DOCOMORO100

モダニズムだけじゃない建築ブログ

復活!お蔵出し決定版 その40(2008年 1月 オランダ・アムステルダム)

2010年03月31日 17時09分35秒 | 建築
 当たり前だが、いつも建築探訪に出掛ける前に少しは予習をする。前回の上京は「ヒルサイドテラス」を一番の目的としていたので、インターネットも駆使して情報を仕入れた。川向正人氏の現代建築ギャラリー/ヒルサイドテラスの回で、氏による槇文彦氏へのインタビューを読んだのだが、その中でアルド・ファン・アイクについて述べられていた。
 
 チームXのアルド・ファン・アイクは槇氏との交流もあり、ちょうど建設された「子供の家」についても討論されたそうである。アルド・ファン・アイク自身この建築がアフリカの集落からきていると述べたそうだ。

 子供の家は当初の用途である孤児院ではなく、現在は事務所や店舗からなる複合施設だそうだ。非常にフラットで、グリッドで構成された大きな建築なのだが、道路から見てもなかなか実感出来ない。グリッドは屋根形状から何となく見て取れるが、内部に入ればもっとよく分かったかと思う。煉瓦造の壁は良い印象だった。周囲には高い建築が多く建っていたのだが、広い敷地にフラット形状のこの建築は穏やかな印象であった。

「子供の家」
設計者:アルド・ファン・アイク 竣工:1960年 アムステルダム市内

復活!お蔵出し決定版 その39(2009年 5月 京都府・京都市)

2010年03月30日 18時08分07秒 | 建築
 もうかれこれ5年連続で京都を訪れた。その度に、当たり前ではあるのだが京都駅からこのタワーを見上げた。竣工後40年以上経っていて、もう立派な京都のランドマークである。
 しかしながら竣工直後の景観論争は、さぞや凄いものだったのではと予想される。今は馴染んでしまったこのタワーが古都に突然出現した際に、皆とても違和感を感じたであろう。構造的に巨大な鋼管というのはとても特徴的だし、展望フロアーの外観がとても格好良いと思う。更に、実は京都タワーの地下には大浴場がある。旅行客も気軽に入れたりする。過去に「ひとっ風呂あびてから見学開始する!」と言っていた学生が一人いたが、彼は本当に入ったのだろうか。

「京都タワー」
設計者:山田守 竣工:1964年 京都市下京区烏丸七条下ル

悲しき「現存せず」シリーズ Part3

2010年03月29日 17時22分29秒 | 建築
 この悲しき「現存せず」シリーズも昨年6月以来であるが、こちらは増えてほしくないシリーズだ。

 田上義也記念室のある「坂牛邸」に隣接して、「旧上田邸」という田上建築が建っていたのだが、昨年解体されてしまった。現在は所有していた自然食品会社の新築建物駐車場となっている。
 残念ではあるが、解体前から随分と改修が行われていて、オリジナルの田上建築とは違ったものになってしまっていた為、あまり反対の声も上がらなかったようだ。トップの写真を見ても、かすかに水平ラインが強いような感じだが、言われてみなければ田上建築と分からないかもしれない。
 とは言え、田上建築が一つ減ってしまった。

「旧上田邸」
設計者:田上義也 竣工:1928年 小樽市入船5

復活!お蔵出し決定版 その38(2007年 8月 青森県・弘前市)

2010年03月28日 12時33分52秒 | 建築
 弘前にノートルダムが建っている。「日本キリスト教団弘前教会」は、パリのノートルダムがモデルと言われているが、内部に入ると側廊は無い。側廊は無いがアールの付いた天井の形状がとても良い。白い空間にゴシック様式の窓から差し込む光がこれまた素晴らしい。内部空間が大きな教会であった。

「日本キリスト教団弘前教会」
設計者:桜庭駒五郎 竣工:1906年 弘前市元寺町48
青森県重宝

復活!お蔵出し決定版 その37(2006年 1月 イタリア・ミラノ)

2010年03月27日 16時44分54秒 | 建築
 フィリップ・ジョンソンの「AT&Tビル」が細胞分裂したわけではない。イタリアのミラノ中央駅近くに建つ「Ferrovie dello stato building1&2」という建築で、直訳すると「イタリア鉄道ビル1&2」ということになるが、ネットでは「ガリバルディビル」で検索すると、ほんの少しヒットする。初めてイタリアへ渡航し、ミラノ市内をうろついた際に撮影したものである。本当はジオ・ポンティの「ピレリビル」を探していた。
 
 実は設計者が分からない。ネットで検索するものの、イタリア語はさっぱりである。竣工年は辛うじて判明した。ポストモダンも終わろうかという頃である。AT&Tビルのようなブロークンぺディメントが印象的だが、ピレリビルなどとは違い、地元でもそう評判が良いわけでも無いようだ。因みに手前が1で奥が2である。

