うどんの研究
連載中
(14)パンの昔ばなし
無発酵パンと平焼き 2/2 new
また、チャパティとは違い、
発酵生地を使った「ナン」は
小麦粉にバターミルク、卵、
酵母、ベイキングパウダー、
ソーダを混ぜてこね、約1時
間ほどねかせてから丸めて、
めん棒でのばしてから上下に
ひっぱり、ちょうど大きなわ
らじ形にのばして焼いて、仕
上げにギーまたは無塩バター
を湯せんしたものをかける。
本場では、タンドールという
円筒形の窯の内側にはりつけ
て焼き、焼きたてのものをち
ぎって、カレーにのせたり、
つけたりしていただきます。
(次回に続く)
無発酵パンと平焼き 1/2
古代エジプト以前のパンは無
発酵パンで、その流れをくむ
パンにはインドの「チャパテ
ィ」がある。つくり方は、全
粒粉に塩、水を加え、1時間
ほどねかせたものを丸め、め
ん棒で薄くのばしたあと、両
面を熱した鉄板で焼く。小麦
粉と水を加えた生地を焼いた
ものは「平焼き」と呼ばれ、
この仲間にはフランスのクレ
ープ、日本のお好み焼き、中
国の餅(びん)の一部がそれ
に含まれる。
(次回に続く)
クリスマスのプレゼントはパン
2/2
飢饉を少しでも救おうと修道
院では、飢えた人々にパンや
ワインを配ったといわれてい
る。また、パンを配るという
習慣は、中世から行われてい
たようで、このほかにも葬式
や死者の命日などにもあった
という。その風習は、日本に
もある死者の清めのため、参
列者に食べもの、飲みものを
ふるまうといったもので、葬
式後の会食がはじまりで、居
合わせた貧しい人々にも分け
合って食べたという。
(次回に続く)
クリスマスのプレゼントはパン
1/2 new
時は四世紀。古代都市ミュラ
(現トルコ領)に飢饉が襲っ
た。司教であった聖ニコラウ
ス(サンタクロース)は、こ
の地方の人々にパンを配って、
人々を救ったとい う。これが
クリスマスプレゼントの起こ
りとなった。中世のヨーロッ
パでは、その頃、慢性的な食
料不足にあえいでいた。
(次回に続く)
「最後の晩餐」とパン 3/3
実は、キリストは神への捧げ
ものとして表されている。パ
ンとワインの恵みに感謝し、
それを神に捧げ、なおかつ食
べることによって、さらに恵
みを受けるというもので、今
日に至るまでミサなどの儀式
には、パンとワインを用いて
いる。儀式に使われるパンは
無発酵パンで、小麦粉と水だ
けでこねた生地を焼いてつく
る。なぜ無発酵か というと、
発酵というのは、つねに腐敗
と背中あわせのもので、腐敗
は穢れという考え方から、神
聖な儀式には用いられないの
がその理由だとされています。
(次回に続く)
「最後の晩餐」とパン 2/3
イエスはパンを取り、感謝の
祈りを唱えてそれを裂き、使
徒たちに与えて言われた。「
これはあなたがたのために与
えられるわたしの体である。
わたしの記念としてこのよう
に行いなさい。」食事を終え
てから、杯も同じようにして
言われた。「この杯は、あな
たがたのために流される、わ
たしの血による新しい契約で
ある」(ルカによる福音書)
(次回に続く)
「最後の晩餐」とパン 1/3
あまりにも有名なのがレオナ
ルド・ダ・ヴィンチの壁画「
最後の晩餐」ですが、このほ
かにもヨーロッパ各地でこの
モチーフを使った絵が描かれ
ていて、その食卓には、必ず
といっていいほどパンが描か
れている。いわゆるキリスト
の血と肉。ご存じ のように血
はワインを表し、肉はパンを
示す。
(次回に続く)
四旬節と種なしパン 2/2
旧約聖書「出エジプト記」に
イスラエルの民がエジプトを
脱出する場面があった。それ
は夜あけ前のこと、エジプト
人にせきたてられたイスラエ
ルの民は、小麦粉と水だけで
こねたパン生地を、こね鉢と
ともに、衣に包んで肩に担い
で逃げた。そして、持ち出し
た生地で種なし、つまり無発
酵のパンを焼いた。エジプト
を追放されたイスラエルの民
は、この日をいつまでも忘れ
ないようにするために正月の
14日夕方から、21日の夕方の
7日間、酵母を入れないパンを
食べるという風習を守り、こ
のおきてをやぶったものは、
イスラエルの共同体から断た
れる、つまり死罪にするとい
