DOCOMORO100

モダニズムだけじゃない建築ブログ

足場が

2009年02月09日 21時12分38秒 | DOCOMOMO
 このブログに使う写真は基本的に自分で撮影したものである。しかしそうでない物がいくつかあり、例えばDOCOMOMO選定建築の「聴竹居」も卒業生のIさんから頂いたものだ。自分でも見ているのだが、撮影出来なかったり失敗したものを、学生の皆さんから貰っている。

 東京中央郵便局は、以前penkou師匠と一緒に入ったことがあるのだが、夜間であった為、写真がピンボケで(片手で写したからと言わないで。)使えたものでは無い。先日も書いたのだが、今回学生のU君が就職活動で上京した際、撮影してきてくれたので掲載したいと思う。
 足場が架かっていない部分が、話に聞く「一部保存」の部分であろうか。意味は無いなあと溜息が出る。

 この東京中郵や「大阪中央郵便局」のような建築の価値を理解する為には、勉強が必要だ。昨年一緒に大阪中郵を見た学生の中にも「普通なので、どこを見れば良いのか分からない。」と述べる者も居た。
 大阪中郵はもう4年連続で見ているので、その良さを充分に認識している。上部階の階高を大胆に小さくしたプロポーションの良さ。“梁と柱”という日本の建築形態を如実に表すファサード。海外の建築文化では、ここまで梁は強調されない。ドミノシステムを思い出して欲しい。スラブと柱の構造体だ。壁はガラスが大きな面積を占め、颯爽とした雰囲気をかもし出している。窓の開口のさせ方も粋である。開戦直前に建てられ、濃いグレーのタイルが貼られたことも歴史的史料価値が有るはずだ。このように数え上げたらキリが無い、本当に貴重な建築だ。
 大阪中郵のことばかり書いてしまったが、東京も負けずに良い建築である。吉田鉄郎氏のラフスケッチがそのまましっかりと具現化されているのが分かる。最上階がやはり粋だ。

 コルビュジエのサヴォア邸も何度か解体の危機にあったのだが、現在は世界遺産の候補だ。サヴォア邸の価値を疑う人はいないであろう。道路を延長するからサヴォア邸を壊せと言う人はもういない。そして、コルビュジエとモダニズム建築の歴史が繋がった。
 日本では、建築史の大切な一部が壊されている最中だ。

「東京中央郵便局」
設計者:吉田鉄郎 竣工:1931年 東京都千代田区丸の内2-7-2
DOCOMOMO JAPAN選定建築(当ブログ32件目)


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2 コメント

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考えることの多い中郵 (penkou)
2009-02-11 17:10:12
moroさん
中郵問題については、いずれコンパクトに学生さんにも伝えたいものです。
U君、どうだったのでしょうね!厳しい社会状況になりましたしね。
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1年の違いで (moro)
2009-02-12 08:12:10
就職活動の状況は、たったの1年で随分と冷え込んでしまいました。何でもかんでも「サブプライム問題」と関連付けるのは、どうかとも思いますが、急に厳しくなってしまった感じです。
U君は今年3年になる学生ですので、またプレゼン時にびしびしと鍛えてやってください。
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