DOCOMORO100

モダニズムだけじゃない建築ブログ

大場政夫になれ!東京中郵!

2009年02月28日 08時28分01秒 | DOCOMOMO
 今朝、少し遅れて鳩山邦夫総務相のインタビューをテレビニュースで見た。昨日、「penkou師匠がテレビに出ている。東京中央郵便局のニュースである。」と教えてもらったものの、見逃していた。朝、最初に見たニュースで前述のインタビューを放映していた。その内容は、鳩山邦夫総務相が東京中央郵便局の再開発に異議を唱えたというものである。
 衆院総務委員会での答弁で、保存が成るかはまだまだこれからではあるが、一筋の光が射した思いだ。

 自分の中での逆転勝利の代名詞は、チャチャイ・チオノイを逆転KOした大場政夫だ。東京中郵よ大場になれ!(首都高でコルベットと共に散った最後は真似しないで。)

 

お蔵出し決定版 その30(2007年 4月 京都市)

2009年02月24日 18時19分34秒 | 建築
 mさんの記事「Time'sⅠ・Ⅱ」を受けて、自分もコンクリートブロックによる安藤建築を紹介したいと思う。 
 北海道では、現代の住宅作家が外壁にコンクリートブロックを用いる例が多く、初めてこの「B-Lock北山」を見た際にも、あまり違和感は無かった。円弧を描くブロック壁なども、札幌市内でも見ることが出来る。B―Lock北山では、その円弧の壁が目隠しとなり、所々明いたスリットから店舗が覗く。チラリズムで人の興味を引いている。また上部へ続く階段は最上階で極端に狭くなるのだが、遠近法の作用使って、限られた敷地内でドラマ性を演出している。

 第一印象の違いだろうか。Time'sⅠ・Ⅱと比べ、良い印象を持っている。Time'sⅠ・Ⅱは川面まで1Fのフロアラインを下げ、動線もドラマチックでやはり面白い建築なのだが。この印象の違いは何故だろう。自分でも明言出来ずにいる。

「B-Lock北山」
設計者:安藤忠雄 竣工:1988年 京都市北区上賀茂岩ヶ垣内町41

四季の像

2009年02月22日 23時59分46秒 | Art
 最近、野生のラッコ“くうちゃん”が現れて、全国ニュースにも映った釧路の幣舞(ぬさまい)橋には、新制作派協会彫刻部に参加した佐藤忠良、本郷新、舟越保武、柳原義達各氏の作品が設置されている。四季の像と名づけられた“春夏秋冬”像の制作者は以下の通りである。

「春」舟越保武氏

「夏」佐藤忠良氏

「秋」柳原義達氏

「冬」本郷新氏


 海鳥の糞で汚れてしまっているのが残念だ。本郷新氏と佐藤忠良氏は高校の同窓で大先輩である。佐藤忠良氏の「夏」像が良いですねと告げたところ、毛綱毅曠氏のお姉様は「舟越氏の春の像が好きである」とおっしゃっていた。
 いずれも素晴らしい作品である。コマーシャルの台詞ではないが「贅沢」だ。橋の近くには本郷新氏の石川啄木像も有り、毛綱建築も数多い釧路は芸術の街である。

お蔵出し決定版 その29(2007年 1月 ローマ)

2009年02月19日 23時42分50秒 | 建築
 越後妻有アートトリエンナーレは3年に一度開催される。だから“トリ”エンナーレ。「サンタ・マリア・イン・トリビオ教会」は三叉路に位置する。それで“トリビオ”である。写真には写っていないが、恐らく後年に建てられたであろう、背後の建築に取り込まれたようなファサードである。ちょっとがっかりであったが、有名なAntonio Gherardiによるフレスコ画や、その他の絵画、内部の装飾などは、さすがローマである。建築自体はバロック様式で、背後の建築を見なければ、これも素晴らしいものであった。

