DOCOMORO100

モダニズムだけじゃない建築ブログ

今年も

2014年03月11日 19時46分31秒 | Book

 今年も3月11日となった。昨年の3月11日にも、この写真集「女川海物語」について記事にした。penkou師匠より御紹介頂いた写真集である。あの震災を忘れないように、今年もこの写真集をしっかりと見た。


ミスターコンサドーレ

2010年07月30日 20時59分48秒 | Book
 昨年で現役引退した“ミスターコンサドーレ”曽田雄志さんの著書「生きているから生きてゆける」を読んだ。物凄く良い本だった。

 曽田さんは道内一番の進学校、札幌南高校から筑波大学を経てコンサドーレに入団され、コンサ一筋9年の現役生活を送られた。FWからDFとなったそのシーズンイン直前に顔面を骨折したりして、決して順風満帆とは行かなかった現役生活であったが、それゆえ曽田さんの言葉には人の心を動かす強さが有る。もう何度でも読みたくなる。
 現役引退後も新聞への寄稿、テレビで選手へのインタビューを行うなど、大変活躍されている。この夏は音楽のプロデュースなどもされるそうだ。今後も益々御活躍なさって欲しい。
 因みにトップの写真は曽田さんの著書の上にJリーグチップスのカードを置いたもので、カードは曽田さんのサイン入りである。

 さて、病気が出まして、明日上京し「建築はどこにあるの?」展を見に行くことにしました。mさん急すぎてすんませーーん。御一緒は無理ですかね?相模さん新潟でなくてすんませーーん。

「いざ鎌倉!腰越強行突破」’08鎌倉・東京建築紀行 番外編2“その涙は何だ!”

2009年01月25日 22時47分53秒 | Book
 住宅建築1989年12月号は、アトリエCOSMOS近作7題とタイトルの付いた号で、自分が高く高く舞い上がりpenkou師匠を驚かせた森次晃嗣さんのカフェ兼ライブハウス兼住宅「JOLI CHAPEAU」も紹介されている。

カフェ兼ライブハウス内に配されたこの建築の核となる8本の柱は、何と木の電柱であった。そのようなことも書かれている。あの空間での出来事が現実のものであったのか、まだ信じられないでいるのだが・・・。
 
 ところでこの雑誌に芝浦工大の畑先生の著書「エーゲ海・キクラデスの光と影」の広告が掲載されていた。

 さてこの雑誌が発売された当時、自分はまだ新潟大にいて芝浦工大生ではなかった。翌年、芝浦工大に入り、畑先生の授業でギリシアでの研究活動の話を伺い、次にギリシアで調査をされる際には自分も参加したいなあと思っていた。ところが畑先生は研究の対象をタイの山岳民族アカ族に変更されてギリシア調査は無くなってしまった。結局畑研究室も希望せず、別の教授に御指導していただいたのだが、今ならタイの山岳民族の方が興味が湧く。勿体無いことをした。

CONFORT

2009年01月14日 18時03分26秒 | Book
 パリ、ローマ、ミラノ、バルセロナ、アムステルダム。自分が訪れたヨーロッパ各国の都市は、それぞれ歴史、文化に基づいた固有の表情を持っていた。日本ではどうだろう。京都や鎌倉などの古都は別としても、例えば札幌と旭川の表情の違いを明言出来ない。
 若い頃、夏ツーリングの知己朋友K君と、日本が進むべき道は「文化大国になること」などと熱く語ったこともあったが、建築に関しては、現実はスクラップ&ビルド大国猛進中である。先日ローカルニュース番組の中で、内藤多仲氏設計の「札幌テレビ塔」を高さ650mのタワーに建替える案を放送していた。ゆるキャラ、“テレビ父さん”が画面の中で狼狽していたが、笑えない話である。キャスターの方が「タワーの中間にデジタル時計を付けて」とコメントしていた。札幌のテレビ塔と言えば「電光の時計を持つ赤い塔」と皆の心に宿っている。そういう大切な記憶を、実にあっさりと捨て去ってしまう。政治家の常套句ではないが、如何なものだろうか。