「Ferrovie dello stato building1&2/ガリバルディビル1&2」
設計者:? 竣工:1⇒1989年 2⇒1992年 ミラノ市内

復活!お蔵出し決定版 その36(2009年 8月 東京都)

2010年03月26日 22時12分09秒 | 建築
 撮り溜めた写真がまだまだ沢山有るので、久々に(何と1年ぶりに)お蔵出しシリーズを復活させた。そのトップバッターは上野の名建築「国立科学博物館」である。と言いつつもここ数年上野を何度も訪ねているのに、この建築の内部に入っていない。最初にして最後に入ったのは実に20年前、建築学生になりたての頃である。コルビュジエの「国立西洋美術館」とこの“科博”を目指して上野に来たのだが、まだ建築を学び始めたばかりの頃で様式やディテールなど全く分からず「あっ恐竜の骨だ!」などと呑気に見て廻った。内部の装飾やステンドグラスに素晴らしいものが多く、本当はもう一度内部に入りよく見なければならない。外装にはスクラッチタイルが用いられ、我が街札幌の「水道記念館」と似た雰囲気である。科博の方が遥かに大きく迫力や重厚さが違うのだが。

「国立科学博物館」
設計者:小倉強(文部省営繕課) 竣工1931年 東京都台東区上野公園7-20

冬が終わった

2010年03月25日 18時54分44秒 | 趣味
 たまには建築を離れた記事を書こうかなと思う。タイトルとトップの写真の内容が合っていないのだが、自分にとっての冬が終わってしまった。それは何故かと言うと、“歩くスキー”のコースが終了したからである。トップの写真と以下の写真は2週間前のものだ。

 自宅近くの比較的大きな公園では、冬の間歩くスキーのコースを設定してくれる。スケーティング主体のフリー走法と違い、クラシカル同様に歩くスキーはコースが無いとキツい。

 このように2本の溝にスキーを合わせて歩くのだが、休日の早朝に新雪上を歩くとそれはそれは爽快なのである。

 北海道の代表的な木である白樺の中を歩いたり、時には吹雪の中を歩いたりもするが、なかなか楽しい。
 道内ではまだまだ雪がたっぷり残っている所も有るが、とりあえずこの公園のコースが無くなった日に自分の冬は終わる。

田上義也記念室

2010年03月24日 17時34分29秒 | 建築
 今年の2月から小樽市入船に建つ“田上建築”「坂牛邸」内に田上義也記念室が開設された。主催されているのはNPO小樽ワークスさんで、毎週金・土・日曜の10:00〜15:00の間建物内に入り、田上氏の図面や建築模型その他の資料を見ることが出来る。入館料は300円。インスタレーションは北大、角先生の研究室の“腹さん”(当ブログでのお名前)が担当された。資料の一部は職業訓練大学の駒木先生の研究室からも提供されている。

 自分が伺った日はMさんという建築関係御出身で現在は陶器の工房を開いていらっしゃる方に、沢山お話を伺い充実した時間を過ごすことが出来た。
 そう言えば“美の壺file162昭和レトロの家」の解説中に「昭和初期の家は、西洋への憧れから玄関横に洋室が設けられ…」といった部分が有ったが、この坂牛邸にもそのような洋室が有る。

 田上義也デザインの家具なども見れるので、是非沢山の方々に訪れてもらいたいと思う。


「坂牛邸」
設計者:田上義也 竣工:1927年 小樽市入船5丁目8-15

御法度!

2010年03月23日 20時46分56秒 | DOCOMOMO
 京都府大山崎に建つ「聴竹居」は一昨年より聴竹居倶楽部の方々の管理の元、一般公開が行われている。昨年は学生達と共に見学させて頂いたのだが、特別に普段は非公開部分なども見せて頂き、大変感謝している。
 外観は写真撮影を許可されており、営利目的でなければブログでUPすることも許されているが、内部は引率者などが許可を取って撮影することになっている。ウェブ上へのUPもご法度だ。と、知りながら…。トップの写真は玄関内に飾られているDOCOMOMOの選定プレートである。「内部写真はご法度じゃないかー!」とお叱りを受けそうだが、そこは覚悟の上である。御免なさい。実はテレビで聴竹居を見て、嬉しくてつい…。

 先日、聴竹居倶楽部代表である竹中工務店の松隈様より聴竹居TV放送の連絡などを頂いた。NHKで放送される「美の壺file162昭和レトロの家」のラストを飾るのが聴竹居である。本放送と1・2回目の再放送は終了しているが、BShiで金曜日朝7時から、NHK総合で土曜日朝5時15分からの再放送が予定されている。前川國男自邸やその他貴重な映像も見ることが出来る。松隈さんがお話しされている姿も初めて拝見した。

 ということで、聴竹居放映記念のDOCOMOMO選定プレートUPである。DOCOMOMOに選定された建築内に、こうしてプレートが飾られているのを見るのはとても嬉しい。