 さて我が北海道でも中札内村で2年に一度の「北の大地展ビエンナーレ」が開催される。大きな芸術祭になって欲しいと思う。

「CHIESA DI SANTA MARIA IN TRIVIO」
設計者:? 竣工:1575年 ローマ市内

考えに考えて考え抜く

2009年02月18日 00時03分18秒 | 建築論
 一昨日の16日、札幌コンベンションセンターで卒業設計の発表会が行われた。毎年思うのだが、たった2年や3年で皆よくここまで設計力を付けられるものだと本当に関心する。自分などは23歳から建築を学び始めたのだが、こんなに意識を高く持っていたかというと、はなはだ疑問である。

 伝え方を見てもそうだ。自分は卒業論文であったが、学部生の卒論は、院生の論文の基礎的役割のことが多い。農学部時代は助手の教官にマンツーマンで御指導頂き、家禽学会誌に掲載もされた。建築学生時代の卒論は、自分でもまったく印象に残っていないのだから困ったものである。そんな卒論を聞いたところで聴取側にも何も残らないだろう。
 今回発表した皆の発表は、よく分かって聞いているこちらも嬉しくなった。プレゼンの基本であろう。一般性の獲得は、専門性の先に存在する。考えて考えて、考え抜いた作品のプレゼンは、聞いていて気持ちが良いものだ。
 建築を学んでまだ2、3年というのも良い影響があると思う。すれていない、プリミティブな輝きを放っていた。今の心を忘れないでほしいと切に願う。

 

秋までに予習復習函館 其の4「函館の玄関」

2009年02月17日 19時20分41秒 | 建築
 「小樽築港駅」「新千歳空港駅」そしてこの「函館駅」と、JR北海道では姉妹鉄道であるデンマーク国鉄と共同デザインした駅が3つ在る。学生時代には青函連絡船が就航していたので、函館駅と言えば“階段と長い連絡通路”のイメージであった。2003年から使われている新駅舎は、バリアフリーを積極的に取り入れた建築となっている。ホームから改札までの動線がフラットで実にスムーズだ。
 デザイン性も高い建築で、改札を抜けた空間の上部円筒形が印象的である。


 また、改札前後には流政之氏のレリーフや彫刻が展示してあって、思わぬお土産を頂いた気分だ。

 「SAKIMORI」は素材の違うものが、北海道知事公館にも設置されている。

 写真上部のブリッジは、2階の多目的ホール「イカすホール」に繋がっている。(ネーミングがどうもイカしてないようだが…。)無料で使用出来るホールで、沢山の人が足を運ぶようだ。竣工後6年目を迎えた函館駅の評判は、良いようである。

「JR函館駅」
設計者:北海道日建設計 竣工:2003年 函館市若松町11-55他
設計協力デンマーク国鉄

秋までに予習復習函館 其の3「名所の定番」

2009年02月16日 21時51分40秒 | 建築
 現在、函館の観光名所の定番となっている「旧金森倉庫」は、イギリス積み煉瓦造の歴史的建築群である。ショッピングモールの他に、ギャラリーやホール、レストランなどに用いられている。
 石井幹子氏によるライティングのインスタレーションも行われた。倉庫間に運河が有り、港の倉庫という雰囲気が強く感じられて良い。

「旧金森倉庫」
設計者:? 竣工:1909年 函館市末広町14-16
歴風文化賞

そっと出す・・・Part2

2009年02月15日 14時07分08秒 | Design
 以前、エットーレ・ソットサスデザインの電話を紹介した。本日は“そっと出す”の第2弾、「バレンタインタイプライター」を紹介したいと思う。紹介と言っても、勿体無くて使っていない。リボンもしっかり有るのだが。復刻版も出ているが、これは1973年製造のオリジナルである。

 商品名は「olivetti Valentine 」、愛称は「赤いバケツ」でその由来は以下の写真を見てもらうと一目瞭然である。

 このケースがマニア心をくすぐる。ニューヨーク近代美術館のパーマネントデザインコレクションにも加えられているそうだ。さて、ケースからそっと出してみようか。(ああ、おやじと呼ばないで!Part2)

