DOCOMORO100

モダニズムだけじゃない建築ブログ

超えろ限界!台風粉砕’10東京・熱海・横浜建築探訪 その4「雨だと映えない」

2010年09月30日 10時08分55秒 | DOCOMOMO
 村野藤吾氏のデビュー作ということで勇んで訪ねたのだが、この建築に辿り着く頃には雨が強く降っていて、外部をじっくりと眺める状況ではなかった。それなら書籍やネットでよく掲示されているエントランス天井のモザイクを見ようとエントランスを探したところ、なっ、何とシャッターが降りている。これまたがっくりと肩を落とす結果となった。
 1992年に改修を受けたという外壁タイルとサッシはオリジナルに近いというが、当初の上げ下げ窓の方が、雰囲気は良いと思われる。建築物自体の四隅はピン角ではなく、ほんの少しアールが付いていて、村野建築がここから始まったというのが分かる。サッシの四隅にもやはり小さなアールが付いている。オリジナルはどうだったのだろう。
 それにしてもこのような悪天候での撮影では、とても映えた写真にはならない。

「近三ビル/旧森五商店東京支店」
設計者:村野藤吾 竣工:1931年 東京都中央区日本橋室町4-1-21
DOCOMOMO JAPAN選定建築(当ブログ46件目)
東京都選定歴史的建造物

超えろ限界!台風粉砕’10東京・熱海・横浜建築探訪 その3「3つまとめて」

2010年09月29日 12時07分22秒 | DOCOMOMO
 大学のキャンパス内に建つ建築物は比較的内部に入り易い。と、思ったのだが東京芸術大学の図書館は休館日であった。残念である。トップの写真が図書館で、以下の写真が絵画棟、一番下が彫刻棟である。図書館と、絵画棟・彫刻棟では大きく雰囲気が変わり時代の差を感じるが、図書館と絵画棟で4年の差しかないよのことである。

 上の写真絵画棟と下の写真彫刻棟は3年の差が有るが、同時に竣工したと言われても信じてしまいそうだ。

 この狭い範囲に3棟もまとめてDOCOMOMO選定建築を見ることが出来る。図書館前の美術館ではシャガール展も開催中で、とても良い建築探訪スポットである。

「東京芸術大学図書館・絵画棟・彫刻棟」
設計者:天野太郎・茂木計一郎・平島二郎・天野吉原設計事務所
竣工:図書館1964年/絵画棟1968年/彫刻棟1971年
東京都台東区上野公園12-8
DOCOMOMO JAPAN選定建築(当ブログ45件目)

超えろ限界!台風粉砕’10東京・熱海・横浜建築探訪 その2「甘かった」

2010年09月28日 08時55分21秒 | DOCOMOMO
 DOCOMOMO JAPAN選定建築である「日本生命日比谷ビル・日生劇場」の大きな特徴は劇場内部天井の形状とアコヤ貝による装飾である。「これは是非とも内部に入らなければ。何か公演でもやっていないかな?」と思いエントランスを覗いてみたら、ジャニーズ系の舞台の日であった。そのチケットが買えるはずもなく、すごすごと退散した。だが外部の形状だけでも十分に魅力的で、随所に見られる微妙な曲線が村野建築をよく表わしている。

 内部は見ることが出来なかったが、普段なかなか見られないであろう屋上の写真をUPしてみた。内部見学まで辿り着くのは結構大変である。

「日本生命日比谷ビル・日生劇場」
設計者:村野藤吾 竣工:1963年 東京都千代田区有楽町1-1-1
DOCOMOMO JAPAN選定建築(当ブログ44件目)
1964年日本建築学会賞

超えろ限界!台風粉砕’10東京・熱海・横浜建築探訪 その1「120周年」

2010年09月27日 17時35分01秒 | 建築
 東京の旅行代理店では驚くほど安い北海道ツアーのパックが発売されたりする。逆に北海道のような地方では“帝国ホテル2泊ツアー”などが企画されていて、多分かなり格安で宿泊出来ると思う。(penkou師匠に「そんなに安くないのでは?」と指摘されてしまったのだが。)さてしかし、本人は“多分格安!”と思い、申し込んだ。今年は開業120周年ということで様々な企画も有るようで、ロビー横のスペースではパネル展を開催中だ。1967年~1968年に解体されてしまったフランク・ロイド・ライト設計の「ライト館」の模型も展示してある。

