たそがれ縁側日記

ボケ老人の独り言

フセイン元大統領の処刑

2007-01-05 15:43:43 | Weblog
 フセイン大統領が処刑された。死刑判決が確定してから30日以内に死刑を執行することになっているようだが、判決確定後わずか4日の執行だった。恐怖政治でイラク民を抑え込んできたフセイン政権を倒せばイラクは民主化されると一時は思われていたが、現実は逆の方向で、スンニ派とシーア派との宗派間の武力闘争は今や内戦へと進み、国内情勢は悪化の一途をたどっている。
 国の政治体制は民主主義が最善だとは一概には言えないようだ。国の統治方式はそれぞれの国の歴史と民族性により独自の政治体制がとられている。そのやりかたが独裁的、強権的、非民主的である場合でも、そうしなければ統治できない国内事情が内在している場合が考えられる。そうした国へ民主主義を押し付けてみたところで反発を招くだけのようだ。
 イラクは米国指導の下で民主化の道を歩み始めたが、これに反発する宗教指導者や、国内の石油資源を取り込もうとする民族が複雑に絡み合って武力紛争が起こっている。この国で民主化を成し遂げるのは容易なことではない。かつてチトー大統領が統治していた民族のモザイクであるユーゴスラビアは、大統領が死去すると、たちまちばらばらとなり、民族ごとに共和国ができて凄惨な民族間戦争が起こった例もある。むしろ強力なカリスマ性を持った指導者が現れるのを待つほうが現実的かもしれない。