旭川から札幌に向かう途中に、滝川という街が有る。その滝川市内に酒造会社の倉庫として1970年まで使用された、木骨石造のコンバージョン建築「太郎吉蔵」が建っている。現在は、アートやイベントスペースとして利用されているのだが、この蔵の改修設計を行ったのは、中村好文氏である。角先生が解説文を寄稿された「再生名建築 時を越えるデザインⅠ」に、中村氏のテキストも載っているそうだ。まだ入手していない為、内容を確認していないのだが。
肝心なのは内部であるが、残念ながら訪れた当日はイベントなども行われていなかった。
インターネットの記事で、改修の経緯を確認することが出来る。建築主である五十嵐太郎吉氏の孫で世界的彫刻家の五十嵐威暢氏が、改修を行ったのだが、メンバーには前述の中村好文氏の他に、照明デザイン東海林弘靖氏、ランドスケープ斉藤浩二氏、記録冊子デザイン原研哉氏と、そうそうたる方々が名を連ねており、改修予算は約3400万円だったとのこと。上の写真のオブジェ的な換気塔や、トップの写真に有る石のベンチは五十嵐氏の作品である。
管理棟?には様々なイベントのチラシが貼ってあった。
しかしながら、やはり内部を見なければ始まらない。滝川市ではアート関係の活動が盛んに行われているので、次はしっかりと何かのイベントに合わせて訪ねたいと思う。
「太郎吉蔵」
改修設計:中村好文 改修:2004年(竣工1926年) 北海道滝川市栄町2-8-9
滝川市指定文化財
毛綱毅曠氏は2001年に、この「白糠町立茶路小学校・茶路中学校」の完成を見ずに他界された。この建築が氏の遺作となった。penkou師匠と一緒に、反住器に毛綱氏のお母さんとお姉さんを訪ねた際、お姉さんはこの遺作が好きだとおっしゃっていた。
釧路市のアートマップによると、正面の二つの大きな丸窓は、フクロウの目がモチーフとのことである。その目の部分がRCである。その他s造の柱や、木造の小屋組などが外部から見て取れる混構造である。
この建築が計画された頃から、公共建築物でも木質材料を使う方向性が強くなってきたと思う。
周りはとても自然豊かな環境である。
現在新築で、ポストモダンの雰囲気を残すこのような建築を見ることは、殆んど無くなってしまったが、たまに訪ねてみると沢山の刺激を受ける。
「白糠町立茶路小学校・茶路中学校」
設計者:毛綱毅曠 竣工:2002年 北海道白糠郡白糠町マカヨ1−1
このブログを始めて間もなくの2006年に、一度冬の写真を載せたことがある。毛綱毅曠氏設計「北海道釧路湖陵高校・同窓会ギャラリー」 である。釧路市で配布されている、毛綱氏の建築を紹介したパンフレットでは、トップの写真とは反対側から見たイラストが描かれているので、そちらが正面なのかもしれないが、訪ねた今夏は丁度夏休みということもあり、何かの建築工事か改修工事が行われていて、敷地内に入れる雰囲気ではなかった。それで、敷地外の道路からの撮影となった。
外壁から飛び出たバットレス?は、あたかも古代の船のオールのようだ。
この通路はさしずめ選ばれた動物がノアの方舟に乗り込む為の桟橋か。
「北海道釧路湖陵高校・同窓会ギャラリー」
設計者:毛綱毅曠 竣工:1996年 釧路市緑が岡3-1-31