El Camino de UK

旅とサッカーを中心に、備忘録として思いを綴っていきます。

赤い悪魔と赤き血のイレブン~ACL準決勝/浦和vs城南@埼玉スタジアム

2007-10-28 | Japan Football


久しぶりの日記&サッカー観戦記です。
今週は所用で東京に行っておりまして、その序でに水曜日、埼玉スタジアムで行われたACL(Asian Champions League)準決勝、浦和レッズVS城南一和の試合を観に行ってきました。(以下丁寧語省略。)

試合から丸二日経った今でも、興奮と熱気の余韻が残る凄まじい一戦だった。



クラブレベルでの日韓戦、Jの王者とKの王者の意地とプライドを賭けた最終決戦にスタジアムは試合開始前から異様な雰囲気に包まれていた。
アウェー・ゴール裏の約半分を埋めた城南サポーターがチームカラーである黄色のチアスティックと韓国の民俗楽器を使って応援を始めると、それまで静かだったレッズサポーターから、ここは俺たちのホームだと言わんばかりに激しいブーイングが飛ぶ。
それから数千、いや数万本にも及ぶ赤い旗が揺らめき、「ウラーワ、レッズ!!」のコールで城南サポーターの声は一気に掻き消されてしまった。



選手入場時にはスタジアム全体を真っ赤に染める壮観なコレオグラフィを演出。ゴール裏で“We are REDS!”の見事な人文字を浮かび上がらせた。

前半20分、ワシントンが目の覚めるような豪快なシュートで先制し、1点をリードしたまま前半を折り返した時点では、誰もがこのままホームの浦和が快勝するだろうと信じて疑わなかっただろう。
ところが、さすがは韓国最強チーム。圧倒的不利な状況でも城南は後半に入り猛攻を仕掛け、後半11分と24分に立て続けに2点を決め逆転する。
それまでレッズサポーターの大声援に圧倒されていた黄色装束の城南サポーターが一気に盛り上がる。
対するレッズサイドのスタンドは一瞬の静寂…、悲鳴にも似た叫び声も聞こえ、あと一点取られればそこで“The End”という今度は浦和が絶対絶命の大ピンチを招く展開になってしまった。

しかし、レッズサポーターは決して諦めることはなく、ゴール裏だけでなくメインやバックスタンドのサポーターも含めてこの試合一番の熱い応援と割れんばかりの拍手に。
長谷部のゴールですぐに同点に追いついたあとは、もう両チーム選手の気力の勝負だった。



リーグ戦ではなかなか味わえない、生きるか死ぬかのトーナメント戦という緊張感。
生観戦でこれだけシビれるような内容の試合は本当に久しぶりだ。
最初は冷静に観戦していた僕も、周りのレッズサポーターに感情移入し、次第に選手の一挙一動のプレーに喜怒哀楽の感情を露にする自分がいた。

延長は守るだけで精一杯な程、浦和の選手は憔悴し満身創痍な状態だった。逆にここまで浦和を苦しめ、延長に入っても衰えるところのない城南イレブンの精神力と体力は敵ながら賞賛に値する。
結局延長でも決着がつかなかったが、浦和がよく凌いでPKまでもつれ込んだという印象が強かった。

PK戦、ここでもレッズサポーターは最強のサポートをする。
圧巻は城南の選手が蹴る場面。全てのサポーターが持参したマフラーや旗を思いっきり振りまくり、親指を下に向け怒号のような大ブーイングでキッカーの集中力を妨げる。
これまで見たこともない鳥肌が立つ程の強烈な大大大ブーイング…。
この時僕は、レッズサポーターの愛称である本物の”赤い悪魔”を見たような気がした。
これではさすがの城南の選手も平常心でいられる筈もない。
最後は平川が落ち着いて決め、浦和イレブンが抱き合い、城南イレブンは肩を落とし、埼玉スタジアムはまるで優勝したかようなお祭り騒ぎに。



かくして延長・PK戦を含め、130分にも及ぶ壮絶な死闘は終わった。

この試合の最大の功労者は、スタジアムに詰め掛けた5万人のレッズサポーターではないかと僕は思う。
リードされても、疲労困憊になっても選手を盛り立てる熱狂的な応援は、何にも増して選手の力の源にもなるし、またその姿が言葉では言い表せないほどの感動的な光景だったからだ。

後半開始前にサポーターが歌っていた“赤き血のイレブン”の応援歌。
  赤き血のイレブン~
  ラララ~浦和レッズ~
  世界に~魅せつけろ~
  俺たち!の誇り~
名古屋グランパスを応援する僕にとって、常に世界を見据えて戦っている“浦和レッズ”というチームに、僕は強烈な嫉妬心と羨望の眼差しでレッズサポーターが歌うゴール裏を眺めていた。

ここまで来たら、レッズには是が非でも日本代表としてアジア・チャンピオンの称号を勝ち取ってもらいたい。
そして見てみたい。
12月のClub World Cupで“赤い悪魔”に支えられた“赤き血のイレブン”が、西の蹴球大国から来た“Rosso Nero”を打ち負かす瞬間を。