DOCOMORO100

モダニズムだけじゃない建築ブログ

川沿いのモダニズム店舗

2008年08月29日 18時02分07秒 | 建築
 アムステルダムの川沿いに、とても心惹かれる店舗が建っていた。花屋なのか、カフェなのか、何故かよく確認せずに写真だけ撮って、素通りしてしまった。(この先にシロダムが建っている為、そちらの方に気が向いてしまい、じっくり見なかったのかもしれない。)
 オランダの建築は、この店舗のように窓を大きく取って、開放的にしているものが多いと感じた。一般の住宅の居間も、とても窓が大きくカーテンを閉めていないので、内部が丸見えになっている。内部からも、とても開放的に感じるのだろう。自分が住むならカーテンを閉めると思うが。

お蔵出し決定版 その11(2007年 8月 青森県・弘前市)

2008年08月24日 17時38分03秒 | 建築
 弘前市役所に隣接するこの一帯は、貴重な建築を何軒も保存し、屋外に建築模型も展示している。「旧弘前市立図書館」は弘前出身の大工の神様、堀江佐吉氏により建てられたものだ。「青森銀行記念館」も堀江氏によるものだ。元はお城大工の家系だった堀江氏は洋風建築の技術を函館で学んだそうである。

 この旧弘前市立図書館は、何と言っても八角形の双塔が目に迫ってくる。量塊感がある。しかし上品だ。隣接する「旧東奥義塾外人教師館」もそうだが、津軽藩のお城大工の棟梁の作品と言われると、にわかに信じられない。函館の影響は大きかったのだろう。

「旧弘前市立図書館」
施工者:堀江佐吉 竣工:1906年 弘前市下白銀町2-1

’08道東強行軍“天は我々を見放したか”その5「はてしない大空と」

2008年08月23日 14時08分06秒 | 建築
 北海道民にとって足寄と言えば松山千春さんである。道の駅にも歌碑がある。
 「旧足寄村役場」は今年まで郷土資料館として使われていたのだが、現在は老朽化を理由に別の建物へ移ってしまい、利用されていない。基礎部の傷みが大きいようだ。
 懐かしい赤ポストも残っていたが、この建築が再び使われる日が来るかは分からない。

「旧足寄村役場」
設計者:森田元 竣工:1934年 足寄町旭町3丁目

’08道東強行軍“天は我々を見放したか”その4「北海道に象がいた」

2008年08月21日 20時44分44秒 | 建築
 昭和45年~46年に忠類村でナウマン象の化石が発掘された。そのナウマン象の全身骨格をドームの中心に設置しており、とても迫力あるものとなっている。ドーム自体もナウマン象のイメージで無骨だ。エントランスからの外観はナウマン象そのものを表しているのだそうだ。アプローチが鼻でドームが胴体である。
 この建築は第1回北海道建築賞「知事賞」を受賞している。お盆休みとあって、訪れる人の数も多かった。

「忠類ナウマン象記念館」
設計者:アトリエブンク 竣工:1988年 広尾郡忠類村字忠類383-1

’08道東強行軍“天は我々を見放したか”その3「何もないこともない」

2008年08月20日 19時13分45秒 | 建築
 「襟裳岬・風の館」の入り口は、写真の通り地面へ突入するような動線である。崖側に大きく開かれた巨大窓より襟裳岬の突端を見ることができる。風の強い日や雨の日でも、屋内から望遠鏡で岩場のゼニガタアザラシを観察できるのだが、肉眼だとよく見えない。望遠鏡の貸し出しがあったので借りるべきだった。運が良ければラッコも見ることができるという。
 施設の一つに襟裳岬の強風(風速25m/s)を体験するコーナーもあるのだが、雨で体が冷えていたため入る気になれなかった。

 建築自体は、外部の石積みや崖面のRC打放しの躯体など格好良いのだが、襟裳の自然に気を取られてしまい、少し印象が薄くなってしまった。
 ということで襟裳には風の館も在れば、ラッコもいる。

「襟裳岬・風の館」
設計者:Kパートナーズアーキテクツ 竣工:1997年
幌泉郡えりも町字東洋366―3

’08道東強行軍“天は我々を見放したか”その2「熊害」

2008年08月19日 16時49分38秒 | 建築
 太平洋戦争より前の昭和10年に様似町の重要文化財に指定された「等澍院護摩堂」は三度移転されている。その理由が北海道らしく「熊害」によるものである。老朽化による取り壊しの危機もあったが、それを救ったのは町民の思いであったそうだ。素晴らしい。
 屋根材が鉄板葺きとなってはいるが、その意匠が何とも味わい深く、町民が残したいと思ったのも頷ける。木部の痛みが進んでいるのが気になるが、文化財に指定されてもいるし、そのまま朽ちるということはないだろうと信じる。

「等澍院護摩堂」
設計:? 建立1811年 様似町本町1

’08道東強行軍“天は我々を見放したか”その1「桜の花咲く頃」

2008年08月17日 21時41分30秒 | 建築
 馬産地静内(現・新ひだか町)には、その幅二十間、長さ7㎞の桜並木、「二十間道路」がある。その一番端に、宮内庁御料牧場の貴賓用客舎として建築されたのが「龍雲閣」である。皇族をはじめ、多くの高貴な方々が訪れた歴史が案内板に記されていた。
 毎年ゴールデンウィーク時に開催される桜祭り期間中のみ一般公開される。