 先日、penkou師匠が松井晴子氏によりインタビューを受けた記事が載る「CONFORT」を購入した。古くから多くの建築家に信頼の厚い松井氏の記事は、論旨が実に明快的確で素晴しいものだった。

 記事のタイトルは「つるかめ建築を支える人々 モダニズム建築には建築家の魂が投影されている」というもので、penkou師匠の保存活動や建築家としての素顔も紹介されている。詳しい内容は皆様、御購入後お読み頂きたいと思う。
 この中で、いや、いつもpenkou師匠から教えて頂いていることで「保存は戦いではなく、共感を得ることが大事」とある。まさしくその通りで、それゆえ保存活動を行う人の資質が大切だ。様々な意見を聞く耳を持ち、しっかりと咀嚼した上で正しいことを主張出来る。そのような人が行うべきだ。「空手は君子の武道」という言葉がある。空手を修行すれば君子になるのではなく、君子のみが空手を学ぶ資格を持つという意味だ。新潟でお会いした、「新潟まち遺産の会」の大倉宏砂丘館館長も、明朗で素晴しい方であった。

 と言いつつも、penkou師匠とお会いする以前は、自分も建築の保存活動という引き出しを持っていなかった。初の関西建築研修引率において、大阪駅前で学生達と共に乾久美子さんのルイヴィトンにカメラを向けていた。次の年は学生達が大阪中央郵便局を見て「DOCOMOMOだ!DOCOMOMOだ!」と叫び目を輝かせた。昨年も訝しがる局員さん達の目を気にしながら、ぞろぞろと20人で内部を見学した。
 皆が少し意識するだけで、日本の建築文化も大きく変わる。成熟する前にいつも摘み取ってしまうのでは軽いままだ。

’07弘前・青森・函館 熱風怒濤 番外編1

2007年08月21日 18時45分40秒 | Book
 penkou師匠のコメントに先を越されてしまったが、実は先の記事に記述した青森の建築誌「A haus」に関する記事を作成中であった。
 今年、自分のクラスには何故か青森県出身者が5名もいる。11月にはプレゼン授業において、penkou師匠にその成長を見てもらおうと頑張っている。(クラス全員が。また、2年生にもこのサイトを読んでくれている学生がおり、彼らも頑張ってくれるだろう。)以前、その学生の1人が青木淳氏の「青森県立美術館」を訪れ、「こんな本が有るのですよ。」と、そこで購入したA hausを見せてくれた。青森県立美術館特集号だったと思う。先にも書いたが、雑誌と呼ぶのは憚られる素晴しい紙面作りで、地元や建築文化への愛情が感じられた。

 この本は2005年1月に第1号が発行され、3年目の現在第5号まで刊行されている。今回の弘前紀行中に全冊購入するつもりであった。ちょうどこのツーリング出発前にエンスー仲間(私はまだ駆け出しだが)である上遠野先生の事務所スタッフHさんとPRESS CAFÉでお話しした際、A hausの話題となった。上遠野先生もA hausは良い本だとおっしゃられているそうである。そう言えばNo5には上遠野先生の記事もあった。

 記念すべき第1号は「木村産業研究所」で購入出来た。「前川國男特集号」であるから、これは本当に良い記念となった。あとは弘前市内の書店と青森県立美術館にて恙無く購入出来、全冊揃えたのだが、今後は通信販売での購入となるだろう。何せ、福岡で売っているというのに札幌では売っていないのだ。隣の県なのに…。

保存戦記とINSIDE NEWS

2007年05月16日 23時59分14秒 | Book
 日経アーキテクチュア誌において、penkou師匠の隔号連載が始まった。その名も“保存戦記”。建築とは「戦い」だ。まして建築の保存となると「激闘」なのである。建築文化を築く礎となるよう、末永く連載が続いてほしいと切に願う。

 師匠の連載が始まった4月9日号の、見開きページ反対側に“INSIDE NEWS”の記事が掲載されている。槻橋修さんの書かれた、毎年仙台メディアテークで開催されている「卒業設計日本一決定戦」についての記事である。「昨年あたりから作品全体のレベルが非常に高くなり、一発アイディアの提案、問題意識の希薄な提案は100選に残ることも難しくなってきた。ベスト50以上となるともはや明快に差をつけることが困難になってくる。」と述べられている。

