一緒に世界の将来について考えよう

世界の将来について、一緒に考えていくブログ
-2006年から大恐慌の到来を予想
-6年半ぶりに投稿

大恐慌!?その302 ビックニュースのさなか、ファンダメンタルズ再確認

2008-09-15 22:12:20 | 世界経済

さて、投資蚊さんからいろいろな情報提供を頂いている通り、リーマンの破たん、 バンク・オブ・アメリカによるメリルリンチの救済合併など、ビッグニュースが相次いだ。

私自身は、金融界の混乱は実体のファンダメンタルズの悪化の現れの面が強いと考えているので、以下米経済のファンダメンタルズの状況を抑えておく。実態面の悪化が続く限り、今後第二、第三のリーマン、メリルが出てくることとなろう。 

Unemployment: Continued Claims Over 3.5 Million

米雇用悪化が止まらない。米失業保険の継続受給者が350万を突破、申請数の4週平均も44万。今回の不況は過去数回のものよりもはるかに悲惨なものとなりつつあるが、グラフを見る限り、雇用状況の悪化は今後さらにエスカレートする可能性がある。

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/09/unemployment-continued-claims-over-35.html

Weekly Unemployment Claims Click on graph for larger image in new window.

The first graph shows weekly claims. The four moving average is at 440,000.

 

 

Continued claims are now above 3.5 million for the first time since 2003.

Weekly Unemployment Continued Claims

The advance number for seasonally adjusted insured unemployment during the week ending Aug. 30 was 3,525,000, an increase of 122,000 from the preceding week's revised level of 3,403,000. The 4-week moving average was 3,429,000, an increase of 36,750 from the preceding week's revised average of 3,392,250.

 

 

 

July Trade Deficit

グラフ赤線が原油以外の米貿易赤字。急速な縮小を示しており、米GDPを押し上げる分、その他の世界のGDPを押し下げている。デカップリングと正反対の状況が真実の様だ。

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/09/july-trade-deficit.html


U.S. Trade Deficit Click on table for larger image in new window.

This graph shows the U.S. trade deficit through July. The blue line is the total deficit, and the black line is the petroleum deficit, and the red line is the trade deficit ex-petroleum products. The current probable recession is marked on the graph.

 

 

 

Retail Sales Decline

そして7月の米小売は弱かった。名目ベースで小売のみだと対前年+1.5%、実質ベースで▲2.6%。いよいよ減税効果がはげ落ちて、米消費の急落が確定的なものとなりそうだ。

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/09/retail-sales-decline.html


Year-over-year change in Retail Sales Click on graph for larger image in new window.

To calculate the real change, the monthly PCE price index from the BEA was used (August PCE prices were estimated based on the increases for the last 3 months).

Although the Census Bureau reported that nominal retail sales increased 1.5% year-over-year (retail and food services increased 2.6%), real retail sales declined by 2.6% (on a YoY basis).

 


 

こうして見ると、米経済のファンダメンタルズは悪化の一途をたどっており、リーマン、メリルも氷山の一角となる可能性が十分ある。今の焦点はAIGの様だが、このまま総崩れが続き、風前のともしびとなりつつあるFRB等中央銀行への信頼が失われた時、このシリーズを通して私が予想してきた事態が、不幸にして的中してしまうことになりそうである。。。

 


大恐慌!?その301 米住宅価格が当面落ち続ける証拠の数々

2008-09-10 12:47:32 | 世界経済

米景気の回復は住宅価格の下落に歯止めがかかるタイミング次第、と言う認識は広く共有されていると思うが、実際それはいつなのか。あとどの程度落ちるのか。正確な答えはないが、現在の価格がまだまだ高すぎる証拠は色々とある。。。 

以下実質ベースの下落率は名目上の下落+インフレによる価値の劣化の合計であり、高インフレ下では、同じ価格で推移しても実質ベースではどんどん価値が減ずることになる。

Housing: It's about prices ...

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/09/housing-its-about-prices.html

Case-Shillerの全国指数は、実質ベース(グラフ赤線)でピークから25%下落し2002年4Qの水準。まだ実質ベースで15~30%の下落余地があると思われる。


Real and Nominal Case-Shiller National Home Price Indices Click on graph for larger image in new window.

In real terms (red line), the Case-Shiller National Home price index is off 25% from the peak. Real prices are now back to the Q4 2002 level (nominal prices are back to mid-2004).

 

 

 

 

よく使われる価格-賃料比率。 赤がCase-Shiller、青が OFHEO。このベースでは下落は60%程度しか進んでいない。
Price-to-Rent Ratio The second graph shows the price to rent ratio (Dec 1982 = 1.0) for both the OFHEO House Price Index and the Case-Shiller National Home Price Index. For rents, the national Owners' Equivalent Rent from the BLS is used. This graph is from this earlier post.