うのだからたいへんなおきて
である。
(次回に続く)
四旬節と種なしパン 1/2
中世ヨーロッパを中心として
厳しい戒律があった。四旬節
とは、毎年原則として3 回、4
0日間の断食期間を意味する。
断食とは、文字通りの断食か
ら、段階を踏んで肉や動物性
脂肪つまりバターや乳製品、
果ては蜂蜜や発酵したパンま
でもだめだというもので、こ
の期間にとることが許された
食物は、海からの海産物や魚、
果物と野菜であり、日本でい
えばさしずめ「精進料理」的
な日が一年のうちに3分の2に
及ぶというものであった。
(次回に続く)
パンの格言 3/3
イエス・キリストが活動を始
めた頃、40日間にも及ぶ断食
を行った時、その40日目の夜
には悪魔がやってきて、空腹
の極みにあったイエスに「お
前が神の子なら、かたわらに
あるその石を命じて、パンに
なるように言ったらどうだ」
といって悪魔はささやきます
が、イエスは『人はパンだけ
で生きるものではない。神の
口から出る一つ一つの言葉で
生きる』と新約聖書・マタイ
福音書第4章第4節に書いてあ
るといって、悪魔の誘惑をつ
っぱねて石をパンに変えるこ
とを拒否します。
(次回に続く)
パンの格言 2/3
「人間はたんにパンのみにて
生きる者ではないが、やはり
パンによっても生きてもいる
のだ。」フランスのジョセフ
・エルネスト・ルナンの言葉
。人が生きていくため には
信仰も必要だが、やはり生き
るためにはパン(食物)もな
くては生きてゆけない と言っ
ている。
(次回に続く)
パンの格言 1/3
「汝は額に汗して汝のパンを
得ざるべからず。」ロシア/
L・N・トルストイ。この言
葉は、旧約聖書・創世記にあ
る『額に汗してパンを得る』
からきていますが、ここでの
パンは、ただたんにパンをさ
すものではなく、人のからだ
をつくる食物全体を示してい
て、自分が生きるためには、
自分で働いて得る食物こそ大
切だということを表している。
(次回に続く)
(13)うどん雑学
チャパティは平焼きパン代表
インドの主食チャパティは、
全粒粉に水と食塩を加えて練
り、1~2センチの厚さに伸ば
し、熱した石か鉄板で焼き上
げる。インドの小麦粉はたん
ぱく質含有量がさほど多くな
く、気温の高さも発酵パンに
向かず、こうした食べ方にな
ったのだろう。でも、適当に
ちぎって料理を包んで味わう
工夫は、人類の知恵というべ
きものだ。
(次回に続く)
おいしいパンが食べたい 5/5
一方、無発酵のチャパティや
発酵を経るナンといった平焼
きパン、あるいは蒸しパンは、
求められる食感や外皮の白さ
の程度で小麦粉の種類を選ぶ。
食感は比較的柔らかであるこ
とから、中力粉または準強力
粉が使われる。このように、
パンの作り方はたくさんあり、
当然、種類も豊富だ。パン好
きの人にとっては、いろいろ
な好みを選んで食べるのも楽
しみのひとつだ。
(次回に続く)
おいしいパンが食べたい 4/5
同じ発酵パンでも特徴的なの
は、フランスパンだろう。パ
リッとした外皮とあっさりし
た味わいの内側の絶妙なコン
トラスト。強力粉の場合ほど
ではないが、グルテンが多め
の準硬質または中間質小麦を
ひいた小麦粉で焼く。
(次回に続く)
おいしいパンが食べたい 3/5
例えば、四角あるいは山形の
食パンは、キメの細かい、白
くふっくらとした性状が好ま
れる。このためには吸水性の
よい、適度な弾力を持つ、体
積の大きなパンになる小麦粉
が向いており、主としてたん
ぱく質含有量が13~14%と高
いアメリカやカナダ産の硬質
小麦からとる強力粉を使う。
これに対し、菓子パン用の小
麦粉は、食パンほどグルテン
パワーを必要としない。出来
上がりも白くなくてもよい場
合が多い。このためグルテン
の少なめの準強力粉を用いる。
(次回に続く)
おいしいパンが食べたい 2/5
パンを作るには小麦粉、イー
スト(酵母)、塩、水が基本
材料であるが、これに味や風
味を良くするために砂糖、油
脂、乳製品などを使う。製パ
ンで大切なのは、たんぱく質
の量が多くて、質の良い小麦
粉を使うことだ。即ち、小麦
粉独特のたんぱく質グルテン
の力が強く、伸展性が良い小
麦粉を使うとよいパンができ