 今年卒業したN君がベスト50に残った。惜しくも20位以内には入らなかったが、かなりの好評を得たようだ。471点の中から選ばれたのだから、とても素晴らしい。N君は授業でpenkou師匠に2度プレゼンを見て頂いた。2年生の時も3年生の時も師匠からお褒めの言葉を沢山頂いている。N君はいつも「褒められるよりも欠点が知りたい」と言うような人であったが、penkou師匠からの言葉は嬉しいものであったと思う。
 
 日経アーキテクチュアの2007年4月9日号は自分にとって特別な号となった。勝手に二つの記事を結びつけて、ひとり笑顔になっている。

師匠!有難うございます!

2007年03月27日 20時19分34秒 | Book
 penkou師匠から、冒険小説を沢山頂いた。もう冒険小説は1年以上買う必要が無いくらいに!師匠、いつも有難うございます。どれも面白そうなものばかりでわくわくする。そして、その中に嬉しい車関係の書籍も。アルファの写真集などは感涙ものである。早速、K設計事務所のHさんからお借りしているロータスの写真集と一緒に撮影などしてみた。高齋正氏の「ミレミリアが復活する時」、ポール・ニューマン主演の「レーサー」のノベライズを加えた。これらも師匠から頂いたものだ。
 
 PRESS CAFE’のマスターも、一家言あるであろう、ポール・ニューマンの「レーサー」はインディ500マイルレースに題を取った映画である。スティーブ・マックイーンの「栄光のル・マン」と双璧のレース映画だと思っている。1969年製作の映画であるから、車は葉巻型のフォーミュラーだ。これがまた渋いのである。月寒にPRESS CAFE’が有った頃、ロータスの葉巻型フォーミュラーを置いていた写真を見せて頂いた。自分にとってのフォーミュラーは、マクラーレンM23、タイレルP34、フェラーリ312T2、ロータス78、ブラバムBT45からなので葉巻型が本気のレースを繰り広げている様は古い映像の中でしか見ていない。しかし、その車達が放つ輝きは、今のフォーミュラーマシンに負けないどころか、何か純粋さも加わって、より美しさが増して見える。

熱血硬派な時代

2006年10月31日 23時37分30秒 | Book
 渡辺豊和氏の「文象先生のころ 毛綱モンちゃんのころ」を読んだ。最近、自分の読書は建築関係偏重となっている。駄文も有れば、良質な著作も有る。本書は後者、ある時代をリアルに体験させてくれる素晴らしい書き下ろしだ。

 自分はこの一年あまり、penkou師匠の影響もあり、随分モダニズム建築を意識してきた。がしかし作品自体を見ることは出来るのだが、時代を感じる事はなかなか難しい。
 本書の前半では「黒部第二発電所」の山口文象氏の門下だった渡辺氏が、師との思い出を軸に当時を振り返る。日本のモダニズムを大阪からの視点で、様々な作品に対する講評、論考という形で述べている。臨場感に溢れた文章により、当時のRIA大阪事務所にお邪魔している気分になる。

 後半はポストモダンの盟友毛綱毅曠(毛綱モン太)氏との思い出を綴っている。鬼才毛綱氏の作品を的確に解説し、また日本ではモダニズムからどのようにポストモダンへ移行したのかを毛綱氏の作品中心に語られている。ポップアートやアーキグラム、ルイス・カーンにチャールズ・ムーア。モダニズムからポストモダンへ。そしてポストモダンの黎明期が活き活きと語られる。

 先日penkou師匠、北大歴史研の角先生と飲んだ際、角先生に「反住器は竣工時は現在のような白ではなく、黄色と黒の“バリケードカラー”であった」ことを教えて頂いた。現在の白色でも十分インパクト大であるのに、黄色と黒の斜めストライプである。そのインパクトは強烈だ。
 「婆沙羅」や「野武士」と言われた建築家達は皆強烈な個性を発揮し、建築という媒体を借りた作品を生み出してきた。否定的に述べられることも多い時代であるが、自分はこの熱血硬派な時代が好きである。
 