 思えばこのライト館設計時に押しかけ弟子となったのが、田上義也氏であるから、現在田上建築を追いかけて見ている自分にとっては感慨深いものが有る。更にロビーの中央には犬山市の明治村から移築されたライト館の柱が1本運ばれてきて展示されていた。

 この他、ライトのエッセンスを感じる為には1泊40万円を上回る“フランク・ロイド・ライト・スイート”に泊る手も有るが、自分には到底無理なので大胆にも「見せて!」と頼んでみた。すると「生憎、本日はお泊りのお客様がありまして、事前にご確認いただきたいのですが。」とのことだった。すると!宿泊者がない場合、見学させてもらえるということだろうか?
 スイートでの宿泊など夢のまた夢だが“オールドインペリアルバー”なら何とかなりそうだと思い突撃した。“建築大好きオーラ”を発していたのだろうか、一番奥のライト館で使われていた大谷石の前に席を作っていただいた。それはそれは美味しいお酒となった。

「帝国ホテル」
設計者:高橋貞太郎(新本館)・山下設計(インペリアルタワー)
竣工:1970年(新本館)・1983年(インペリアルタワー)
東京都千代田区内幸町1-1-1

超えろ限界!台風粉砕’10東京・熱海・横浜建築探訪 その0「目次」

2010年09月26日 19時18分44秒 | 目次

 初日こそ豪雨に見舞われたが、接近してきた台風もはじき返して、三日目は快晴の中の建築探訪となった。今回は移動距離、数、共に物凄くハードなものとなった。ではいつもの通り目次から。

●初日
・東京
帝国ホテル(高橋貞太郎・山下設計)
日本生命日比谷ビル・日生劇場(村野藤吾)
旧有楽町そごう(村野・森建築設計事務所)
国立西洋美術館(ル・コルビュジエ)
東京文化会館(前川國男)
東京芸術大学図書館・絵画棟・彫刻棟(天野太郎・茂木計一郎・平島二郎・天野吉原設計事務所)
旧森五商店東京支店(村野藤吾)
日本銀行本店(辰野金吾)
野村證券本店ビル(安井武雄)
日本橋三井タワー(日本設計・シーザーペリ&アソシエイツ)
日本橋一丁目ビルディング・COREDO日本橋(KPF)
本願寺築地別院(伊東忠太)
東京市中央卸売築地市場(東京市土木局建築課)
三原橋センタービル(土浦亀城)
銀座和光本店(渡辺仁)
三愛ドリームセンター(日本設計・林昌二)
ソニービル(芦原義信)
数寄屋橋交番(山下和正)
メゾンエルメス(レンゾピアノ)
教文館ビル(アントニンレーモンド)
アップルストア銀座(ボーリン・シウインスキー・ジャクソン)
OPAQUE GINZA(妹島和世)
ミキモト銀座2(伊東豊雄)
Dior銀座(乾久美子)

●二日目
・東京
日比谷電電ビル(日本電信電話公社施設局建築部・國方秀男)
日比谷公会堂(佐藤功一)
東京都立日比谷図書館(東京都建築局・高橋武士)
外務省庁舎(小坂秀雄+建設省営繕局)
普連土学園校舎(大江宏)
慶応義塾幼稚舎(谷口吉郎+曾禰中條建築事務所)
私の家(清家清)
上小沢邸(広瀬鎌二)
駒沢公園体育館・管制塔(芦原義信)
明治大学和泉大教室(堀口捨己)
東京経済大学図書館(鬼頭梓)
東京女子大学(アントニンレーモンド)