SOS!ここは何処?’10東京建築漂流 その20「これで全部」

2010年03月22日 16時06分26秒 | 建築
 佐立七次郎の遺構は小樽に建つ「旧日本郵船小樽支店」(倉庫含む)とこの「日本水準原点標庫」の二つとされている。penkou師匠から増田彰久氏の日本水準原点標庫に関する記事を送って頂き、「今回の上京で見てこなければ!」と思い訪ねた。近くにはDOCOMOMO建築の「憲政記念館」も在る。

 日本の高さの基準はここに有る水準原点である。それを守る標庫はドリス式オーダーとぺディメントによる意匠で小さいながらも重厚だ。工部大学校造家学科1期生4人の遺構の中で、実は最も古いという。ぺディメント下部の“大日本帝国”の文字と菊の御紋、鋳鉄扉の菊の御紋が泣かせる。

「日本水準原点標庫」
設計者:佐立七次郎 竣工:1891年 東京都千代田区永田町1丁目

SOS!ここは何処?’10東京建築漂流 その19「色で差別化」

2010年03月21日 11時08分45秒 | 建築
 人魚姫の像も置いてあるという「在日デンマーク大使館」は、ヒルサイドテラスの模型群の中にも有り、実際にこれらの建築群と違和感無く建っている。しかしながら大使館であるから薄いピンクのタイルで差別化が図られている。

 「在日エジプト大使館」同様、内部に入れはしないので、中庭など見ることは出来なかった。ファサードは洗練されたデザインで他の槇建築同様、品格が有る。

「在日デンマーク大使館」
設計者:槇文彦 竣工:1979年 東京都渋谷区猿楽町29-6

SOS!ここは何処?’10東京建築漂流 その18「ここだけエジプト」

2010年03月20日 19時58分11秒 | 建築
 位置的に殆ど変わらないデンマーク大使館は渋谷区なのに、こちらエジプト大使館は目黒区だという。両館とも旧山手通りの同じ側に在る。歩道にスフィンクスやら、ファラオか何かの像やらが置かれていてここだけエジプトの雰囲気たっぷりだ。

 外装材にも古代エジプトを連想させるような石材を用いている。内部に入ることは出来ないが、用途の違うフロアをずらしながら積層させているのだそうだ。

 今回の上京では竹山実建築を3つも見た。一日にこんなに見たのは初めてである。地元札幌出身の建築家なのだが。

「在日エジプト大使館」
設計者:竹山実 竣工:1986年 東京都目黒区青葉台1-5-4

SOS!ここは何処?’10東京建築漂流 その17「鉛の包帯」

2010年03月19日 17時29分45秒 | 建築
 剝れ落ちる鉛の包帯の下に石材。その下にはコンクリート。最も最下層にガラス。鈴木エドワード氏の「オンワード代官山ファッションビル」は代官山の駅からヒルサイドテラスへ向かう際、真っ先に見ることが出来る。

 この建築は薄皮を剥ぐように外装材を変化させている。このようなデザインをスケッチしたりエスキスする時は、さぞ楽しい瞬間ではないかと思う。想えばポストモダンとは良い時間だったなあ。

 「オンワード代官山ファッションビル」
設計者:鈴木エドワード 竣工:1986年 東京都渋谷区猿楽町28

SOS!ここは何処?’10東京建築漂流 その16「とりはDOCOMOMO建築」

2010年03月18日 19時23分26秒 | DOCOMOMO
 今回の上京ではDOCOMOMO建築を5つ見ることが出来た。その5つ目は「国立劇場」である。先に「新国立劇場」を見たのだが、“新”はオペラ、こちらは歌舞伎や文楽、落語まで上演する。「こんな大きな劇場で落語かー!」と思ったら、演芸専門の建物はこの裏手に建っていた。この大きさは、実は歌舞伎にも大きいらしい。
 コンクリートの校倉造りをずっと見たいと思っていた。文字通り、この建築を「大とり」とした。しかしこのシリーズの記事はまだまだ続く。

「国立劇場」
設計者:岩本博行 竣工:1966年 東京都千代田区隼町13
DOCOMOMO JAPAN選定建築(当ブログ42件目)

SOS!ここは何処?’10東京建築漂流 その15「山折、谷折」

2010年03月17日 23時00分50秒 | DOCOMOMO
 山折、谷折のこの屋根形状は「九州工業大学講堂」を思い出す。竣工は「憲政記念館」の方が1年遅く1960年ということだ。DOCOMOMO JAPAN選定建築となったのはこちらが先である。

 中庭に入ると、どこか和風なイメージを抱く。内部は講堂や会議室、展示室などで構成されているが、講堂と中庭以外はやけに細長い空間が多い。床は那智黒石ということで、何処の産地なのだろうと調べてみたら、なんと三重県産であった。碁石の黒にも使われているような石だ。RC造の建築なのに不思議と“和”を感じる建築であった。

「憲政記念館」
設計者:海老原一郎 竣工:1960年 東京都千代田区永田町1-1
DOCOMOMO JAPAN選定建築(当ブログ41件目)