人間性

2006年09月23日 00時11分37秒 | Book
 「インタビュー」の作者、建築・アート・デザインのプロデューサー、安東孝一氏の講演会を聴きに、カフェ・エスキスに出かけた。プロデューサーというよりも、御本人がおっしゃる通り、建築・アート・デザインのキュレーターという方がしっくりと合う方であった。
 講演会はあっと言う間に終了。話に引き込まれ真剣に聞き入っていたため、終わった瞬間、思わず「え?」と声を上げそうになった。それ程興味深い内容であったのだが、それだけではなく安東氏の人柄に依るところも大きかった。

 安東氏は、ざっくばらんなようでとても気を遣われる方だ。それが人の信頼を得るのだろう。写真の「インタビュー」は最も新しい出版物だが、建築・アート・デザイン界のトップランナー達へのインタビューを活字にし、あとは写真やデータを少し載せただけのものである。
 インタビューを受ける側が、安東氏に信頼を寄せているのがとてもよく分かる。普段なら決して話さないであろう内容も話題に上っている。例えば、隈研吾氏へのインタビューでは、なんとM2の話がでてくる。インタビューが実施されたのが2001年から2002年頃だそうだが、自分は隈氏がM2について語ってらっしゃるのを初めて読んだ。それもごく自然な流れで語られている。ポストモダンについても同様だ。今、隈氏のHPではM2の写真は無く、著書「グッドバイ・ポストモダン」は外されているというのに。

 今日、安東氏の講演を聴き、世の中には様々な“役割”が存在する事を知った。そして、その様々な役割に大切なのは、やはり人間性なのだということも。

飛ぶ教室

2006年02月27日 23時18分41秒 | Book
 突然だが「飛ぶ教室」という児童文学専門誌がある。一度、廃刊の憂き目にあったのだが昨年季刊として復活し、もう4冊出ている。「飛ぶ教室」自体が児童文学なのだが、数年前には映画化もされている。子供の社会もそう単純ではないことを綴った内容で、自分にとっては思い出も有り大切な映画だ。雑誌の方は、映画を観ていなければ手に取っていなかっただろう。
 最新冬号の小特集はトーべ・ヤンソン、ご存知ムーミンの作家だ。スナフキンより大切なキャラがある。それは、にょろにょろ…。何故?と問うことなかれ。大切なのだ。妙と言えば自分にとって大切な映画は、他に「トレジャープラネット」「エビボクサー」。なんだかまともな映画が入っていない。でも大切だ。
 いつも、一生懸命走っているが、実は明日走るのを止めても良い。アルバ・アアルトの建築を見にフィンランドに行ってみたい。アアルトの椅子に座りながらトーべ・ヤンソンを読み一日が終わるなんていうのも良い。
 テレビで、ばんばんが「いちご白書をもう一度」を歌っている。君も観るだろうか。何処かでもう一度…。

素晴らしき哉、札幌の夜

2006年02月17日 22時12分54秒 | Book
 札幌、北海道の建築好きの人間なら一度は手に取ったことがあるのではないかと思う「建築探訪」シリーズ。その監修は北大大学院教授の角先生である。私も随分お世話になっているシリーズで、建築探訪のお供には欠かせない本だ。
 今回penkou師は角先生とも、お会いする約束をされていて、その食事の店を僭越ながら決めさせていただき、更に自分も末席に加えていただいた。初めてお会いした先生の印象は、一言で述べると「ざっくばらん」。気取りの無い、素敵な方である。勿論、仕事の際は厳しい姿勢で臨まれているであろう。しかし、この夜は本当に楽しく、様々聞かせていただいた話もとても面白かった。建築保存の話や文化財登録の話など、ためになる貴重な話ばかりであった。例えば前日にpenkou師と訪れたニッカウヰスキー余市工場一連の建築群を有形文化財に登録したのも角先生であるし、今まで自分が抱えていた疑問点などにも、さっと答えてくださる。ニコニコと笑いながら。つられてこちらも笑顔になる。とても楽しい夜であった。