●三日目
・熱海市
旧日向別邸(ブルーノタウト・渡辺仁)
・横浜市
横浜市教育文化センター(前川國男)
横浜市庁舎(村野藤吾)
神奈川県警察本部尾上町分庁舎
横浜スタジアム(創和設計)
旧関東財務局(渡辺節)
旧労働基準局(渡辺節)
三井物産横浜ビル(遠藤於菟)
横浜情報文化センター(木村龍雄・横浜市建築課)
神奈川県庁舎(小尾嘉郎/神奈川県内務部)
神奈川県新庁舎(坂倉準三)
横浜地方裁判所(蔵省営繕管財局)
神奈川県分庁舎
横浜市開発記念会館(福田重義)
横浜税関(下元連・吉武東里
昭和ビル(川崎鉄三)
旧英国総領事館(英国工務省)
海洋会館ビル(大倉土木)
横浜貿易協会ビル(大倉土木)
シルクセンター(坂倉準三)
横浜海岸教会(雪野元吉)
エキスプレスビル(川崎鉄三)
横浜港大さん橋国際客船ターミナル(foa)
大さん橋ふ頭ビル(松田平田)
神奈川県中央農業会館別館
日本郵船横浜支店(和田順顕)
旧生糸検査所/横浜第2合同庁舎(遠藤於菟)
旧帝蚕倉庫事務所(遠藤於菟)
旧第一銀行横浜支店(西村好時)
旧横浜正金銀行本店本館(妻木頼黄・遠藤於菟)
旧帝国火災横浜支店
旧安田銀行横浜支店(安田銀行営繕課)
旧東京海上火災保険ビル/馬車道大津ビル
旧川崎銀行横浜支店(矢部又吉)
勝烈庵馬車道総本店
みなとみらい線馬車道駅(内藤廣)

 まだmさんの作成された目次を確認していないし、横浜で見た建築の設計者を調べていないので、今後も修正していく予定である。そうこうしているうちに福岡行きが近づいてきた。久しぶりの福岡建築探訪と2本立てとなりそうだ。

 トップの写真は以前penkou師匠に頂いた「旧日向別邸」の上品な案内書と、今回購入した絵葉書セットを撮ったものである。


超えろ限界!膝が壊れるかと思った建築探訪

2010年09月25日 22時42分08秒 | 趣味
 只今、家に辿り着きました。penkou師匠、mさん本当に有難う御座いました。penkou師匠は初冬の御来道を楽しみにしております。mさん、又是非北海道へもおこし下さい。
 今回は見た量が多い為、ちょっと整理してから目次を作らなければ!まずはpenkou師匠がデザインされた「旧日向別邸」の館銘板をUPしました。これから写真データと記憶と本を総動員して目次書きます。
 

ちょっと行ってきます。2010秋の東京・横浜・熱海

2010年09月22日 16時22分32秒 | 建築
 明日から本年三回目の上京をし、建築探訪を行う予定である。今回はちょっと凄いことになりそうだ。計画通りであれば既に見たものも含めて20件近くのDOCOMOMO選定建築を見る予定なのである。しかしながら残念なことに天気は良くないらしい。雨の建築探訪は何度も経験しているが、どうしても少しトーンダウンしてしまう。幸いにも三日目に訪ねる熱海の「旧日向邸」の日は曇りの予報だ。penkou師匠やmさんとお会いする際も傘をささなくて済みそうである。

 さてトップの写真「旧栗谷川邸」は、またまた上遠野先生が設計された個人住宅である。よって今度は上遠野先生の本をひっくり返して、その上にプリントアウトした写真を載せてみた。この旧栗谷川邸には現在別の方がお住まいなのだが、この本の共著として帯の中の一覧にお名前が有る。ちなみに一覧の一番上はpenkou師匠だ。
 旧栗谷川邸と言えば、以前penkou師匠と共に訪ねた「上遠野徹建築展」で模型が展示されていた。以下の写真はその模型の内部を見たものである。

 この建築も紹介されている「建築家の清廉 上遠野徹と北のモダニズム」が建築ジャーナルより出版された。今日、静岡のisamuさんと新潟の相模さんにお送りした。北海道の建築家のこともお読み頂きたく思う。学生達に様々なお話を下さった上遠野先生は、とても素晴らしい方だった。

