DOCOMORO100

モダニズムだけじゃない建築ブログ

’06総括Part2

2006年12月31日 22時29分19秒 | 趣味
 ロダンの「地獄の門」である。「何故地獄の門?」かと言うと、この歳の瀬に(しかもギリギリに)地獄の門を開けてしまったのだ。「エンスー地獄」と言う名の地獄の門を!
 車、特にヒストリックカーにのめり込んでいる者達をエンスージアスト、短くしてエンスーと呼ぶ。彼らは日々まともに走らない車に悪戦苦闘しながら、それを快感に感じるかのごとく生きている。

 この度購入したロータスヨーロッパS2は1970年製。普通のカーライフは、はなから期待していないが…。走行中にブレーキが抜けたり、中央車線でエンストだけは御免だ。さて、来年もこのブログを書き続けていられるだろうか…。

’06総括Part1

2006年12月31日 18時18分31秒 | 建築論
 なんと、本年も残すところあと数時間となってしまった。年々、時間の経過を早く感じる。
 振り返ってみると今年は精力的に活動した年であった。建築探訪も1月のローマ・ミラノに始まり、ハワイ、東京、関西と見て廻り、夏にはK君と恒例の道東ツーリング。秋にはPenkou師をお迎えし、名古屋・鈴鹿へも訪れた。建築探訪は、まだまだ続く。来年早々に再びローマ、そしてパリを訪れる。

 また、インターネットという媒体から様々な出会いが有った。isamuさんや☆椅子さんをはじめ沢山の方にお会いし、大変お世話になった。全く意図的なところなく、isamuさんや☆椅子さんからのご縁で知り合った方々が、またどこかで縁があったりして驚くこともしばしばであった。十数年ぶりに会った、大学時代の友人も訪ねてくれたり、学生達も読んでくれている。こちらが、まったく知らない方がリンクしてくださっていたこともあるし。
 
 さて、やり残したことも多々有る。まず“北海道バナキュラー”について論考するはずだったが、思いのほか難しく簡単にはまとまりそうも無い。材料、形状共に現代の建築の流れは早い。来年こそは一つのテーマについてまとめたいと思う。
 続いては、古い友人Aさんご要望のお茶室の設計。見学に行ったり書籍には沢山目を通したのだが、こちらも集中して取り組む時間を作らなければ。今年は設計の仕事もすることが、出来た。ありがたいことであるが、講師と設計を行うと、もう他は手がまわらない。Aさんちょっとお待ちを。

 2006年は初めて経験したことも多く、秋には入院手術を受けた。人は沢山の人に支えられて生きているんだなと再確認の年だった。さて来年はどんな年になるだろう。 

ベルリンの亡霊

2006年12月27日 22時14分32秒 | 建築
 今日、ギターのお師匠様からチケットを頂き、北海道大学チルコロ・マンドリニスティコ「アウロラ」の第83回定期演奏会を聴いた。場所は「札幌コンサートホールKitara大ホール」であった。マンドリンの音を聴くのは今回が初めてであったのだが、このサークルの実力が高く、とても良い演奏であった。ギターパートのリーダーを務めたのは同じギター教室の生徒さんだ。
 永田音響設計による様々な工夫も音質の良さの理由で、可動式の音響反射板は言うに及ばず、座席の座る部分が上がったままでも、板材に切った小さなスリットから吸音させるといった徹底ぶり。客の多い少ないに影響されない音響なのだ。