ああ、欲望の街…

2005年11月27日 15時09分52秒 | Book
ブログという媒体に参加してまだ3ヶ月程度である。その世界の広さに少し困惑しているところもあるし、楽しんでいるところもある。様々な危険性も含む一方で、新しい素晴らしい出会いの機会を作ってくれる媒体であるということに関しては、異論を持つ者はいないであろう。以前はその役割の殆んどを雑誌などの出版物が担っていたのだが、現在はインターネットにバトンを渡しただけの話である。バトン…。まわってきました、またしても!で、お題はなんと「欲望バトン」…。
 「欲望」という言葉から、真っ先に思いつくのは、自分が小学生から中学、高校生時代にかけて大流行した、角川映画。中でも大藪春彦原作のものは、よく観たものだ。「金」「栄誉」「名声」「女」(女性の皆さん、お気を悪くなさらずに)、欲しいものは沢山あるが、とても活字やスクリーンの中の世界のようにはいかない。せいぜい、登場人物に自分を重ね合わせ想像の世界で遊ぶ程度である。(ただ、大藪春彦氏の書く主人公達は獣の臭いはするが、やさしさが少々不足気味。)昔タモリさんが北方謙三氏をからかって、氏が普段はステテコ姿のビール好きなオヤジであることをコントで熱演していた。実際に私生活までハードボイルドしているのは内藤陳氏くらいなものか?それも定かではないが…。陳さんの舞台を観に行って、頂いたサインに添えられていた「ハードボイルドとは優しさなのだよ、○○君!」という一行は忘れられない。さてそんな自分の「欲望」とはどんなものか。早速スタート。
Q1:今やりたいことは?
目的を叶える為の旅。(見る建築や風景を100箇所決めて出発するとか、バイクで大陸横断するとか、達成感を感じられる旅。)
  
Q2:今ほしいものは?
時間。
  
Q3:現実的に考えて、今買ってよいものは?
買いたい本やDVDが山ほど有るが、本屋ではついセーブしてしまう。本当に必要なものだけを選ばないと、エライことになるのが分かっているので。
  
Q4:現実的に考えて、欲しいし買えるが、買っていないものは?
新しいクラッシックギター。
  
Q5:今、欲しいもので、高くて買えないものは?
高くて買えないものは、欲しくない。
  
Q6:タダで手に入れたいものは?
胡散臭い、骨董品(お宝)。
  
Q7:恋人からもらいたいものは?
変わらない、思いやり。
  
Q8:恋人にあげるとしたら?
変わらない、思いやり。
  
Q9:このバトンを5人に回すとしたら?
う…。例によって、ここで一人分途絶えます。
penkou師匠だったら、この題材をどう料理するのか見てみたい気もしますが、日本の建築界がびっくりするので、ちょっとまずいですよね。師匠、如何でしょう。(と、振っている自分が怖い。無視してください。)

またしても建築と関係ないのだが

2005年11月06日 20時17分49秒 | Book
 いつも、建築の師匠の兼松さんが、御自身のブログで様々な記事を書かれているのが羨ましく、私もちょっと脱線しようかと思う。
 今日、歌手でミュージカル女優の本田美奈子さんが白血病で亡くなられた。確か私と同じ歳か一つ下くらいのはずだ。特別大ファンという訳ではないのだが、たまたま「ミス・サイゴン」の初演を見に行ったとき、キム役は彼女の回だった。もう13年も前の事だ。写真はその時のパンフレットである。彼女がミュージカルの舞台に上がるにあたり、様々言われたであろう事は想像に難くない。しかし、舞台では彼女は光っていた。周りの女性の観客達は皆泣いていた。男一人で(今思うと辛いシチュエーションだが)観ていた私も泣いた。その後、精力的に舞台活動をこなした彼女は、今や誰からも文句を言われることの無い、舞台女優へと変身をとげた。それなのに…。
 人間なかなか、死ぬまで健康というわけにはいかない。それこそ、建築業界で不健康自慢を始めたら夜を徹してしまうかも。かく言う自分も一生治らないやつを二つも持っている。一病なら息災だが、この二つは結構ヘビーなのだ。よく病気を苦にして自殺などという話も聞くが、はっきり言ってよく分かる。持病が暴れだしたら、もう何もかも面倒くさくなってしまう。
 さてしかし、取り敢えず(不謹慎な言い方に聞こえるかもしれないが)まだ生きている。ひょっとしたら明日、病気とは全然関係ない原因で死んでしまうかも。だったら悔いのないように全力で生きよう。夢バトンで「納得いく仕事をして死にたい」と書いたのは、本心である。

