遊民ヤギ爺

俳句と映画のゆうゆう散歩

斬られ役者の死

2021-01-06 16:12:14 | 日記

令和3年1月6日(水)

俳優、福本清三さん死去

1月1日、斬られ役で映画、TV等の時代劇に出演された

俳優の福本清三さんが肺がんのため亡くなられた(77歳)

1958年(昭和33年)、15歳で東映京都撮影所に入所。

約半世紀を斬られ役で出演し、「5万回斬られた男」として

その名を売った。

2003年(平成15年)のハリウッド映画、トム・クルー

ズ主演「ラスト・サムライ」に出演、寡黙な侍役で好演した。

トム・クルーズと共演

 

2014年(平成26年9には、映画「太秦ライムライト」

で初の主演を果たした。斬られ役50年の大ベテランという

役回りで熱演,脚光を浴びる。 この映画は自らの自伝的な

映画で、「第18回ファンタジア国際映画祭」に於いて、日

本人初の主演男優賞を受賞した。

共演の山本千尋さんと

 

「ただ単に斬られるのではなく、常に斬られ方の研究をして

居り、見る者に強烈な印象を与える「死に方」を日々模索し、

「海老反り斬られ」などを考案、画面上に多く残る事を意識

していたという。

海老反り斬られ

 

映画やTVに数多くの作品に出演し、その殆どの主演者達か

ら斬られ、称賛された役者であった。

銭形平次、大岡越前、水戸黄門、遠山の金さん、江戸を斬る、

桃太郎侍、人形佐七、伝七、暴れん坊将軍、剣客商売、柳生

一族の陰謀、赤穂浪士等など、、、、誰もが必ず一度はその

壮絶な殺陣の場面にお目にかかっているであろう。

何故か、憎めぬ心に残る名悪役(斬られ役)であった。

 

今朝の中日新聞のコラム「中日春秋」に福本さんの死を悼む

記述があったので紹介したい。

中日春秋

時代劇の撮影で斬られた。「お前死に方が上手だな」、主役

の萬屋錦之助さんに声をかけられたという。「芝居が上手と

いう事だよ」とも。 上手い芝居をしている意識等なかった

俳優の福本清三さんは、その言葉で斬られ役の誇るべき面に

気が付いた。 斬られて倒れると薄目を開けて、他の俳優の

斬られ方を学んだ。 洋画からは、笑いを誘うチャップリン

の倒れ方などもヒントにした。

無念の思いを残す様に倒れる独特の斬られ方を編み出して

いる。 時代劇のスターに斬られ、やくざ映画時代には

撃たれた。

そんな役を約半世紀にわたって演じ「5万回斬られた男」

と呼ばれる。 死に方、斬られ方」という脚光を浴びない

脇役の場所に、独自の美学築き上げた福本さんが77歳で

亡くなった。 大部屋時代には一日十本の映画も珍しくな

い。名前もセリフもない役ばかり。そこから磨いたのは、

他人を輝かせる演技だった。「斬られにいかず斬りにいく

そうしないと斬る側が目立たない」

50歳になった頃から注目されるようになった。テレビ

番組で知ったという中学生からは「感想文」が来た。

「どうせ補欠やと腐ってたけど、福本さんを見て努力すれ

ば絶対にレギュラーになれると思いました」「底辺でも

一生懸命やることがいかに大事か判りました。」

スターよりも多くの人を励ました役者かもしれない。

(中日新聞朝刊コラム:中日春秋より、

 

今日の1句

見えを切る斬られ役者に淑気満つ    ヤギ爺



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