「旧栗谷川邸」
設計者:上遠野徹 竣工:1960年 札幌市内

ちょっと行ってきました’10東京建築探訪7月編 その7「動物園?」

2010年09月12日 19時17分30秒 | Art
 「パレスサイドビル」から「東京国立近代美術館」へと歩を進めると、まず真っ先にアトリエ・ワンのインスタレーション「まちあわせ」を見ることが出来た。竹を組むことで形作られた動物達を見ると、あたかも小さな動物園のようである。動物の下に入ることも出来る。ここに据えてある竹のベンチでぼんやりしながら“まちあわせ”する時間はとても贅沢に思える。

 さて今月末に、またしても超強行軍建築探訪を実施しようと目論んでいる。行先は熱海!

「まちあわせ」
インスタレーション:アトリエ・ワン
「建築はどこにあるの?7つのインスタレーション」展
東京国立近代美術館

台風直撃!ロシアンルーレット’10北海道建築探訪 その5「あなたが毛綱さんかい?」

2010年09月07日 17時10分42秒 | 建築
 penkou師匠のお伴をして釧路市内に毛綱建築を見に出かけたのは3年前のことだ。その釧路探訪を終えて、恒例の上遠野徹先生宅を訪問した際に「大滝邸も見てきたの?」と上遠野先生から質問された。しまった!(毎度のことだが)不勉強で、予習して行かなかった。よってpenkou師匠をお連れすることも出来なかったのをとても後悔している。
 「私が大滝邸を建てていたら、ちょうど近所で毛綱さんが反住器を建てていてね…。」大滝邸は1971年竣工、反住器は翌1972年の竣工である。「『あなたが毛綱さんかい?』と話をしたんだよ。」上遠野先生はそのようなこともお話し下さった。

 今回のツーリングでは必ず「大滝邸」を見て来よう。勿論外部をちらっと拝見するだけだが、絶対に見る!と勇んで釧路市内を歩き出した。「確か反住器の近くなのだよな…。」まずは反住器へ向かい、そこを中心としてぐるぐると歩き廻ったのだが、まったく見つからない。そこで今年出版されpenkou師匠が前文と写真を寄せられている「建築家の精錬 上遠野徹と北のモダニズム」を繙き何かヒントは無いかと探してみた。どうも港が見えるらしい。その言葉を手掛かりに丘の稜線にあたる住宅街をひたすら歩いたら、とうとう見つけることが出来た。はっきり言ってバイクを使うべき距離であった。道路から門を挟んでの建築探訪であったが、前述の本により設計の考え方などを読んでいたし十分魅力を感じることが出来、大変満足して帰って来た。ホテルまでの帰り道がとても長く、くたびれてしまったが。

 写真は例によって個人住宅の為プリントアウトした写真を、上遠野先生の本に添えて再度撮影したものを載せる。どれだけ良い建築であるかは、この本を御購入頂くと分かるのである。

「大滝邸」
設計者:上遠野徹 竣工:1971年 釧路市内

台風直撃!ロシアンルーレット’10北海道建築探訪 その4「最東端」

2010年09月03日 13時25分26秒 | 建築
 写真奥の円形建築が「望郷の家」、手前の四角い建築が「北方館」である。先に竣工したのは望郷の家で、後に出来た北方館とは2階部分で接続されている。お土産屋さんの建物を除き、北海道本島最東端のRC造建築だ。4年前羅臼で見た国後島があまりにも近いので驚いた。納沙布岬から歯舞群島の貝殻島まではもっと近い。たったの3.7㎞先に在る。
 この両館は北方領土返還啓発の役目を担った建築である。竣工後30年(北方館)、40年(望郷の家)近く経っていて少々傷んできている。最近ロシアのビザでの渡航問題などが報道された。北方領土についての歴史や知識を、この建築で得る人が少しでも増えてくれればと願う。

「北方館・望郷の家」
設計者:? 竣工:望郷の家1972年/北方館1980年 根室市納沙布36-6