 周囲には何も無い、広々とした敷地に建つのだが、周りを囲む金網のフェンスが少々野暮である。建築自体は二階部分の上下に付く裳階が特徴的であり、平屋部分とのバランスも良く、それこそ気品の良さを感じる。内部も素晴らしいそうだ。来年のゴールデンウィークを楽しみにしている。

「龍雲閣」
設計者:? 竣工:1909年 新ひだか町御園

’08道東強行軍“天は我々を見放したか”その0「目次」

2008年08月16日 11時32分47秒 | 目次
 バイクによる建築探訪最大の敵。それは…「雨」。
 出発前日まで晴れていた。そして帰ってきた翌日である、本日も晴れている。まさに自分達が走った3日間のみ雨に降られてしまった。
 雨に降られるとバイクによる建築探訪は辛い荒行と化す。デジカメが雨に打たれるのも心配だ。頑張っていくつか見ることは出来た。常に降っていたわけではない為、天候を見計らって写真も撮ることが出来た。それでも予定を短縮せざるを得なかったのは痛い。来年のリベンジを誓いつつ帰札した次第である。
 まずは目次から。

●初日
千栄神社本宮
釧路フィッシャーマンズワーフMOO(毛綱毅曠)
釧路キャッスルホテル(毛綱毅曠)
幣舞橋

●二日目
鷲足商店
旧足寄村役場庁舎(森田元)
ナウマン温泉アルコ236(アトリエブンク)
忠類ナウマン像記念館(アトリエブンク)
襟裳岬・風の館(Kパートナーズアーキテクツ)

●三日目
等澍院護摩堂
宮内庁新冠御料牧場龍雲閣

 今回は、今年知己を得た角先生の研究室の博士課程、腹さん(ハンドルネーム)も共著に名を連ねる「道東の建築探訪」を見ながらの選択となった。かなりマニアックな建築が含まれている。

「鷲足商店」
設計者:? 竣工:1938年 足寄町上足寄本町

お蔵出し決定版 その10(2008年 1月 オランダ・アムステルダム)

2008年08月12日 18時47分42秒 | 建築
 伊東豊雄氏の建築は、お蔵出しシリーズ2度目の登場である。アムステルダムのWTC近くにマーラー4というオフィス街が建設されていて、今年1月の時点で半分の建築は竣工しており、残りも完成目指し、建設工事が進んでいた。

 伊東建築「マーラー4ブロック5」は壁面に巨大な開口のある、直線的建築である。最近は有機的ラインや円のイメージの強い設計が多く見られる伊東建築であるが、このマーラー4はそれらとは異質である。隣のラファエル・ビニョリの、やはり直線的な建築と同系統と言えそうだ。

 UNスタジオを始め、まだ有名建築家の作品が施工中で、完成が楽しみなプロジェクトである。

「マーラー4ブロック5」
設計者:伊東豊雄 竣工:2005年 アムステルダム市内

お蔵出し決定版 その9(2008年 1月 オランダ・アムステルダム)

2008年08月11日 18時52分38秒 | 建築
 毎日記事をUPしようと思ったが、2週間もたなかった・・・。撮り溜めた写真が多過ぎることからして、もういけない。どれを使うか、どんな事を書こうか迷っているうちに時間を無駄にしてしまうのだ。そうこうしているうちに、また恒例の夏ツーリングに出かける時期になってしまった。
 
 MVRDVの“DV”、Nathalie de Vriesをはじめ、オランダでは多くの女性建築家が活躍している。Jeanne Dekkersもその一人だ。1990年代以降のオランダにおける秀逸なデザインの建築を称して「スーパーダッチ」と呼ぶが、Jeanne建築も含まれるだろう。
 「OZW(自由大学附属保健福祉トレーニングセンター)」の外観は、見る角度によって印象が大きく変化する。ボリューム感がまるで違うように感じる。規模は違うが、汐留に在るジャン・ヌーベルの「電通本社ビル」を見たときにも同じことを思った。
 外装材は煉瓦である。学校建築に煉瓦とくれば北海道では上遠野先生の建築を思い浮かべるのだが、こちらのデザインはかなり奇抜である。6階建てで吹き抜け空間が有るが、HPで見ると内部はそれほど奇抜な形態ではなかった。ただ、特徴の一つという光に関する内外の関係については、入っていないため言及できない。サッシの位置や形状をみるだけで、普通ではないことは予想できるが。

「OZW(自由大学附属保健福祉トレーニングセンター)」
設計者:Jeanne Dekkers 竣工:2006年 アムステルダム市内

お蔵出し決定版 その8(2008年 1月 スペイン・バルセロナ)

