worldNote

世界の覚書

道州制、易姓革命、外国人参政権には反対です。伝王仁墓に百済門を作るのは場違いであり、反対です。

有識者会議最終報告書と各社社説

2005年11月25日 | 天皇制
24日の有識者会議最終報告書提出に合わせ、各社が出してきた社説等を比較してみた。但し毎日は22日の社説、産経は23日の社説、あと毎日25日のクローズアップ。

朝日社説11月25日
読売社説11月25日
毎日社説11月22日
毎日クローズアップ11月25日
日経社説11月25日
産経社説11月23日

朝日と読売は有識者会議の論旨に全面的に沿って100%賛同だ。朝日は言わずもがなとして、読売も左巻き確定である(昔からか)。毎日社説は基本的に賛同だ。日経は要点においては賛同しながら、慎重な対応を求めている。産経はさすがに危惧が基調で、結論を急ぐなとしている。

#追記:朝日11月25日2面の「時時刻刻」(署名記事)は慎重一色のコラムだった。3面の社説とは大違い。各社、それぞれ一枚岩ではないようだ。

毎日のクローズアップは、有識者会議に込められた戦略や政局を分析しており、別の意味で説得力がある。「党憲法調査会幹部は「党内では女性・女系天皇容認派は6割程度にとどまる」との見方を示す」と記すなど、政治のリアリズムに即した話になっている。

#結局、世論の何となく支持を背景にした政治手法であり、小泉改革という名の、小泉革命の一環なのだ。郵政民営化を可能にした手法は、とてもではないが馬鹿に出来ない。現実化の可能性は、馬鹿に出来ない程高い。

どの新聞にも「双系」「姓」という文言は出てこない。あくまで次世代に男性継承者がいないからどうしようかという前提に立ち、これに男女平等の理念をかぶせている(毎日社説は女子差別撤廃条約まで持ち出している…王様も雇用らしい)。

有識者会議の結論が完全な双系性である事は、別に隠し事でもなんでもないのだが、男系/女系論議に紛れて、せいぜい、意味不明の「伝統」や、万世一系の根幹が男系継承で説明されていたりする。姓や氏族という、根本概念が全く欠落している。易姓革命を知らなければ、問題の本質が分かるわけがない。竹田氏が王朝の終焉と語っても、誰にもピンと来ない始末だ。

朝日に至っては、「戦後、家制度がなくなり、男女の役割の考え方も変わった。皇室のあり方も、そうした社会の変化を無視できまい」と、「家」概念とその「変化」を持ち出している。武家的な家観念が、近世近代を通じて定着し、公家はおろか、ついに皇室にまで及んだ歴史的認識が全くない。

#「皇室」の文言自体が、王室を彷彿させるが、これが定着したのは明治維新後の事だと思われ。それは、欧州的な双系性王制に近づく一道程だったようだ。

皇室では、親族用語も違う。人臣とは違うのだ。人臣の家制度が適用されない事くらいは、容易に想像できそうなものだが。皇室(王氏宗家)は、日本最後の氏族だ。「双系相続」は、氏族制度の終焉を意味する。「女系相続」=「別の男系」だ。それは相続ではなく、せいぜい「禅譲」だ。そういう説明、理解が全く欠落している。これでは、議論は出来ない。

このままでは、禅譲による易姓革命が成立してしまう。双系性だから、禅譲は1/2の確率で起こり続ける。
(追記)仮にそうなったとすると、それは第二天皇制あるいは後期天皇制と呼ばれるべきだろう。

TB先
- アジアの真実
- 時事評論@和の空間
- 日本国の行方

追記:神社本庁からコメントが出ている。論旨は産経や八木さんあたりとそう変わらない。神社本庁は保守派の核になるのだろうか。

- 皇室典範改正に関する神社本庁の基本的な姿勢について(3月17日)
- 総長談話(11月25日)

せっかくのコメントなのだが、論旨は「我が国は歴史的に、皇位は男系男子によって継承せられ」としかない。よくある主張と同じだ。「男系論」は、「女系論」と戦うには不適当だ。男尊女卑を連想させ、男女の対比になってしまうからだ。氏族は、男女の問題じゃない。なぜ、「姓」「氏族」といった理論を持ち出さないのか(文言に工夫の余地はあろうが)、理解に苦しむ。氏族の中である限り、女性の活躍がありうるのだ(女性摂政であれ、女性天皇であれ)。

#だいたい、この問題が表面化するまで、「男系」という文言にはなじみが無かった(日本語としては存在したが)。これが「女系」ならテレビドラマである。なじみがあったのは「父系」「母系」だ。子の所属が問題だから、子の系統を父方で決めるか、母方で決めるかの問題だ。男女では、誰の何の話か分からなくなる。男女が問題なのは、男女の関係だけだ。
#この問題で一番発言すべきなのは、文化人類学者かもしれない。発言というより、解説か。

#時折見かける「小和田朝」は仮定としても間違い。愛子様が結婚してその御子が即位した場合に、旦那の家名の王朝になるのだ。ここを間違えるところが、いかにも(親族制度に疎い)日本的。

参考
- All About 天皇とはなにか、歴史をひもといて考える(番外編)

[人気blogランキングに投票]

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (総理大人)
2005-11-27 17:39:29
いくつか記事を拝見いたしましたが、姓という視点からの真剣なエントリーというのは新鮮でありました。非常にありがたかったです。



天皇に姓がない事が「姓」ということは言えるだろうと思います。

易姓革命、頭ではわかります。恥ずかしながら姓、本姓、氏、苗字そういう概念をwikipedia等で調べたからわかったようなものです。

ただ、実感として降りてこないというのが、悲しいかな今の日本人であろうと思います。

そういう私自身も、そうであります。



男系で連綿云々の方はわかりやすいっちゃわかりやすいんで、にわか伝統支持者、にわか男系維持派はブログではそういう記事しか書けないんだと思います。
返信する
参考文献 (worldnote)
2005-11-27 18:50:26
参考文献として良いのは、『源氏と日本国王』(講談社現代新書 1690)です。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。