 一般に、音が良いコンサートホールの形態は「ムジーカ・フェラインザール」に代表されるシューボックスタイプとされている。ここ、Kitaraの大ホールはワインヤード型のオープンステージである。(札幌ウォーカー★クラッシク12月27日の記事に内部写真が掲載されています。私は残念ながら撮影出来ませんでしたのでホワイエを掲載します。)最近このオープンステージタイプに拘った造りのホールが多いようだ。シドニーのオペラハウス、ロスのウォルトデズニーコンサートホール、そしてKitaraの大ホール。
 これらオープンステージが数多く造られたのは、ハンス・シャウロン設計のベルリンフィルハーモニーコンサートホールの影響がある。このベルリンフィルはとても高い評価を得た。ウォルトデズニーコンサートホールを設計したフランク・O・ゲーリーなどは「シューボックスにすべき」という永田音響設計の提言を受け入れず、ハンス・シャウロンへのオマージュからオープンステージにしてしまったという。デコンストラクティブの形態が音響に良いというのはこじつけっぽいが、ベルリンフィルもウォルトデズニーも良い音だそうだ。
 Kitaraの大ホールは和船をモチーフにし、道産木材をふんだんに使った内部空間で、これでもか!と言わんばかりのワインヤードタイプである。木が幸いしてか、マンドリンのようなアコースティックコンサートにはとても合っているホールである。

「札幌コンサートホールKitara」
設計者:ドーコン 竣工:1997年 札幌市中央区中島公園1番15号 

間に合ったホワイトクリスマス

2006年12月24日 22時11分32秒 | 建築
 「札幌宮の森美術館」と併設されるかたちで「札幌宮の森教会」は開設された。北1条通りに面する美術館の建築物に隠れ、中通りに入らなければ見る事が出来ない。正面建物はブライダル会社の社屋でウェディングチャペルとしても使用されるが、日曜日にはプロテスタント教会としてミサが行われている。
 現在、美術館の方ではクリスト&ジャンヌ・クロード展を開催している。

 実は、昨日まで雪が無かった。久しぶりに雪の無いクリスマスか?と思っていたら、今朝までにしっかり降って今年もホワイトクリスマスとなった。間に合ったのは良いが、午前中は雪かきでグロッキー状態。北海道の冬はすぐに日が沈んでしまう。シャッターを切るのに良い時間帯も短い。本日の写真は若干暗くなってしまった。

「札幌宮の森教会」
設計者:非公開 竣工:2005年 札幌市中央区宮の森2条11丁目2-1

こんなところにも

2006年12月23日 16時02分43秒 | Art
 札幌出身の芸術家、伊藤隆道の作品は大通り公園の冬のイルミネーションなどが有名であるが、実はこれもそうだ。札幌市北1条西4丁目「札幌ノースプラザ」のファサードに設置されている時計の文字板が伊藤氏の作品である。
 伊藤氏は今年東京藝術大学教授の職を退かれ、記念的展覧会が道立近代美術館にて開催された。棒状の金属材を螺旋に加工したものなどが特徴的だ。氏の作品は近美にも設置されているし、全国で見ることが出来る。そしてこのように、街に溶け込んだ作品もある。

以前はここが

2006年12月17日 21時30分45秒 | 建築
 この建築は「庁立図書館」として大正15年に建てられた。現在の名称は「道立文書館分館」であるが、一時期ここが「道立三岸好太郎美術館」であった。その頃は、自分に芸術を愛でる甲斐性が無く、残念ながら入館したことは無い。
 写真で真ん中に写っている角塔の開口デザインが自分好みである。秀逸だと感じる。そして北1条通り側のオーダーも迫力がある。又今回の冬休みにもローマへ渡航予定である。このようなオーダーを見ると、つい心がそわそわしてしまう。

「道立文書館分館」
設計者:北海道庁建築課 竣工1926年 札幌市中央区北1条西5丁目1-2
さっぽろ・ふるさと文化百選

フーテンの寅狸

2006年12月12日 01時41分35秒 | Art
 札幌には狸小路というアーケード街がある。6丁目の端に流政之氏の作品「PONSA」が設置されている。以前「サキモリ」という作品を掲載したが、鬼気迫るあの像に比べ、このトランクケースを持った“狸”のなんとユーモラスなことか。トランクケースに刻まれているのはアイヌの紋様。道産子狸がポンポコシャンゼリゼを行く。

