私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

愛知機械のこと

2017-02-26 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 愛知機械のことは、ニッサン系子会社として各種関連製品を作っていることは知っていたが、A型エンジンの製造の元だったことは今回初めて知った。但し、この時代、トヨタもニッサンも、ホンダでさえ、諸外国のそれなりのエンジンを総分解し良い部分は模倣したりモデファイしたりと、技術のキャッチアップに一生懸命の時代であった。ゆえに、A型エンジンが、何処かイギリス風味を醸し出しているのも、むべなるかなとは思う。

 愛知機械は、先の大戦中は愛知航空機として、多くの航空機やエンジン(当時の名称では発動機)などを作って来た。その中で、ダイムラーベンツの図面に基づきライセンス生産したのが、DB600およびDB601の液冷V12エンジンだ。大戦中の我が国の航空機は、ゼロ戦の栄21型にして二重星形14気筒だとか、空冷星形エンジンが多数を占めていた。エンジンの恒温化による異常燃焼防止上からは空冷より水冷が望ましいのであるが、水冷となるとV12等の様に長いクランクシャフトや長いブロックが必須となって来る。そして、長いものを直線度高く加工するには、高精度な工作機械(主に旋盤を基本とした機械)が必用となって来るが、その時代の日本はなかった故のことなんだろう。想像も交えもう少し考えてみると、高精度な定盤を作る技術がなかったのだと思える、旋盤にしても工作機械には、ベッドと呼ばれる基準となる面が必用となる。この水平面を基準として、V12等の長いクランクなどの切削研磨が高精度に行える訳である。当時は二重星形程度の短いクランクが、振れ限界だったのだろう。

 しかし、もう数十年も前から、日本の工作機械は世界トップを独走し続けている。例えばトップチープのF1チームのガレージ内には、森精機のマシニングセンターがある。それ以外にも、クルマだけでなく世界のプロダクション工場や軍事製作所、各種研究期間には、アマダ、ヤマザキマザック、ジェイテクト、東芝機械、etcの機器群があるはずだ。

 もうかなり昔の話だが、沼津市に本社がある東芝機械がココム違反として米国に告発されたことがある。同社製の3軸制御マシニングセンターは、直径10mを越える潜水艦のスクリュー(だぶん砲金製)を切削加工することができ、静音化することができるからという。なお潜水艦のスクリュー形状は、部外者秘匿事項であるが、形状が判ると発音がシミュレートできてしまうからという。

 ところで、高所作業車で大きなシェアを誇るアイチという会社は愛知機械とは別の企業である。正式名称はアイチコーポレーションで、出発は愛知県名古屋市だが、現在の本社所在地は埼玉県上尾市で愛知機械とはまったく関係がない。しかも、こちらは豊田自動織機が株式の過半を所有する、トヨタ系の企業となる。

※DB601の短い独立排気管であるが、適切な集合を行うことで、パルスコンバーターとして最大出力をアップするのかもしれない。

※追記
 三菱燃費虚偽報告事件に絡んで、ニッサンからは次期エンジンの製作を愛知機械にやらせると発表されている。図面はニッサンで引くのかもしれないが、3気筒660ccエンジンの経験が薄い中、直ちにダイハツ、ホンダ、スズキに吾するエンジンができるのだろうか? お手並み拝見である。


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