秋までに予習復習函館 其の2「片や石造、片やRC」

2009年02月14日 11時48分45秒 | 建築
 NHKでドラマ化もされた高田屋嘉兵衛の資料館が縁の地、函館に在る。写真左の建物が1号で右が2号である。1号が石造、2号がRCなのだが、RCとは言え1923年の竣工である。この建築も修復を施されて資料館として開館された。昨日の「大手町ハウス」もそうであるが大切に使用され、歴史、文化を繋ぐ建築を見るとほっとする。
 高田屋嘉兵衛に関する資料を見るだけでなく、内部からもこの建築を見ることが出来るのは嬉しい。木曜は休館日で、大人(高校生以上・小人無料)は300円で入館出来る。

「箱館高田屋嘉兵衛資料館1号・2号/旧田中屋コンブ倉庫」
設計者:? 竣工:1903年(1号)・1923年(2号)函館市末広町13-22
歴風文化賞

秋までに予習復習函館 其の1「復活」

2009年02月12日 21時54分47秒 | 建築
 大手町ハウスはカフェとして営業されている。現在は国の登録有形文化財でもあるのだが、一時は廃屋の様相を呈していた。この建築がオリジナルの形状に修復される様子をネットで見ることが出来、また多くのサイトで紹介されていて、大切にされていることが分かる。
 修復は1枚の写真を元に行われたようだ。修復前、オリジナルとは随分様変わりしていたのだが、現在は竣工時の意匠に戻されている。その努力は大変なものだったろう。

 函館駅から煉瓦倉庫群へ向かう途中に建つ、この建築の周囲は若干寂しい雰囲気である。それが少し勿体無い気もする。「場所」も大切だと思う。

「大手町ハウス/旧浅野セメント㈱函館営業所/旧北海道漁業公社函館支社」
棟梁:村木甚三郎 竣工:1918年 函館市大手町5-1
国登録有形文化財
第10回函館市都市景観賞
歴風文化賞


お蔵出し決定版 その28(2006年 3月 東京都)

2009年02月10日 22時19分47秒 | 建築
 建築設備の授業において、雨水貯留槽の紹介の際にお世話になる「江戸東京博物館」である。この建築の地下部分に巨大な雨水貯留槽が有って、トイレの洗浄などに利用されている。
 
 現場監督時代最後の現場は、両国の現場だった。この江戸東京博物館を皇太子、皇太子妃両殿下が視察される際、自分の現場の前の昭和通を通られた。警察より工事中断のお達しがあり、職人さん達と一緒になって雅子様に手を振った。雅子様が歩道側にお座りになっていらっしゃった。両殿下のお姿を拝見することが出来たのは良い思い出となっている。

 今年、国立西洋美術館の「ルーブル美術館展」と同じ時期に「手塚治虫展」がここで催される。手塚作品と言えば・・・サンダーマスク・・・。

「江戸東京博物館」
設計者:菊竹清訓 竣工:1992年 東京都墨田区横網1-4-1

足場が

2009年02月09日 21時12分38秒 | DOCOMOMO
 このブログに使う写真は基本的に自分で撮影したものである。しかしそうでない物がいくつかあり、例えばDOCOMOMO選定建築の「聴竹居」も卒業生のIさんから頂いたものだ。自分でも見ているのだが、撮影出来なかったり失敗したものを、学生の皆さんから貰っている。

 東京中央郵便局は、以前penkou師匠と一緒に入ったことがあるのだが、夜間であった為、写真がピンボケで(片手で写したからと言わないで。)使えたものでは無い。先日も書いたのだが、今回学生のU君が就職活動で上京した際、撮影してきてくれたので掲載したいと思う。
 足場が架かっていない部分が、話に聞く「一部保存」の部分であろうか。意味は無いなあと溜息が出る。