PRESS CAFE'デビュー

2006年12月11日 00時23分01秒 | 趣味
 ジャズやボサノバのかかる少し暗めの雰囲気の良い店内。ここ小樽にあるPRESS CAFE’に建築野朗I君がやってきた。常連さん達ともうちとけ、マスターの絶品カレーライスを食べ楽しいひと時を過ごした。I君が座った席は10月にpenkou師匠が座った席だ。
 PRESS CAFE'にはヒストリックカーが何台も置いてある。この日は76年製のmini mark3を肴にカー談義で盛り上がった。Ⅰ君はHSPで50秒を叩きだす男。マスターのmini「狼の皮を被った羊」号のセカンドドライバーはI君で決まりか。

ビルの谷間のロマネスク

2006年12月10日 20時48分57秒 | 建築
 11世紀頃の教会建築の様式ロマネスクが近代の札幌に蘇った。「日本基督教団札幌教会」が建てられたのは明治37年のことである。小さな袖廊が付きじつに可愛らしい教会だが、札幌軟石を使用し、陳腐な言い回しだがハリーポッターにでも出てきそうな建物だ。
 札幌市内を歩くと、まだこのような建築が突然現れたりする。函館や小樽であれば、よく見られるのだが。

 今の季節の教会建築には、クリスマスのミサへの参加を誘う掲示を見ることが出来る。勿論この教会でも掲示してあった。そういえば昨年のクリスマスイヴにはレーモンドの教会を訪れたのだった。1年経つのが何と早いことか。

「日本基督教団札幌教会」
設計者:間山千代勝 竣工:1904年 札幌市中央区北1条東1丁目2-4

衝撃の閉店

2006年12月05日 22時54分25秒 | 建築
 2年前、クラッシクギターの師匠に入門し、初めてギターを購入した。師匠に紹介していただいたのは、札幌市内の中心部にあった老舗「かさはら楽器店」。残念ながら昨年、閉店してしまった。札幌の、いや全道の音楽家達が衝撃を受けたことであろう。
 
 ところで、今になって驚くことがある。ギター購入時は全くの素人であった為、気にもとめなかったのだが、このお店で弦を張ってもらい帰る際「家に着く頃には音が合っているからね。」と言われた。「そうですか。」程度の返事しか出来ずに帰り、家に着きチューナーで調べてみると、ピタリと合っていた。大抵、張ったばかりの弦は1日2日位音程が安定せず、すぐに大きく狂うものだが、見事に安定していた。いったいどのように張ったのだろう。
 「頑張って続けてね。」商売っ気のあまり見られない職人さんに励まされ、店を後にした。ギターの練習は続けているが、かさはら楽器店は今はもう無い。石造2階建の建物だけは現在も残っている。

「旧原田商店・元かさはら楽器店」
設計者:? 竣工:明治時代 札幌市中央区南1条西4丁目

札幌へも巡回してほしい

2006年12月02日 09時43分07秒 | 建築
 新潟大学極真会空手道部の同期に山梨県出身のS君という男がいた。彼と話しているうちに「お国自慢」が始まり、同郷の有名人を挙げることとなった。彼が真っ先に挙げたのが“内藤多仲”。今思えば、S君は随分渋い男だ。
 新潟大では農学部であった自分は、その時内藤多仲の名前は当然のことながら知らなかったし、「東京タワーを設計した人だ」と説明されても「ふーん」と返す程度であった。「札幌テレビ塔」も内藤氏の手による塔で、小さい頃から「東京タワーによく似ている」と思っていたが同じ設計者だと知ったのは建築を学び始めてからのことである。

 昨日より「タワー -内藤多仲と三塔物語- 展」が大阪で開催されている。札幌テレビ塔は含まれていないが、是非札幌へも巡回してもらいたいものだ。地元のシンボルを設計した人物の展覧会であるから、きっと多くの人が訪れると思う。博多なども同様だと思う。

「札幌テレビ塔」(テレビ父さん⇒友達は時計大臣)
設計者:内藤多仲 竣工:1957年 札幌市中央区大通西1丁目