遊民ヤギ爺

俳句と映画のゆうゆう散歩

図書館寄席 2

2020-02-27 15:41:22 | 日記

令和2年2月27日(木)

港図書館の落語会 2

1)動物園 : 演者、光家 しらす

 

この男、朝起きられない、力仕事は駄目、口下手で

仕事勤めが出来ない不精な男。

或る日、ピッタリの仕事が在ると、世話して貰う。

「午前10時出勤、しゃべる必要なし、何もしないで

昼食、昼寝付きで日当1万円」

好条件に飛びつき、案内された所は移動動物園である。

園長は男に虎の毛皮を渡す「展示の目玉の寅が死んだ

ので、その皮を被り寅に扮して虎の檻に入れ、、」

無理やり檻に入れられた男は、園長に虎の仕草を教わり

「前肢の方向と逆向きに頭を捻ると虎らしくなる、、」

子供が檻の前にやって来て、パンを食べる、、、

空腹の男は子供にパンをせがむ。「父ちゃん虎がしゃべ

ったヨ」「?」 パンを貰ったが食べられず、コッソリ

頭を跳ねる、それを見て騒ぐ子供に、大声で唸り、、

子の泣くスキにパンを食べる、、、、、

その後、園内放送で「只今より、虎とライオンの猛獣ショ

ーを行います」  男は説明が無かったのでパニックを

起こすが、、、檻に放たれたライオンが飛び掛かり、、、

「心配するな、ワシも1万円で雇われたんや、、、」

2)粗忽長屋 : 演者、艶目家 龍刃坊

浅草の観音様へお参りに来た八五郎は人だかりに、、、

昨夜から身元不明の行き倒れ見物に出くわす。

役人は、通行人に死体を見せ知り合いを探していた。

死体を見た八五郎は「こいつは同じ長屋の熊五郎で、今朝

体調が悪いと言っていた」役人は「行き倒れは昨夜から、

人違いだ」というが、八五郎は聞く耳持たず、、

「長屋へ行って本人を連れて来る」と、、、、、

長屋に戻った八五郎は熊五郎を起こし「お前が観音様の前

で死んでいた」と、熊五郎は「自分はこの通り生きてる」

「お前は粗忽者だから死んだ事に気づいていない」と、

熊五郎を連れて観音様の前に戻り、、熊五郎は死体を見て

「間違いなく自分だ」  周りの人は「そんな筈はない」

と呆れるが、八五郎も熊五郎も納得せず、、、、

役人が止めに入るが押し問答に、、、、、、熊五郎はふと

「どうも判らネー、抱かれているのは確かに自分だ、抱い

ている俺は一体誰なんでー」

この落語、柳家小さんや古今亭志ん朝等の名人達が挙って

演じた。粗忽者は落語の題材に多く、粗忽の使者、堀之内

等多くの噺がある。

3)佐々木裁き : 演者、光家 鶴太

 

 

江戸南町奉行の佐々木信濃守がお忍びで、市中を見回って

居ると、子供達が」「お奉行ごっこ」をして遊んでいた。

近寄ると「邪魔だ、邪魔だ」と竹で追払う、、、、

見守っていると、奉行役の子が佐々木信濃守と名乗り、

お調べは、一から十迄、「つ」が揃っているかで揉め口論

喧嘩となったとの事。奉行役の子は「さような些細な事を

もって、御上の手を煩わせる不届きもの」と喧嘩の両名を

諫め、「一から十迄、つはみな揃って居る。」然し子供は

「だって十は、十つと言わないヨ」「黙れ、奉行に偽りは

ない。この中でつを盗んだ者がいる。五つはいつつと言い、

つが二つ、これを取り十に付けると皆揃う」これを見て

本物の佐々木信濃守は感心して、「奉行役の子とその親を

町役人を付け、出頭させよ」

これを聞いた町内は大騒ぎ、「お奉行を竹の棒で追払った

らしい」と騒いでいる。

奉行の子の桶屋の四郎吉は(13歳)平気」だが、親の

綱五郎は、真っ青になっていた。

奉行、「これ四郎吉、これから奉行の言う事に答えられる

か」、四郎吉は「お白洲の砂利の上では位負けする。奉行

に並んで座れば何でも答えられる」

奉行は「空に在る星の数が判るか」 四郎吉は「このお白

洲の砂の数が判りますか」 奉行は絶句、、、、

奉行は三方の上の饅頭を差し出し「食べて良い」四郎吉は

「おっ母のくれるのより、よっぽど美味しい」

奉行は「父親は何をくれる」 四郎吉「小言ばかり」

「では饅頭をくれる母と、いつも小言を言う父とどちらが

好きか?」四郎吉は「二つに割った饅頭どちらが美味しい

と思いますか」

次に奉行は「四角でも三方とは?」「一人でも与力と言う

が如し」 「では与力の身分を知っているか」 四郎吉は

起き上がりこぼしを取り出し、「この様に御上のご威光を

来ていつもそっくり返っています、そのくせすぐ壊れます」

「では与力の心はどうか?」起き上がりこぼしの片方に銭

(天保銭)を付け「銭の在る方に傾きます」

奉行は四郎吉に「あの衝立の仙人の絵が何を言うか、聞いて

参れ」「佐々木信濃守は馬鹿だと言ってます。絵が物を言う

筈がないって」これには佐々木信濃守、大いに笑う、、、、、

後日、四郎吉が十五歳となった折り、四郎吉を「近習」へと

取り立てたそうである、、、、

笑いは百薬の長とか、、、大いに笑って浮世の憂さを、、、

 

今日の1句

長閑しや鼾の聞こゆ落語会     ヤギ爺