実が浮き彫りになってくる。その根底には、現代にもつながる国策の北海道開発計画が脈々と流れていることを感じさせた。 . . . 本文を読む

タンチョウ夫婦の愛は永遠って、ほんとう?

2008年12月09日 10時16分50秒 | 地域/北海道
タンチョウを見かける時は、いつも二羽。番いの夫婦である。春に子供が誕生すると夫婦で卵を温め、夫婦で餌を運んで雛鳥を育てる。家族一緒で飛来する姿もよく見かける。実にファミリーなのである。夫唱婦随のシンボルとか、夫婦は一生添い遂げるという話も伝わってくる。この話は本当なのだろうか?余計なこととは知りつつも、タンチョウの真実を追いかけてみた。意外に人間くさいタンチョウの姿がそこにあった。 . . . 本文を読む

大きな川のほとり―シベッチャ

2008年12月03日 09時59分20秒 | 地域/北海道
私が住む街、標茶について今日は語ろう。街のほぼ中心を釧路川が流れている。屈斜路湖を源とする釧路川は釧路の河口まで全長154キロ。その間、街の中を通るのは弟子屈町と標茶町の二つだけ。ゆったり流れるその河畔風景は明治時代とは様子を変化させているものの、昔ながらの流れを感じさせる。近年ではこの河畔でタンチョウの姿を眺めることができる。昔はこの川を遡上する鮭の姿も眺めることができた。 標茶の名前の由来は、 . . . 本文を読む