 この東京中郵や「大阪中央郵便局」のような建築の価値を理解する為には、勉強が必要だ。昨年一緒に大阪中郵を見た学生の中にも「普通なので、どこを見れば良いのか分からない。」と述べる者も居た。
 大阪中郵はもう4年連続で見ているので、その良さを充分に認識している。上部階の階高を大胆に小さくしたプロポーションの良さ。“梁と柱”という日本の建築形態を如実に表すファサード。海外の建築文化では、ここまで梁は強調されない。ドミノシステムを思い出して欲しい。スラブと柱の構造体だ。壁はガラスが大きな面積を占め、颯爽とした雰囲気をかもし出している。窓の開口のさせ方も粋である。開戦直前に建てられ、濃いグレーのタイルが貼られたことも歴史的史料価値が有るはずだ。このように数え上げたらキリが無い、本当に貴重な建築だ。
 大阪中郵のことばかり書いてしまったが、東京も負けずに良い建築である。吉田鉄郎氏のラフスケッチがそのまましっかりと具現化されているのが分かる。最上階がやはり粋だ。

 コルビュジエのサヴォア邸も何度か解体の危機にあったのだが、現在は世界遺産の候補だ。サヴォア邸の価値を疑う人はいないであろう。道路を延長するからサヴォア邸を壊せと言う人はもういない。そして、コルビュジエとモダニズム建築の歴史が繋がった。
 日本では、建築史の大切な一部が壊されている最中だ。

「東京中央郵便局」
設計者:吉田鉄郎 竣工:1931年 東京都千代田区丸の内2-7-2
DOCOMOMO JAPAN選定建築(当ブログ32件目)

お蔵出し決定版 その27(2007年 9月 福岡県)

2009年02月08日 16時06分13秒 | DOCOMOMO
 1年と半年前、福岡で建築探訪を行った際、DOCOMOMO選定建築である「九州工業大学記念講堂」を見た。その際、道を挟んで建つこの「事務棟/現資料館」をUPしなかった。
 記念講堂のエントランスの軸線は、事務棟の軸線へと繋がっていて、この二つの建築を切り離すことは出来ない。DOCOMOMOでも2棟を「九州工業大学記念講堂・事務棟」として合わせて選定している。それで今回遅ればせながら、お蔵出しシリーズで紹介することとした。
 
 敷地における建築の配置の仕方、建築によって人を導くことを最近強く意識している。建築の内外共に良い動線は良い導線からではないかと。

「九州工業大学事務棟」
設計者:清家清 竣工:1959年 北九州市戸畑区仙水町1-1
DOCOMOMO JAPAN選定建築(当ブログ17件目)

「いざ鎌倉!腰越強行突破」’08鎌倉・東京建築紀行 その20“保存”

2009年02月05日 22時50分13秒 | 建築
 先日2年生のU君が就職活動の為上京した。U君は昨年penkou師匠に建築模型を用いるプレゼンを見て頂いた一人である。帰札前に東京中郵の写真を撮ってきてくれた。現在、東京中郵がどのような状況であるかも聞かせてもらった。彼は東京中郵を見ることは出来た。大阪は間に合うだろうか。

 鎌倉の御成小学校建替えについての顛末を、昨年の鎌倉探訪後ネットで読んだのだが、この旧講堂だけかろうじて残されている。保存状況はあまり良いとは言えないようだ。解体よりは、はるかにましだが。おそらくモニターであろう越屋根部分は、なまこ板で蓋がされていた。
 ヘレンケラーも講演したというこの建築をなんとか修復してもらいたいと思う。

「御成小学校旧講堂」
設計者:? 竣工:1933年 鎌倉市御成町19-1

予習復習欠かさずに!

2009年02月04日 23時07分11秒 | 建築
 函館にも新潟と縁のある建築が建つ。北蒲原郡出身の相馬哲平が創立した「旧相馬合名会社」の社屋である。緑に塗られた外壁が特徴的であるが、戦時中茶色に塗られた以外はずっと緑であったそうだ。現在も社屋として大切に使用されているのが素晴らしい。

 写真では分かりずらいのだが、この建築の屋根は、四方が二段勾配の、本当のマンサード屋根である。よく北海道の牧場などで見られる、切妻の二段勾配屋根はギャンブレル屋根という。数多く設けられたぺディメントも特徴的だ。

 さて今年は秋までに函館の予習、復習をしなければ。

「相馬株式会社函館本社/旧相馬合名会社」
設計者:筒井長左衛門 竣工:1916年 函館市大町9-1
函館市指定伝統的建造物
昭和59年歴風文化賞