ダニ・カラヴァン 大地との共鳴/環境との対話

2005年10月16日 18時58分37秒 | Book
 ダニ・カラヴァンは建築家ではありません。どうしても位置付けしなければならないとすれば彫刻家ということなのですが。しかし、スケールが違います。イサム・ノグチ同様カラヴァンの作品にも文字通りその土地を大切にした、「大地との共鳴」を感じます。環境の造形家なのです。
 本書は世界中にあるカラヴァンの作品集です。様々な構築物やランドスケープを見ることが出来、三部構成からなる最終の章は日本に残された作品について書かれています。イスラエル出身のカラヴァンですが、日本とは割りと縁が深く、北は我が街札幌、南は九州鹿児島まで作品があり、神奈川県立近代美術館他各地で展覧会も開かれました。
 作品は都市環境を計画したもの、自然環境をデザインしたもの、大きさも様々ですが、本書でその一部でも味わってみてください。そして、本物に触れたくなったら、札幌へ来てみてください。場所は「札幌芸術の森野外美術館」です。

色々、新たに発見することが!

2005年10月09日 17時56分56秒 | Book
 書籍について、述べようとする際にまず気になることは著作権のことですが、やはり勝手に載せるとまずいのでしょうね。しかし、営利目的ではないということと、本の品位を汚すことがないよう注意いたしますので、関係者の皆様、何卒御容赦を。
 さて、ということで少々ドキドキしながらBookというカテゴリーを作りまして、一冊の本を紹介いたします。「アントニン・レーモンドの建築」(三沢浩著・鹿島出版会)です。
 この本に出会ったきっかけは、兼松さんのブログの記事「踏みとどまったレイモンドの旧スタンダード石油会社社宅」http://blog.goo.ne.jp/penkou/e/0c502899473b4797d93e7d4a7f949ee6を読み、「そういえば札幌にもレーモンドの教会があったっけ。これは今一度勉強しなければ。」というものでした。著者の三沢氏は兼松さんのブログでも述べられておりますが、レーモンド建築設計事務所に勤務され、現在は三沢建築研究所を主宰されていらっしゃいます。本書はライトと出会う以前のことから、戦前戦後、晩年日本を離れる迄をレーモンド本人やその他の方々の弁を交えながら綴られており、更に図や写真も充実していて、資料性もとても高いものとなっています。
 その中から、やはり札幌に関することを取り上げたいと思います。当ブログでも写真を掲載した「札幌聖ミカエル教会」についてですが、本書では平面図や、現在とは違う周りの雰囲気を感じる写真を見ることが出来ます。同じページに記載されている、兄弟とも呼べそうな「延岡ルーテル教会」との共通点や、相違点などを探して見比べるのも面白く、目には見えない“共通点”の一つに双方とも「設計料が出なかった」ということがあります。(びっくりですね。)よって、レーモンド本人もスタッフも札幌に監理しに来ていないのですが、そこで施工業者の方(かた)が東京へ打ち合わせに行かれたとあります。その施工業者の方(現場監督)こそが、当時竹中工務店に勤務されていた上遠野徹氏であったのです。このブログのタイトルはDOCOMOMO100選をもじっているわけですが、我が北海道から選ばれた2つあるDOCOMOMO建築のうち、一つはこのブログの記念すべき一回目の記事「旭川市役所」であり、そしてもう一つは現在も建築家として御活躍の上遠野氏の「自邸」なのです。このエピソードを、本書を読んで初めて知り、一人ほくそえんでしまいました。
 札幌にも大きな書店が幾つかあるのですが、どうも一旦入ると、なかなか出られない、私にとっては「魔の空間」であります。ああ、しかし今日も勝手に足が向いてしまう…。

※パキスタンで被災された方々にお見舞い申し上げます。又、お亡くなりになった方のご冥福をお祈りします。