2008年08月09日 20時28分39秒 | 建築
 この市場の屋根の模様を、是非インターネットや書籍で上から見てほしい。愛地球博覧会のスペイン館で同じ六角形のデザインを見た。色彩はこちら「サンタ・カタリーナ市場」の方が素晴らしいと思う。ただ残念ながら、地上からは見ることができない。
 設計者のエンリク・ミラーレスはこの市場の施工中に亡くなったため完成を見ていない。

 ここを訪れた当日、市場は閉まっていたため残念ながら内部を見ることが出来なかったが、屋根の大きな波の形状がとてもインパクトがあった。上から見ることが出来れば良かったのだが。

「サンタ・カタリーナ市場」
設計者:エンリク・ミラーレス 竣工:2005年 バルセロナ市内

お蔵出し決定版 番外編その1(2008年 1月 オランダ・アムステルダム)

2008年08月08日 00時35分32秒 | 趣味
 海外に建築を見に行く度に、元気に走るFIAT500(チンクエチェント)を見かける。本国イタリアはもとより、フランスでもスペイン、オランダでも必ず見かけた。そして写真を撮った。この写真のチンクはオランダで見かけたものだ。少々汚かったが、しっかり走っているのだろう。
 以前、一度PRESS CAFEのマスターに乗せていただいたことがあった。それこそスロットル全開で必死に走った。海外で見ると、皆優雅に走っているように見える。何故だろう。

お蔵出し決定版 その7(2008年 2月 北海道・真狩村)

2008年08月07日 18時59分30秒 | 建築
 地元北海道の人々にとって真狩村と言えば“細川たかしの出身地”である。この夏、洞爺湖サミットが開催され様々な話題が上ったのだが、ファーストレディ達がランチを取ったレストランが、真狩村にある内藤廣建築「レストラン・マッカリーナ」だ。福田首相の勧めであったとか、なかったとか。

 以前、マッカリーナ・レストラン棟の記事をUPした際、一般的な寄棟と書いてしまったのだが、何と中庭があった。単なる寄棟ではなっかったのである。

 やはり建築探訪は内部までしっかり見なければと反省している。とは言え休日はいつも満席で予約を取るのも大変なのだ。訂正記事をいつ書こうかと思案していたが、このお蔵出しシリーズに載せることにした。

 宿泊棟は入ったことが無いが、レストラン棟の内部の雰囲気は落ち着いた良いものである。内藤建築はまるで工場のようだと言われるが、実際テーブルから厨房を見ることが出来る。しかし工場などという野暮ったいものではなく、上品な空間である。細部にも心配りが行き届いており、広い個室トイレを数箇所設けていたりと(単に男女2箇所というものではない。)本当に居心地の良いレストランであった。勿論、食事も素晴しいものであった。

「レストラン・マッカリーナ」
設計者:内藤廣 竣工:1997年 北海道虻田郡真狩村字緑岡172-3

お蔵出し決定版 その6(2007年 11月 北海道・札幌市)

2008年08月06日 18時08分59秒 | 建築
 釧路から札幌に向かう途中、penkou師匠と共に「北海道開拓記念館」に立ち寄った。設計はDOCOMOMO JAPANに選定された「旭川市役所」と同じ佐藤武夫氏である。冬期の為「北海道開拓の村」は閉鎖中であったが、開拓記念館は開館していた。
 絵夢さんに先を越されてしまったが、当ブログでも紹介することにした。

 絵夢さんは、御自分のブログで高い評価をされていた。私も同感である。スケール感がとても心地よく、疲れない建築だ。エントランスの列柱は現代のジャイアント・オーダーである。外部から内部へと続く壁材の煉瓦はボリューム感満天で、金属製オーダーの細く鋭い感じとのコントラストが絶妙である。屋根の水平感も良い。
 「ポンペイの壁画からのヒントもあり」とは佐藤総合計画のHPで読むことができる佐藤氏の言葉であるが、このままポンペイに博物館として移設しても、何も違和感のないデザインだ。

「北海道開拓記念館」
設計者:佐藤武夫 竣工:1970年 札幌市厚別区厚別町小野幌53-2
1973年度 第25回日本建築学会賞

お蔵出し決定版 その5(2007年 11月 北海道・釧路市)

2008年08月05日 21時21分00秒 | 建築
 毛綱氏の御母上より、この「釧路市立博物館」が建築学会賞を受賞された時の話しを伺った。同年代の建築家の中で、早くに学会賞を受賞されたことが、とても嬉しいとのことであった。

 春採湖畔という、とても良いロケーションの中、かなりのボリューム感で建っているのだが、展示スペースは思いの外小さい気がした。ホールや収蔵・研究スペースなどをしっかり取ってある結果であろうか。正面右側の翼には埋蔵文化財調査センターも入っている。
 DNAを思わせる二重螺旋階段など、面白い部分もある。最上階の丹頂鶴に関する展示スペースはドーム天井が青空となっていて、晴れた釧路湿原を想像できた。ささやかながらも毛綱氏を紹介するコーナーも設けてあり、氏の建築が釧路で大切にされていることが感じられた。

「釧路市立博物館」
設計者:毛綱毅曠 竣工:1983年 北海道釧路市春湖台1-7
1984年度 第36回日本建築学会賞