 

 

 

 価格-収入比率。この指標でも、まだ20%程度は下落余地あり。


Price to Income Ratio The third graph shows the price-to-income ratio and is based off the Case-Shiller index, and the Census Bureau's median income Historical Income Tables - Households.

 

 

 

 

 

そして中古住宅の在庫水準(販売月)。現在の11.2か月分は、通常のレンジ5~8か月分よりも遥かに高水準。
Existing Home Sales Months of SupplyThe final graph shows the 'months of supply' metric for existing homes for the last six years.

 

 

 

 

 

こう見ると、米住宅価格の下落は、当面続くと見ざるを得ない。それが、米経済、世界経済にどれほど破壊的影響を与えるかは予断を許さない状況が続くだろう。。。

 


大恐慌!?その300号記念 これまでの歩み

2008-09-08 23:24:01 | 世界経済

いよいよ米失業率の悪化が加速する中、米住宅公社救済策が発表された。現政権での打ち手は難しいとの見方からするとサプライズで、市場では好感されている。当面市場を支える要因となりうるかもしれないが、既に破たん状態にある米住宅公社の救済は大分前から不可避と思われていたことが起こっただけであり、住宅価格の下落は当面継続する可能性が高いことを考えると、厳しい局面はしばらく続こう。

色々な見方http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-33624920080908

最近なかなか投稿できていない中でのんきな投稿で申し訳ないが、息の長いブログを目指していることから、シリーズ300回ということで、簡単にこれまでを振り返ってみたいと思う。

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○(大)不況がやってくる その1 2006/9/6

http://blog.goo.ne.jp/world_2050/e/4829e7240f42bc10557401c14353658e

私自身が、米不動産市場の状況(日本の住宅バブルを上回るペースで天井まで釣り上がった不動産価格、市場の状況、HMIの急落等)を考えて、これは悲惨なことになると思ってシリーズを始めた日。この日のアクセス数は52pv、21ipということで、このころから見ていただいている方がまだいらっしゃれば本当に感謝。改めて考えてみると、もう2年も前。FRBの利上げ停止、HMIの急落など、今日の惨状に至るサインは随所に出ていたけど、注目する人は皆無に近かった。

(大)不況!? その54 Recessionの前兆 2007/1/9

http://blog.goo.ne.jp/world_2050/d/20070109

初めて50ip突破。Cheeさん(http://blogs.yahoo.co.jp/giantchee2)には、色々情報ソースを教えて頂いたり、コメント頂いたり、継続的に大変お世話になりました。

このころは、実態面のネガティブさはかなり鮮明となったにも係らず、市場は無視して能天気な上昇を続けていたころ。まだ円キャリートレードなり様々ばバブルが残っていた。

大恐慌!? その77  米経済:史上最大級の崩壊に向けた準備をほぼ完了 2007/3/30

これから起こる事態は、単なる不況にとどまらないとの確信を深め、シリーズ名を変更。大恐慌!? その84 住宅市場はいつ底入れするのか 2007/4/25でも書いてある通り、ポールソン米財務長官は米不動産市場の底入れ間近との発言を繰り返していたサブプライム崩壊直前のころ。このときで82 ip。

大恐慌!? その110 米経済はハードランディングへ2007/9/16

この日初めて100ipを突破(236ip)。

最近はすっかり投資蚊さんにお世話になっておりますが、大体一日300ip前後。投資蚊さん、いつもありがとうございます。

今後、投資蚊さんに限らず色々な方にコメント頂いて、コミュニティ的に育っていくとすばらしいと思っている次第。

改めて見返していると、お陰様でip数は10倍になったが、私の大局観は20ipの方に見ていただいた2年前と余り変わっておらず、いまだに大きく行き過ぎた米住宅バブルの崩壊の過程の只中にあるという認識はまったく変わらない。最も重要な住宅価格の高騰を放任するという日本のバブルの愚を繰り返したために、米国・欧州・中国等世界中で長期的な不動産価格の下落トレンドに入っているが、まだ米国の住宅価格下落は2年を経たのみであり、過去の住宅バブル崩壊のトレンド(日本、カルフォルニア等)からすると、住宅価格下落はペースこそ落ちこそすれ後数年続く可能性が高い。過度に住宅価格に依存した(ホームエクイティローン等)米経済は当面厳しい局面が続こう。米国内景気の減速による輸入減、ドル安による輸出増が米GDPの見た目を高めているが、どちらも外国のGDPを押し下げるものであり、世界経済の連動性の高まりを示す良い例であろう。今後の世界同時不況がどこまで深化していくのか、そして経済の混乱、米国一極時代の終焉が、ロシア覇権主義など、色々な政治的混乱にどの様に繋がっていくのか、今後とも、長期的な視点からフォローしていきたい。